どのような教師が生徒になめられるのか、なめられないようにするにはどうすればよいか
思春期の中学生は、教師が生徒に影響を与えるものは「教師の人間的魅力」「教師役割の魅力(授業の教え方がうまい)」「罰・強制性」の三つとみています。
中学生になると「教師の人間的魅力」と「授業の教え方がうまい」と感じているときは、その教師の指導に従おうとします。
しかし、どちらか一方の場合であってもよい。たとえば友人関係の相談はA先生、勉強の相談はB先生と教師を選択するようになるでしょう。
中学生は、教師の理想的な姿として「授業の教え方がうまく」かつ「熱心」というイメージを持っています。
理想を求める思春期の中学生は、自分たちの言い分を何でも認めてくれ、ものわかりのいい教師であっても、授業の教え方がうまくない教師を心から信頼しないようです。
熱血一本槍の一面的な教師も、生徒はどこか冷めて見てしまい、心から信頼感がわかないのです。
罰・強制性は、中学生と教師の心理的なつながりを少しずつ引き離す影響力があります。
高圧的なものの言い方や叱責による指導をすると、中学生は強い反発を覚えます。
最も中学生がきらう教師の対応があります。それは、生徒との対決を避け、生徒の批判の矛先をかわそうとする教師です。生徒はそういう先生を「なめる」のです。
生徒になめられる教師は、「叱るべきときに、厳しく叱れない」「人間的な魅力がない」「教え方がへたで、熱心さ、指導力がない」と、生徒に感じられている教師ということができます。
ただ、強く叱るだけで、生徒からなめられないようにしているとしたら、いつか手痛いしっぺ返しを受けることがあるでしょう。
逆に、強く叱らない教師のなかにも、全く生徒からなめられない教師もいます。
それは、ふだんから「教師の人間的魅力」と「教師役割の魅力(教え方がうまくかつ熱心で指導力がある)」と、生徒に強く感じさせている教師です。
したがって、中学校の教師は、「教師の人間的魅力」と「教師役割の魅力」を、ふだんから、生徒に強く感じさせるような対応を積み重ねておくことが求められています。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)
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