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子どもが変われば、保護者も変わり、教師を信頼する

 新年度が始まった4~5月。保護者たちからは、クラスへの不安が多くよせられました。
「いじめの加害者の〇〇さんと、また同じクラスになってしまった」
「うちの子は△△さんから手を出されたことがあるので心配」
など、わが子にのみ関心が向いている保護者がおおぜいいました。
 家庭訪問でこうした保護者の話を一つひとつていねいに聴きながら、学級経営と授業をしっかりやっていくことをはっきりと伝えました。
 子どものよいところを見つけて、教師がほめることからスタートし、子どもたちがお互いにほめ合う。
 さらに「ほめ言葉のシャワー」「成長ノート」などを通して、友だちのよいところを積極的に見つけていく。
 こうした繰り返しの中で、少しずつ自信をもっていった子どもたちは、学校での様子を積極的に家庭で話すようになりました。
 今まで、友だちや学校への不満をこぼしてばかりいたわが子が、ほめられた喜びや友だちのよいところを話し始めたことに気づいた保護者は「今年は、今までと違う」と感じてくださったようです。
 保護者が学校に抱くマイナスの気持ちをプラスに転換してもらうために、私は最初の授業参観で子どもたちの学び合いの姿を見てもらい、これまでの不満・不安をふっしょくしてもらおうと考えました。
 授業では、話し合いの場面を多く取り入れました。話をしている人の方に体を向けてしっかりと話を聴き、全員が自分の考えを自由の考えを自由に出し合う。
 正解を求めるだけの授業とは全く異なる話し合いの授業に、保護者は驚かれていたようです。
 授業参観の後、子どもたちの「成長ノート」を各自の机の上に置いておきました。懇談会で、わが子の席に座った保護者おもむろに「成長ノート」を広げました。
「成長ノート」は、筋目筋目に合わせた規範意識や育てたい目標など、学級の中で学ばせたい“価値ある行為”を、書くことによって意識化させるノートです。
「今日の話し合いの授業で学んだこと」など、私が提示したテーマについて、子どもたちは意見や感想を書いていきます。
「うちの子が自分の意見をこんなに書けるなんて知らなかった」
 初めて見るわが子の「学びの軌跡」に、保護者は高い関心を示していました。
「うちの子は、新しいクラスでやっていけるのだろうか」という不安が「子どもたちは変わろうとしている」という期待に変わっていく様子がまざまざと感じられました。
 教師の仕事は、日々の授業が中心です。全ての大切なことが授業の中に入っていると思っています。授業づくりには「これくらいでいいだろう」という妥協点はありません。
 私は一人ひとりの子どもの学習ノートや「成長ノート」に必ずコメントを添えます。
 子どもたちに伝えたい大切なルールや学習のポイントをまとめたプリントや、子どもたちの意見や感想を集約したプリントを作って配ることもあります。
 結果的に、子どもたちの学びの姿を保護者に伝えています。
 日頃のつながりとは、日々の授業の積み重ねです。あくまでも教師は、授業で子どもたちと向き合っていくことが大切だと思っています。
 日々の授業で子どもたちが育てば、それを実感した保護者も成長するのです。
(
菊池省三:1959年生まれ 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「 菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)

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