保護者が授業について様々なクレームを言ってくるとき、どうすればよいのでしょうか
保護者がわが子の学力に関心を持つことは、親なら当然である。
例えば「授業中に漢字をしっかり教えてください」とクレームがあった。どうすればよいか。
漢字のような基礎学力は、学校で保障しなければならない。宿題で身につけるのだと考えていれば、大きな間違いだ。
即座に次のように弁明しよう。
「申し訳ありません。不十分だったのかもしれません。教え方を改善して、子どもの身につくようにいたします」
漢字の教え方で有名なのは向山洋一のTOSS方法だ。
「指書き」「なぞり書き」「うつし書き」という手順で行う。
なかでも、大事なのが「指書き」だ。鉛筆を持たずに、人差し指で机の上に漢字を書く。筆順に注意して「イチ、ニーイ・・・・」と画数を口で唱えながら書くのである。
加えて「空書き」も行う。人差し指を空中に上げて漢字を書く。もちろん画数も唱える。
「学校では、こういった指導をしていますので、おうちでも『イチ、ニーイ・・・・・』と指書きさせてみてください」
と、保護者にお願いするとよいだろう。
つぎのような苦情も、しばしばある。
「うちの子がワークテストを持って帰ってきたら、60点しか取っていません。びっくりです。うちの子は、ちゃんと理解しているのか心配です。授業中は、どうなのですか?」
「ワークテスト」を実施したら、そのまま持ち帰らせるのはよくない。きちんと間違い直しをさせるべきである。
ひどい点数を取らしてしまうのであれば、やはり授業の改善が第一である。日々の授業がまずければ、得点も上がらない。
このときは、謙虚に授業を反省し、教科書、ノートを基本に地道な授業改善に取り組むべきである。
また、授業参観の後に苦情が届く場合も、しばしばある。
「うちの子は、ボーッとして、人の話を聞いていないようですし、一度も発言しませんでした。うちの子は、ちっとも勉強していないようです。大丈夫でしょうか」
もし、子どものノートを授業中に活用させているのであれば、
「いえいえ、〇〇さんは自分から進んで発言する場面は確かに多くはないのですが、ノートにはきちんと自分の考えを書き、問題を解いているのですよ。心配ありませんよ」
また、そんな授業参観にならないように、全員に何らかの活躍の場があるようにすべきである。例えば、一人ひとりずつ順番に音読するとか、発表するとか工夫する必要がある。
(浅野秀之:1963年新潟県生まれ、新潟県公立小学校教師、新潟大学附属新潟小学校教師、上越教育大学等を経て新潟市立小学校長)
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