保護者の信頼を勝ちとるには「ほめてますよ」「よいところを見つけようとしていますよ」ということが伝わればよい
学習が極端に遅れがちな子どもには、授業で使うプリントなどを、前の日に子どもに渡しておいて、連絡帳で保護者に「申し訳ありませんが、予習をよろしくお願い申し上げます」とお願いしておく。
当然、その子は授業で答えることができる。これをやっていくと、その子は本当にできるようになっていくのである。
このように「教師が先に謝る」ということが、保護者の信頼を得るには大切なのである。教師が誠実にお願いすれば、ほとんどの保護者の方が協力してくださるはずである。
そして、大切なのは、その後の保護者への連絡である。
保護者に協力していただいたら、その日のうちに「〇〇がかなり、できるようになりました。ありがとうございました」とお知らせするのである。
お願いするばかりで、後の連絡をやらない教師がかなりいるようである。長い目で見ると、こういうことが後で効いてくるのである。
また、こういう「お願い」をしやすくするためには、保護者会の席での、教師の話が大切である。例えば
「最初は、ひらがなも書けないので心配をかけていた子が、長文を書けるようになった」
「自分の子もそうだったが、急にできるようになる時期がある」
など、子どもの「未来像」を具体的に語っておくことが必要である。
保護者の方に、今かけるご苦労は、後の小学校卒業するまでのことを考えると、必要な先行投資であることを分かっていただくのである。
今、担任している1年生の学級では4月から「連絡帳に目を通していただくこと」と「学年・学級たよりを綴じておいていただくこと」を強くお願いしてきた。
1年生から一貫した学習に対する構え(例えば、筆箱の中の赤鉛筆やミニ定規、ノートの日付や行の空け方)を作らせていくことが大事だと、懇談や通信で強調してきた。
「学習内容の定着は、準備が大きく影響しますのでお願いします」等、繰り返し連絡してきた。その結果、保護者に変化が生じてきて、忘れ物は1日1人いるかいないかである。
子どもが家庭で教師のことをほめてくれれば、保護者は必ず教師を信頼してくれる。
教師がどうすれば、子どもが教師のことをほめてくれるかといえば、まずは「授業が楽しい」とか「けんかの時、ちゃんと話を聞いてくれた」とかいうことである。
だが、これだけでは不十分。次のことに注意・努力をはらっていくことが必要なのである。
(1)どの子とも、1日1回は必ず話をする。こちらから声をかける。
(2)どの子も、1日1回は努めてほめる。無理にこじつけてでもほめる。
子どもは教師にほめられれば、必ず家庭で、そのことを保護者に話す。だから、無理にこじつけてでも、ほめてあげることが大切なのである。
例えば、上手じゃなくても「本を上手に読めたね」とほめる。その時に思いついたことを片っ端からほめていけばよいのである。ほめていれば、そのうち本物になっていくということではないだろうか。
保護者から「音読が上手にできるようになりました」などというお便りがくる。学校で練習した時に「上手になってきたね。お家でも聞いてもらいなさい」とほめるので、家庭でも、頑張ってやっているのである。そうすると、保護者の信頼は増す。
子どもたちは、家庭で本を何回も読もうとしたりする。教師にほめられたからである。こういうわが子の姿を見ると、保護者はその教師を信頼するようになる。
「子どもをほめればほめるほど、まるで鏡のように子どもも教師のことをほめてくれる」
私の場合は、いつもそんな感じである。学校に来られた教え子の保護者が「妹(弟)を絶対に担任してくださいね」と言ってくださることがある。
教え子が、いかに私をほめてくれていたかということである。
保護者の信頼は、子どもたち全員に「ちゃんと自分の子を見ている」ということを認識していただくことで得られる。
保護者に「お子さんのことをほめてますよ」「よいところを見つけようとしていますよ」ということが伝わればよいのである。
(伴 佳代:長崎県公立小学校教師)
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