子どもとの接し方がダメ、人の言うことに耳を傾けられない教師が多い
東京都の小学校女性教師。17年目です。好きなバスケットを続けたい、子どもが好きと教師に。
教材研究などにも熱心で、帰宅が深夜になることもあるという。「うちは父子家庭のようなものですから」が口ぐせ。日々子どもたちに体ごとぶつかっている様子が目に浮かぶ教師だ。
新卒でいきなり小学校1年生を持たされてしまった。
1学期が始まって、早々に運動会の練習があったのですが、集団をうまく掌握できず、子どもがバラバラになってしまった。
子どもを動かす号令や、話を聞かせるにもテクニックが必要。技術がないと、気持ちはあっても子どもはなかなか動いてくれない。
10年目を過ぎてから、私自身バージョンアップして、集団をうまく掌握できるようになった。
それでも、子どもは毎年替わるし、社会も変化するし、従来の技術を切り売りして、その場しのぎで教えていくのは限界があるのです。
基本は、どれだけ新鮮な気持ちを保って、新しいことを吸収できるかだと思います。
例えば「席につきなさい」と言っても、これまで素直に座っていた子どもが「いやだ」と座らなくなるときがある。
そんなとき、自分の指導力不足を棚に上げて「子どもが悪い」「親が悪い」って責任転嫁してしまう教師が多い。
そういう教師のクラスの子どもたちは言うことを聞かなくなって、いわゆる「学級崩壊」に向かってしまう。
わかるんです。外から見ていると、その理由が。
子どもたちが「座りたくない」と言うなら「何で座りたくないの?」「じゃ、今何がしたい?」「今は座ってくれなきゃ困るから5分だけガマンしてよ」とか、言い方ひとつにしてもいろいろあると思う。
子どもが何を考えているのか、ねばり強くさぐる。
けっして子どものペースに巻き込まれないで、こちらのペースに巻き込んでいく。
小手先のテクニックではなく、そういう柔軟な姿勢が必要だと思うんです。
「自分のやり方でいいんだ」と思ったときに、教師の成長は止まってしまうんですね。
教師と子どもは、お互い刺激しあいながら成長するもの。
教師が「このままでいい」という態度では、子どもだって伸びていくわけがない。
授業もそう。新たな試みをどれだけ取り入れられるか。積極的に外へ出ていって授業を見せてもらったり、別の世界に触れて勉強しようという気持ちがないと、教師として古臭くなってしまうんですね。
いま、私はいくつかの研究グループに入っていて、新しい教材や授業方法を勉強しています。
私は給食をいつも子どもたちと一緒に食べているんです。
その時々の友だち関係もわかるし、身近で食べることで「この子、食が細いけど、何か心配ごとでもあるのかな」といったことも気がつく。
それに、食事のときって気がゆるむでしょ。「〇〇子、あんなことしたんだよ」なんてポロッと漏らしたりしてワルが発覚したり。給食の時間って、情報収集のすごいチャンスなの。
そもそも「手のかかる子どもはきらい」という教師もいますからね。
いうことをきかない子がいるから面白いのに。いうことを聞かなかったら「じゃ、きかせてやれ」と。言葉は悪いけど、そこに醍醐味があると思う。
反発する子は、何か光るものを持っていることが多いし「そこを伸ばしてやりたい」と思うのが教師じゃないかなあ。
教師だって人間だから、そりの合わないタイプの子がいてもあたりまえ。それを自分の懐に抱かえこむ。そりの合わない子どもに付き合うのが「プロ」だと思うんです。
最近、教師の指導力の不足をすごく感じます。実際、私たちの間では「教師の2割は不適格」というのが一般的な見方ですからねえ。
子どもとの接し方がダメ。そのうえ人の言うことに耳を傾けられない教師がホント多いの。小学校高学年を任せたら学級崩壊につながる教師って、じつはいっぱいいる。
成績本位の教員採用の仕方にも問題があるんでしょうね。人に教えられることがなかった人もいるかもしれませんね。
ベテランだって新しいものを吸収する柔軟性を失った人はやっぱりダメ。子どもの置かれている状況は、昔とはすっかり変わってしまったでしょう。
変化する子どもの姿をつねに見つめる努力をしていないとね。
私は夫がサラリーマンだから、民間企業の大変さは知っているつもり。民間は厳しいですよねぇ。不況でボーナスはカットされるは、リストラされるわで。
クラスの子どもの親はみんな大変なはずですけど、教師にはそんな危機感、ぜんぜんないですもの。
だから、今こそ教師は「生活の心配ないんだから、もっとがんばれ!」って言いたくなっちゃうんですよ。
(東京都の小学校女性教師)
| 固定リンク
「先生の実態」カテゴリの記事
- 本当にいい教師とは 諸富祥彦(2022.01.09)
- 新任教師が感じている困難や負担と校長からみた初任者教員の評価 窪田眞二(2021.09.11)
- 社会人を経験して教師になった人は話題も豊富で、人間性も豊かで魅力的な人が多いように思う 岡部芳明(2021.07.16)
- 新任教師や若い教師に知っておいてもらいたいこと(2021.03.02)
- 学校に適応している教師・困った教師とは、どのような教師なのでしょうか(2021.02.03)
「学級崩壊」カテゴリの記事
- 学級崩壊はどのようにして起きるか、その実態と解決に役立つものとは 大塚美和子(2021.07.06)
- 学級崩壊を防ぐには何が大切か?(2021.03.01)
- 学級崩壊を起こす教師、起こさない教師とは(2020.07.16)
- 学級崩壊になったクラスを何回か任されて分かった学級が崩れる要因と、対応の「ツボ」とは(2020.03.27)
- 学級の崩壊の前兆を見逃さず、学級を立て直すには、どうすればよいか(2020.01.11)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント