« 教育実践で、一般的法則をつくり出すことができるか | トップページ | 教師が学級崩壊など危機的状況になっても、乗り越え教師人生をまっとうしていくうえで支えになることとは »

あなたに中学生の心が聞こえますか?

 中学校時代は小学校時代に比べて、あらゆる分野との関係が一気に拡大する「黄金時代」であるといえる。
 まず第一に、行動範囲が大幅に広がり、何かを実現することが可能になる。
 学校の自治を自分たちで行うという意識が生まれる。
 校則を吟味し、批判的精神をもって全てに耳を向け、受け入れるか否かを判断し始める。
 学校のひとつひとつの教科について「誰が」「何を」「どのように」教えているのか、そこにどんな価値が生まれるのか、実に気難しく考えるようになる。
 そして受け入れがたいものは、自らの手で行動を起こして、変えていこうという自主性が芽生える。個の確立にとってある意味、革命的な時期でもある。
 だから「黄金時代」と言ってみたものの、その反面、様々な抵抗を示す時期でもあり「暗黒時代」という、諸刃の剣的な言い方もできる。
 それと同時に、自分が不得意なものに粘り強く挑戦し、それを克服して自分を高めたいという知識欲も大変強くなる。
 例えば、私の場合、苦手だった数学を強くするため、1日に問題集を何十ページも自分に課し、正答率が自分の定めた基準以下だと、間違えた問題1題につき問題集を1ページを追加した。
 中学生にとって、自分の努力に対する他人の評価はもちろん大切である。
 その一方、「評価されればそれでいい」ではなくて、その真価をちゃんと評価してくれているのかどうか、評価の理由付けも大きな意味を持つ。
 ちゃんと相手が自分を見て、理解した結果の評価なのかが、逆に相手への、自分なりの評価軸になる。
 受け入れるものと、受け入れないものとの、自分なりの基準を作り上げるのも、この時期である。
「認められたい相手」と「認めない相手」とを明確に差別化する。
「認めない相手」に対しては「一見、従順な無視」をもって向き合う、静かなる反発も始まる。
 また「無関心さ」が顕著に現れるのもこの中学校時代である。
 中学校時代は自分の力を最大に発揮する挑戦の始まりの時期です。
 それだけに、定められた規範が与える保障と制約をうとましく思い、自我の芽生えて、その保障と制約から飛び出して自分独自の何かを確立したいという葛藤が生まれる。
 その結果、自分を取り巻く人間関係もより複雑になり、ぶつかり合うことが多くなる。
 この繰り返しからの中から「過去」を壊して「未知なる何か」を求めるため、楽しいようで、全ての挑戦からあらゆる不協和音が生まれる。
 あまり良い思い出がないと中学生時代を振り返る人が多い。
 中学校時代は、皆、自分を発揮し始め、人間関係での葛藤や自意識過剰や人に認められたい願望が高まり、そこからいろいろな新しい視座獲得の時期を迎えている。
 中学校時代とはまさに「過去と現在から離脱し、未来へ向けての冒険の旅につながる第一のトンネル」である。
 そんな中学校時代でもがいている時、言葉はある意味、当てにならず、その答えは中学生の行動、まなざしの中にあるのだ。
(
長谷部葉子:東京都出身、慶應義塾大学准教授。不登校、高校・大学受験失敗などの経験から、20歳代半ばで寺子屋を立ち上げ、教育支援に携わる。教育とコミュニケーションを研究
)

|

« 教育実践で、一般的法則をつくり出すことができるか | トップページ | 教師が学級崩壊など危機的状況になっても、乗り越え教師人生をまっとうしていくうえで支えになることとは »

子どもの実態」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: あなたに中学生の心が聞こえますか?:

« 教育実践で、一般的法則をつくり出すことができるか | トップページ | 教師が学級崩壊など危機的状況になっても、乗り越え教師人生をまっとうしていくうえで支えになることとは »