いじめ加害者を注意したところ、保護者から「根拠を答えなければ裁判する、授業を見に行く」とクレームがあった、どうすればよいか
生徒Aが生徒Bを日ごろからいじめている事実が発覚した。教師Cが生徒Aを叱責し、二度といじめをしないよう指導した。
すると、生徒Aの保護者が学校に電話をかけ、教師C対して
「何を根拠に、うちの子がいじめをしたと言っているのか。個人的な見解を答えろ。答えなければ裁判の場に引っ張り出す」
と言ってきた。その対応に2時間も要した。
その後も、生徒Aの保護者は事あるごとに、電話(1回:2~3時間)をかけてきて、最近では
「どういう教育をしているのか、学校の授業の様子を見に行く」
と要求している。どうすればよいか。
学校で発生した問題について、教師の個人的な見解を求められた時には、教師個人が回答すべき法的義務はない。
いじめの有無についての調査義務は、あくまでも学校が負担する義務であって、教師個人が負担するものではない。
仮に学校としての見解との間で食い違いがあった場合、更なる混乱を招くおそれがあるため、回答を拒絶するべきである。
したがって、教師個人が一定の事項について個人的な見解を回答する義務はない。
なお、保護者が教師個人の見解を求め続けることは、その態様によっては強要罪に該当し得ることとなる。
また、学校としては、学校内でいじめがあったのではないかとの指摘があった場合には、すくなくとも、教育的な観点から一定の調査を行うのが相当であろう。
その結果、いじめの事実が発覚すれば、速やかに適切な対応を行う必要がある。
保護者等に授業を見学させるか否かは、学校教育の方法に関するものであり、学校の裁量によって決定し得る事項であると考える。
したがって、学校側にはこの要望を受け容れる法的な義務はない。
また、授業等の見学については、他の生徒に与える影響が小さくないと考えられるので、基本的には拒否すべきであろう。
(近畿弁護士連合会 民事介入暴力及び弁護士業務妨害対策委員会)
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