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小学校の教師が人事交流で幼稚園に赴任して、わかったこと

 中部地方の小学校教師が2年前に人事交流で大学の附属幼稚園に赴任した。
 子ども観が大きく変わったという。ニコニコしながら、小さな子どもに語りかけるような、ゆっくりとした口調で話してくれた。
 幼稚園に赴任した頃は、4,5歳の子を扱ったことがないから、何をしていいかわからなかった。
 それに幼稚園って教科書がないでしょ、4月にこれを勉強させなきゃいけないっていうのがない。
 折り紙の時間に子どもがケンカをしても「ケンカしちゃダメ!」なんて言わない。ケンカを通して痛みもわかるし、子どもが育っていくことをすごく大事にしているんです。
 プールの時間でも、入りたがらない子に無理じいしない。「この子はまだ、そういう時期じゃないんだ。機が熟すまで待とう」と。子どもの心の解放が大切なんですよ。
 つまり、子どもに「〇〇しなさい」と強制しないんですね。もっと自由でいいんじゃないかと。自由な時間を与えて、自分の生活を主体的につくらせる。
 わが子を見てても「子どもって、ほんとに自分の思うようにならないなあ」と感じるけど、幼稚園はそれが集団だから、すごい世界なんです。
 もろに本能のぶつかりあいで。逆に、教師が変わらなきゃならない。
「できるようにさせる」という関わりじゃなくて、その子が「やりたい」と思っていることや、発達段階で大事なことを先生が認めたり、助けてあげる。
 一人ひとりの子どもの成長に、どこまで関われるかが大事。4歳や5歳という幼児期に大事なことを伝えていく、という考えなんですね。
 それで、自分のことをふりかえったんですよ。
 小学校の教師でいたときは「私のクラスは、ぜったいに全員、逆上がりができるようにさせてやるぞ」みたいなことが、すごく強かったなあって思ったんです。
「それができるのが、教師の力量だ」なんて、私は偉そうに思っていたし、保護者も喜んでくれたし。
 小学校では目標達成主義で、子どもたちを育てている。できなかったら「あなたの指導が悪いんだ」と、教師の評価にもなってしまう。教師も追いつめられちゃうんですね。だから、子どもがいうことを聞かないと叱る。
 幼稚園に来て「教師のほうから、子どもたちのほうに行く」のが大事だと、思うようになりました。
 小学校1年生のクラスが5月に学級崩壊したという報道が以前ありました。
 5月ということは、幼稚園から上がったばかりで、はたして子どもが、授業中ずっとおとなしく席に座ってられるのか。この時期はまだ無理なんですよ。
 もしも、子どもが全員きちんと座っているようだったら、それは幼稚園のときに「やりたい」「楽しい」ってことを抑制されてた、としか言いようがない。
「先生に怒られるから、とりあえずおとなしくしてるよ」っていうレベルで、子どもは受けとめちゃう。
 それじゃ、教育じゃない。自分から主体的に「相手のために、話を聞くんだ」という大事なことは育たない。
 その子の心が今、どこにあるのかってことを見届けていく必要があると思うんですよ。
 私が幼稚園に来て「おはよう」と言っても、あいさつしない子がいた。「ちゃんと、あいさつしなさい」とは叱らなかった。
 でも、1年かけたら、その子も「先生、おはよう」って言うようになりました。
 あと1年半で幼稚園の勤務は終わるけど、早く小学校に戻って授業をやりたいですね。
 幼稚園で学んだこと、実感したことを生かして、子どもたちに接していきたい。
 きっともっと幅の広い授業なり、子ども理解なりができるんじゃないかなあ。それが私の使命だと思うし。
(
中部地方の小学校教師
)

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