教師は自分を保護者にどう見せるか、自分をプロデュースする能力が必要だ
私は、保護者にどう見られているかを一番気にしている。そして「良い先生だ」と思われるように気をつけている。
これからの教師には、自分を保護者にどう見せるか? 自分をプロデュースする能力が必要だと言えるだろう。
たとえば、学級通信である。私は基本的に、学級通信を毎日発行している。年間200号以上である。
毎日発行していれば、保護者は「熱心な先生だ」と思ってくれる。少なくとも、サボっているようには見えない。そして
「先生、毎日、学級通信をありがとうございます。毎日作るなんて、大変でしょうに」なんて感謝の言葉をくださることも多い。私は
「いえいえ、子どもたちが素晴らしいからですよ」
「毎日、記事にしたいことがいっぱいです」
「それに、学級通信づくりは、楽しくて趣味みたいなもんですからね」
「毎日作っても、全く苦になりません」
などと、さわやかな笑顔で答える。
私は、初任者の時から、ほぼ毎日、学級通信を発行し続けてきた。だから、頭の中に文例が入っているので、学級通信を作るのに時間をかけていない。
今はA4サイズで出しているが、1号を作るのに10分もかからない。時間が取れる時に作り貯めしている。
学級通信の内容は、子どもの良さを伝えるものが多い。特に小さな良さを見つけて伝える。
たとえば、次のような記事である。
前半は、私がきちんと子どもたちを鍛える、学力をつける教師であることを宣伝する。
「子どもたちを鍛えるために、毎日漢字テストを行っています。間違った漢字は10回やり直しさせるという厳しさですが、子どもたちはがんばって取り組んでいます。100点を取る人も、とっても増えてきました」
「漢字テストの時に、〇〇さんが「テストの紙が1枚足りないのでくださいと言いに来ました」
「〇〇さんは、テストの紙が足りないことに気づき、先に後ろの人に紙を回してあげたのです」
「〇〇さんの優しい行動に、心が温かくなりました。幸せな気持ちになりました」
「クラスも、〇〇さんのような優しい行動が増えるといいなあと思います」
こういう記事を読めば、保護者は
「子どもの細かい所までよく見てくれている先生だ」「子どもの良さを認めてくれる先生だ」と。
学級通信でほめると、口でほめる100倍の効果がある。
「教育熱心で、真面目な先生が子どもたちのことを思って、毎日コツコツと時間をかけて学級通信を作ってくださる」
そんなイメージを持ってもらえるようにしているのである。
自分をどんな「良い先生」と保護者に見せようと思うのか? まずそのイメージを持つことが必要だろう。
そして、イメージを持ったら、どうすれば保護者にそのイメージを持ってもらえるか? 自分の立ち振る舞いを考えないといけない。
教師は、自分を良い先生だと宣伝することが大切である。
ちなみに、学級通信で一番のコツは「必ず読み聞かせること」である。配っただけでは、子どもたちは読まない。
学級通信は読み聞かせて、みんなの前でしっかりほめてやることが大切なのだ。
保護者への「良い先生アピール」が裏の目的だとしたら、表はやはり、子どもへの指導だろう。
学級通信を発行することは、まさに一石二鳥である。どんどん発行しよう。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。
また、若手教師を育てることに力を入れ、多くの学生に向けて講演も行っている)
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