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学級崩壊が起きないために一番必要なことは「怖さ」を知り、具体的な策を巡らせ、崩壊したときは「しのぐ」こと

 もし、学級担任が学級づくりの作戦や武器を持たず、それこそ丸腰で子どもたちに向かうとどうなるのか。最悪の場合には学級崩壊、さらにはメンタルヘルス面で休職に追い込まれるケースも出てくる。
 力量のない教師ほど、この具体策が貧弱なのである。
 当たり前の話だ。目の前の子どもたちは、具体的な存在であるからだ。目の前の子どもたちを「どうするか?」具体的な「策略」を巡らせて取り組むことが大切である。
 私はプロ教師として一番必要なことは「怖さ」を知ることだと思う。
「怖さ」を知っているからこそ、学級崩壊が起こらないように全力で学級づくりに取り組むのだ。覚悟を持って学級づくりに取り組むのだ。
 思いつきの、その場しのぎの教育が通用する訳がない。学校現場は非常に厳しいのだ。
 特に4月は学級づくりに全力で取り組む。毎日分刻みで細かく具体的な策略を練り、それを確実に実行していく。そして、失敗がないようにチェックしながら学級づくりをしていく。
 学級づくりは4月が全てである。4月の失敗は絶対に取り戻せない。
 始業式から子どもたちをほめるための勝負が始まっているのだ。子どもたちは自分の良さを認め、ほめてくれる教師が好きになる。そして信用する。「やんちゃくん」の心をつかむためにもだ。
 叱る武器を使用するにはリスクが伴う。ほめる武器は使わないのはもったいない。
 私も4月はキツイ。死ぬほどキツイ。4月は後で楽するための投資だと言ってもいい。
 それなのに策略を巡らせることなく、のんきに4月を過ごしてしまう教師がいる。そういう教師に限って、指導技術に乏しい。楽しい授業も知らない。たくさんのネタも知らない。武器すら持っていないのだ。
 戦場に丸腰で向かうと戦死してしまう。学級崩壊したり、病休や辞職に追い込まれたりしてしまう。そんな事態は、絶対避けねばならないのだ。
 まずは怖さを知ろう。子どもたちは本当に残酷である。気に入らない担任を休職に追い込もうと、策略を巡らせてくることさえある。
 怖さを知り、子どもたちに負けない策略を練り、厳しい学校現場に出ることが絶対に必要である。
 一番いいのは、戦わなくてもすむ状態をつくることだ。戦わなければ決して負けることはない。戦わなくてすむような策略が教師には必要なのである。
 怖さを知りながらも、絶対にそれを表に出してはいけない。特に子どもたちに絶対、気づかれてはダメだ。自信のないリーダーは、子どもたちに信用されない。
 話をするとき、堂々と大股で進み出て、落ち着きはらったように正面を向き直り、いかにもスピーチを楽しむというふうに話し始める。
 リーダーである教師は、教室で大きなトラブルが起きても、平静を装い自信のあるフリをし続けるべきである。子どもたちにも余裕が生まれる。
 安定感のあるリーダーに子どもたちは安心する。そして信頼する。
 学級が崩壊したら、戦わず、「しのぐ」ようにするとよい。
 担任以外の教師や管理職が教室に入れば、担任の権威は急速に喪失する。しかも、サポートに入った人の言うことも徐々に聞かなくなる。崩壊した学級とは、そういう所なのである。負のエネルギーに満ちている。
 基本的には、担任ががんばるしかない。どんな手を打っても、逆効果に違いない。では、どうがんばるのか。「しのぐ」のである。
 授業は、授業妨害する子を放っておいて、淡々と進める。休み時間は職員室に戻って、子どもたちと距離をとる。
 一番大切なのは、とにかく辞めないことだ。学級崩壊を起こすような子どもたちのために、あなたの体と心を壊す必要はない。
 1年間しのげば、絶対に楽になる。次に受け持ったクラスは、絶対に楽勝に感じられる。
 それなのに、戦わせようとする管理職が多い。
 子どもたちに不満を書かせ、担任が不満を解消しようとしても、子どもたちはそれを受け入れなかった。
 保護者会を開いて、保護者から様々な提案が出された。しかし、子どもたちはそれを受け入れなかった。
 子どもたちが受け入れない。だから、学級崩壊なのである。
 私は、学級崩壊の状態を恋愛にたとえることが多い。担任は子どもたちに「ふられている」ようなものだ。なにをしようが、気持ち悪がられるだけだ。子どもの心はどんどん離れていく。
「しのぐ」ために担任に協力してあげられないのか?
 崩壊した学級の担任には「しのぐ」という策略しか残されていないのだ。
(
中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている
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