いまどきの保護者とは
小学校の教師になって18年目になる。スポーツ好き、子ども大好き、子どもたちや保護者にも人気が高い、頼もしい女性教師である。インタビューした。
保護者から、学校のことにかぎらず、家庭の問題とか仕事の悩みまで、いろいろな相談が持ち込まれます。なかにはパニックになって夜中に電話してくる親とか。
まあ、ふだんから「自宅に電話してもいいですよ」と言っているので、かまわないのですけれど。
お母さんたちは一人で考えていると煮つまっちゃうらしくて、たいしたことじゃなくても、やっぱり聞いてもらうと、ホッと安心するみたいです。
どうにもつきあいきれないなと思うのは、やっぱり親のエゴや見栄かしら。
子どもの成績があまり振るわないのに「なんとかして私立を受けさせたい」という親がいる。いったいだれのため?といいたくなる。結局ブランド信仰でしょ。
私に言わせれば、子どものことなんてまるで考えていない「たわけ親」ですね。親がこんなふうだと、子どももうまく自立できない。
今の子どもたちをひと言でいえば、自己中心的で、依頼心が強い。セルフコントロールができないんです。
子どもたちは集団のなかで、ケンカをしり、いろいろな経験を積んだりしながら、自分で考えること、自分を抑えることを学んでいく。
ところが、高学年になっても、それができなくて、相手をケガさせるまで殴ってしまうとか、ケンカの仕方もわからない。
女の子を殴った男子がいて、許せないから、私は、その子を引きずり出すつもりが、逆に投げ飛ばされてしまった。いつの間にか、子どもの方が力が強くなっていたの(笑)。
ところがその子が謝らない。家庭でも謝ったことがないらしいんです。両親が優しく、悪いことをしても謝らないで済んできたんですね。
ただ、この両親は子どもに対して真剣だった。学校に来て「謝らせたい。いま頑張らないと、あの子は立ち直れないから頑張ります」と。
三週間経たとき、その子が、ようやく私のところに来て「ごめんなさい」って言ったの。それからは、つきものが落ちたように変わってね。返事もろくにしなかったのが、きちんと挨拶するんです。
親と話したり、家庭訪問をしていると、なんだか子どもたちが放任されているように感じますね。精神的な面で放置しているんじゃないかなと思います。
教師以上に、親たちが自分の子どもと、どう関わっていいか、わからなくなっているみたい。子どもを友だちあつかいする親がふえた。けっして叱らないとかね。
子どもにとっては、いっけん、らくそうに思えるけど、やっぱりちがうと私は思う。
教師がガンガン叱っても、あとで「叱られて良かった」って言う子、けっこういるんですよ。叱ることに、結局は愛情の裏打ちがあるからじゃないかしら。
奇声を発する子、やたら触ってくる子、そういう不適応な行動をする子には、それなりの理由があります。
かまってほしいから、わざとそういう行動をする。心のつながりがほしいんです。家庭でかまってもらえないぶん。
本気でぶつかったり、叱ったりするのは、教師もすごくエネルギーを使うけれど、面倒がってたらダメなの。
それだけのものは子どもから、かならずかえってくるんですから。
(関東圏の公立小学校女子教師)
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