ささいなことで苦情を言い、攻撃的になる保護者にどう対応すればよいか
6年生の保護者のDさんは、自分の気持ちが滅入ると担任や教頭に電話をかけてくる。
内容は「子どもが遅く帰ってきた」とか「子どもがすり傷をしているがどうしたのか」というささいなことなのだ。
会話をさえぎったり否定するようなことを少しでも言うと、豹変して攻撃的になる。
自分の正当性を主張し、さらに恫喝したり、威嚇するようなことを言い、気持ちがおさまるまで延々と続くことがしばしばある。
教育委員会などに、学校や教師のうそを言い広め、担任は精神的に消耗してしまった。
どうすればよいのでしょうか。
苦情を言うことで自分の気持ちをはらそうとする保護者は、時間も気にせず、あることないことを言いふらすことも多く、相手をしていると精神的に消耗してしまう。
実際、担任が電話で対応すると教頭や校長の悪口を言い、教頭が対応すると担任を批判する。校長が対応すると担任と教頭の批判をする。
組織内の人間関係を悪化させるような発言をする保護者がいて困ったというケースもある。
この保護者のDさんの場合、虚言、操作性、衝動性、依存と攻撃の併存など、母親本人の心の問題が懸念される。
対応にあたっては、必要以上に巻き込まれないように注意する必要がある。
具体的には
(1)だめなこと、できないことは、はっきりと言う。
(2)身の上話に同情しすぎない。
(3)あわてず騒がず、冷静に対処するように心がける。
保護者から聞かされた内容を一人で持ちこたえるのが大変な場合には、信頼できる先輩教師や管理職、スクールカウンセラーなどに相談しアドバイスを受けるようにする。
少しでも心の負担を軽くすることが自分自身のメンタルヘルスのために必要である。
また、校内の教職員間の連携をしっかり取って情報を共有すること、関係する外部機関とも情報交換をこまめに行うことも忘れてはならない。
(新井 肇:1951年生まれ、埼玉県公立高校教師を経て、兵庫教育大学教授。カウンセリング心理学を基盤とした生徒指導実践の理論化、教師のストレスとメンタルサポート等を研究)
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