子どもは気質によって受け取り方が違う、気質によってどのような言葉かけをするとよいでしょうか
人間はそれぞれ違った気質を持って生まれます。同じ言葉をかけても、ある子は喜び、別の子は傷つくことがあるように、気質によって受け取り方が違います。
ですから、子どもの気質を知ってそれに合った言葉かけをするとよいでしょう。
また親と相性が合う子、合わない子がいます。親は自分の気質を知るとともに子どもの気質にも目を向けてみると、子育ての大きな助けになるでしょう。
気質は胆汁質・多血質・粘液質・憂鬱質に分けることができ、シュタイナー(注)はそれぞれの気質をよく知って教育を行うことが大切だと述べています。
(1)胆汁質の子ども
自己主張がはっきりしていて、意志が強く、言葉もはっきりしています。口答えする生意気な子どもに見えてしまいます。
意志がはっきりしているので反抗もしますし、生意気な行動を取って怒られたりします。
叱られやすいので、納得できないと荒れてしまいます。子どもの話を「そうだったんだ」と同調して聞いてあげることが大切です。
「子どもだから仕方がない」ではなく、どこかで「これはすべきではない」という止める規準をつくり、ブレーキをかけます。
頭ごなしに叱るのではなく、子どもが落ち着いてきたら、話をしたり、手で示したりして実際にやってみせてあげて、なぜいけないのか納得させるとよいでしょう。
小学三年生くらいから考える力がついてくると自己分析もでき抑制力がついてくると努力をするようになります。
正義感が強く論理性があり弁も立つので優れたリーダーシップを発揮できるようになります。
(2)多血質の子ども
いろいろなことに興味を持つために、落ち着きがなく、一つのことに集中するのが苦手です。
遊びが定まらず、今ここにいたかと思ったらすぐ次の遊びに行きます。
何にでもすぐ反応してしまいますから「落ち着きなさい」と言いたくなりますが、そうすると余計に落ち着かなくなってしまいます。
おおざっぱな生活リズムをつくることが大切です。
朝は散歩をする。時間になったら昼寝をする。起きたらおやつにする。寝る時間になったら寝かせる。といった大きな生活リズムにだけ神経を使い、それ以外は使わないようにしましょう。
次々関心が移る子どもにいちいち対応していると親の方が疲れてしまいます。淡々と生活しましょう。
子どもが目移りしないように、たくさんの物があふれないよう、余計なものはしまっておいた方がいいでしょう。狭い閉じられたところで自由に遊ばせるのがよいと思います。
話言葉は「やった」「だから」と言うように、脈絡がわからないので何を言っているのかわからないことも多いです。
人と接するのが好きで、どんな人ともつきあうことができ、まわりの人を明るくさせ、大人からは可愛らしく見え好まれます。人と人を結びつける潤滑油的なところがあります。
(3)粘液質の子ども
ゆっくりしすぎるほどゆっくりしています。一つのことをすぐに止めて、次のことに移ることが難しい傾向があります。
言葉を発しにくく何を言っているのか分からない場合があります。
遊びを邪魔されても、ぼーっとしていて抵抗があまりありません。言葉をあまり発しません。
目立たないけれど、存在感がある。任されたら仕事はきちっと仕上げるので、まわりから信頼を得られる人です。
こつこつ仕事をこなしますから、同じことを緻密にやらなければならないような仕事に能力を発揮します。
間違いをして叱られてもそうひどく落ち込まないのも特徴です。
ゆっくり話ますので、聞くのに時間がかかります。やさしく、できるだけゆっくりと話を聞いてあげることです。
基本的に豊かなファンタジーの力を持っていますのが、身体が重いような感じで、動くことが少なくなりがちです。
そこで意識的に少しでも動きやすい、まわりでみんなが遊んでいるような場所に連れて行った方がいいでしょう。
大きくなってから動かそうとしても無理ですから、小さいときから動く喜びを体験させてあげてください。
(4)憂鬱質の子ども
孤独感がただよい、社交性がなく、何かを極めていく人という感じがします。
特定の人以外は自分を閉ざし、顔つきもあまり明るくはなく、いつもちょっと悲しそうな表情をしているように見えます。
言葉ははっきり出てくる方ですが、砂遊びのようなことはあまり好みません。
自分のことが話題になるのを好まないので、ほめられたとしても傷つくときもあります。
叱られたりすると「自分はダメだ」とひどく落ち込みます。傷つきやすいのが特徴です。
基本的に脚光を浴びることを好まない。仕事にじっくり取り組むことが好きで正確さを重んじます。
緊張度が高いので親には本心が話せても、教師には話したがらないことがあります。その意味では、親が話を聞いてあげることが必要な子どもだと言えます。
育てやすいと感じる子どもは自分の気質によく似た子どもでしょう。
しかし、可愛くない、憎らしいと思ってしまう子どもも自分の気質に似ていることがあります。
親が自分の嫌なところをわが子に見てしまうと、その子が嫌いになり、自分にないものを持っている子どもが可愛く感じるということもあるのです。
つまり、親が自分の中の何を見ているかが、子どもの好き嫌いを左右しているわけです。
気質はあくまで子どもを見るときの視点の助けです。気質を裏付けにして子どもを観察するのです。
それなのに「だれだれは、どういう気質である」という決めつけをして、それだけで子どもを見ようとすることは、子どもを見る目をさまたげることになります。
どうかこのことを忘れずに、上手に気質を利用してください。
(注)ルドルフ・シュタイナー:1861- 1925年、
オーストリア出身の神秘思想家、哲学博士。シュタイナーの人間観に基づき、独自の教育を行うヴァルドルフ学校は600校。
(堀内節子:小学校教師を経て1975年に愛知県豊橋市に「にじの森」幼稚園を開園し前園長。シュタイナー教育を取り入れた幼児教育を実践)
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