教師が心を痛め休職したりする原因は何か
教師は真面目で誠実だ。誠実だから教師になったのだ。真面目でない人間には教師は絶対つとまらない。
心を痛めて、休職する教師が増えている。辞める教師が増えている。
それを取り上げてくださるマスコミも多い。有り難いことである。
しかし、マスコミの方々は、われわれ教師の「さが」をよく分かっていらっしゃらないようだ。
教師が自殺したり、休職者数が増加したりすると、すぐに労働時間などが問題にされる。
確かに教師の仕事は忙しい。しかし、私は、そんなことは問題でないと思っている。
教師が心を痛める原因は何か? それは「報われない」からである。
どんな仕事でも、辛いことはある。忙しくて、睡眠時間も満足に取れないことがあるだろう。
仕事は、厳しいものである。それは仕方ない。
それでも、その努力が報われれば、人間はがんばれるのだ。
どんな忙しかろうが、徹夜が続こうが、報われている限りはがんばれる。
われわれ教師は真面目なのだ。良心的なのだ。子どもたちの笑顔を見て、やりがいさえ感じられれば「教師になって良かった」と思える。
どんなに仕事が忙しくても、体がきつくても「がんばって良かったな」と思える。
それなのに、いまどきの教師は「報われない」、がんばっただけの見返りがない。
見返りとは、現金ではない。子どもたちの笑顔、保護者の笑顔、つまりは「先生のお陰で」と言われることが少なすぎる。
いや、逆に一生懸命やった、がんばりが裏目に出ることが実に多いのだ。
これでは、われわれ教師は「報われない」、がんばれない。
教師という仕事の本来の喜びは、子どもの成長である。かけ算九九ができるようになったなど、子どもを成長させることができると、ものすごくうれしい。
そして、自分の成長を実感した時の子どもたちの笑顔を見ると、さらにうれしい。
これが、教師の「さが」である。そのためなら、どんなに大変でもがんばれる。
われわれ教師は辛いのは、忙しいからではない。「報われない」から辛いのだ。
今、教師に必要なのは、教師が報われることである。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。
また、若手教師を育てることに力を入れ、多くの学生に向けて講演も行っている)
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