子どもの知的興味を引き出すにはどうすればよいか
子どもの知的興味を引き出すには
(1)こんな子どもだから(能力の実態)
(2)こんな教材を使って(能力にマッチした教材)
(3)こんな指導をして(子どもに合った指導法)
(4)こんな力をつけたい(目あてを鮮明に)
ということを考えて授業を組み立てることである。
学力低下が叫ばれているのは「こんな力をつけたい」という目当てを鮮明に持って授業を行っていない実態があるからだ。
何をしているのかわからない、遊びのような授業が多すぎる。
子どもの能力や実態、興味・関心・欲求といったものを把握すれば、この能力実態を向上させるべく「何としても、これだけは教えたい、考えさせたい」という教材が鮮明に見えてくる。
例えば、歴史的な用語に興味・関心を持っていないとすれば、面白い用語を教材として選定し、それに付加価値をつけることだ。
大和朝廷の学習をしているときならば「大和昼廷」「大和夕廷」「大和晩廷」というものがあったのだろうか、と投げかければ、子どもたちは必ず膝を乗り出してくる。
実は、私が子どもから授業中に質問されたことなのである。
子どもたちは「これは面白い、聞いたこともない!」と燃えた。
私も燃えたが正解はわからなかった。それで必死に調べた。
その結果、当時の国家公務員は、午前中しか仕事がなく、昼前には家に帰ったということがわかった。
だから「朝廷」なのであった。
それ以降、子どもたちは「歴史用語」に興味を持つようになった。
「貴族とは」「荘園とは」というように「はてな?」を持つようになった。
「卑弥呼は、固有名詞か普通名詞か?」「正倉院は、固有名詞か普通名詞か?」といったことにも興味をもつようになったのである。
子どもたちは、興味を持てば、必ず調べる。
しかし、調べるとき行き詰まる。そこで「(3)こんな指導をして(子どもに合った指導法)」というところで、調べ方の指導が必要になる。
私は「このことは、どのようにして調べたらよいか?」と、調べ方をみんなで考え合う授業もした。
これは「(4)こんな力をつけたい(目あてを鮮明に)」ということが、はっきりしているからである・
つまり「多様な調べ方を身につけさせたい」ということであり「面白い『はてな?』をみつけさせたい」ということである。
授業を組織するとき、(1)(2)(3)(4)のことが、はっきりと指導案の中に見えるようにしておくと、知的な興味を引き出したり、伸ばしたりすることができる。
これに私たち教師は、こたえる授業を組織しなければならない。
(有田和正:1935-2014年、福岡教育大学附属小倉小学校、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)
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