自分にしかない武器となる魅力的な話し方をするにはどうすればよいか
人間、誰でも自分にしかないものを持っています。自分にしかない顔、自分にしかない声、自分にしかない人柄、自分にしかない興味や体験から得た知識・・・・・。
そんなものが素直に発揮されているのが、私が考える、いちばん魅力的な話し方です。
そういう自分の武器となるものに気づけるかでしょう。
気づくには、やっぱり場数が必要です。
人とたくさん話をしているうちに、自分のこういう話は受けるんだというのが分かると思います。
それを意識して利用しようとすると、鼻持ちならなくなることがありますが、それは一時的なこと。さらに場数を踏んでいくと、また自然になっていくものです。
芸人というのは怖いもので、場の「空気」を目で見るというより、肌で感じて対応しているようなところがあるんです。
「今日のお客さまはこうだな」「空気がこう変わったな」ということが、頭で考えなくても分かる。
その直観を育てたものが何かといったら、やっぱり一つには場数でしょう。
いろいろなお客さまの前でお話をして、いろいろな状況を経験してきた。その蓄積が瞬発的な対応力、引き出しの多さになっているんじゃないかと思います。
しかし、ただ場数を踏めばいいというものでもありません。分かりやすく、面白く伝えようという意識が必要ですし、その根底には、人に対する思いやりがなきゃいけません。
場の「空気」が読めるか読めないかは、一つには思いやりの差です。ふだんから、相手の身になって物事を考えているかどうか。
思いやりのたりない人が人前で話をすると、自分勝手な話し方をするものです。話というのは、自分が何を言ったかではなく、相手にどう伝わったかが大事です。
ところが、それが分かっていない人は、自分の言いたいことを言いたいようにしゃべって満足する。
そういう人がいくら場数を踏んでも、場の「空気」がよめるようにはなりません。
ふだんから相手の身になって考えられるかということが、人前で話すときの、場の「空気」を読めるかということに関わってくるんです。
もっとも、どんなに思いやりがあって、ふだんから相手の身になって考えている人でも、経験が少なければ、場の「空気」を読みながら話すことは、できるようになりません。
と同時に、もっとも大事なのは、毎回、必ず反省することだと思います。
上手くいかなかったときは、なぜ上手くいかなかったのか、上手くいったときには、どこが良かったのか、どうすればもっと上手くできたのかということを必ず反省する。
失敗してもいいんです。その失敗をどう活かすかということが本当に大事です。これもふだんからの心がけで「失敗はかならずするもの。その経験を活かそう」とする姿勢が大事です。
(一龍斎貞水:1939年東京都生まれ、 講談師、人間国宝。「講談は守るべきものと開拓すべきものがある」が座右の銘)
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