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授業名人有田正和の逃げ場のある叱り方とは

 ほめることより、叱ることの方がはるかにむずかしい。叱り方によっては、一人の人間をだめにしてしまう場合もあるからだ。
 私もこれまで失敗しながら何とかやってきた。
 私の体験では「8割ほめて、2割叱る」くらいの割合がいいように感じている。
 私は、担任を持ったとき、つぎのようなことをしたら叱りますと宣言した。
(1)
命にかかわるようないたずらをしたとき。
 3階の窓から身を乗り出している子を、後ろから押した子がいたことがあるから。
(2)
人権・人格にかかわること
 他人をばかにしたり、さげすんだりしたとき。
(3)
同じような注意を3回しても聞かないとき
 このほかのことでは叱らないといっておいた。
 こうしておけば、子どもも安心で、どんなことをしたら叱られるかわかる。だから伸び伸びと生活ができる。
 ぶれないことが大切で、むやみに叱らないことが、子どもを育てるうえで大切なことだ。
 叱った後には、必ずケアをすることが大切だ。
 あとで、別なことでほめるとか、何かいいことを言ってやるのだ。
 叱りっぱなしでは、子どもの立つ瀬がない。育てるために叱るのだから、ケアが必要なのだ。
 叱るとき、子どもの言い訳を聞かない、逃げ場のない叱り方をしている教師がいる。
 私は、小学校6年生のとき、校長先生からひどく叱られたことがある。明らかに校長の誤解であった。
 私が言い訳をしようとしたら「そんなもの聞きたくない。お前のやったことに間違いない」といって、長々と叱られた経験がある。
 このとき、子ども心に「何で間違っているのに聞いてくれないのだろう。校長の資格がないのではないか」と思ったことを今でも覚えている。
「逃げ場のない叱り方」をされた方は、心に傷がつき、長く心に残る。
 近頃は、教師も忙しい。このため、つい「言い訳」を聞かなくなる。自分がその立場に立ったらどうか、と考えることだ。
 子どもは「言い訳」をしたら、すっとするようだ。
「言い訳」を追及しないことだ。少しおかしいなと思っても、見逃してあげる。これが逃げ場のある叱り方である。
 要は、子どもが育てばよいのだから、多少の「うそ」はあってもよいのではないか。「うそ」を追究しても、子どもを追いつめるばかりである。
 子どもは、叱りながらほめ、ほめながら叱らないと育たない。このかねあいがむずかしい。
 クラス全員に厳しく注意をしたり、叱った後は、必ず「笑い話」をした。
 叱ったまま帰らせると、いたずらしたり、事故をおこしたりする。だから、帰るときには絶対に厳しく叱らなかった。
 逆に、大笑いさせて、いい気分にさせて帰すように心がけていた。
(
有田和正:19352014年、福岡教育大学附属小倉小学校、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた
)

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