一斉授業で、一人ひとりの子どもを生かしていく方法がわからない、どうすれば意欲を高め、生かせるのか
一人ひとりの子どもをよく知って、その能力を授業で最大限に伸ばすことが教師の責務である。
実際には、一斉授業で教師が子どもたちに課題を投げかけたとたん、一人ひとりが、個性的に、理解程度に応じて自らの考えを働かせる。
教師が、子どもたち一人ひとりの思考を、教師が確実に把握して、授業でどう生かすか、その方法を見通しておくことが大切である。
一人ひとりを生かすポイント(視点)は、一人ひとりの子どもが
1 個性を生かして授業に参加する
算数や理科の学習は、答えを一つに導き出す過程で、子どもたち一人ひとりのさまざまな見方や考え方を大切にする。
お互いの考えを交換し合う場を設定すると、それぞれの考えが生かされて多様な解決の方法が発見できる。
一つの見方にとらわれることなく、どの子どもの考えも大切にして、いろいろな角度からの考え方を授業で取り上げることが個性を生かすことになる。
(1)一人ひとりの子どもが、自分の考えを素直に出し合える学習活動の場をもうける
(2)子どもの考えを出させる場合、教師の意見に流されないように、まず、子どもから考えを出させる
2 子どもの能力を生かす
それぞれの能力にあった学習の成果を上げるようにする。
(1)子どもの把握
子どもたち一人ひとりの
「理解・解決するまでの時間」
「既習の知識・経験」
「興味・関心の度合い」
の違いを把握していると、一斉授業の中で適切な機会をとらえて援助できる。
(2)コース別による学習形態の工夫
理解を主とした学習では「早く分かる」「まだ分からない」など、理解状態に応じた学習コースを構成しておく方法もある。
(3)小集団活動の利用、能力別編成
技術的な面では、能力別のグループ学習が有効である。
学習内容に応じて柔軟に編成し、固定化しないように配慮する。
子どもの意欲を高める授業をするには、
1 興味・関心を呼び起こし行動してみたくなる好奇心をそそる課題を与える
(1)自分の能力で解決できる能力にあった課題
(2)好奇心をかき立てる新しい課題
(3)学習する手順、過程が見通せると自分でやれる自信が生まれる
(4)直ちに努力の結果が知らされる喜び、成功感・成就感が味わえる
2 学習意欲を高める学級経営
学習意欲は、学級の雰囲気によって左右されやすい。学級意欲を高める学級経営のポイントは、
(1)認め合う学級
全ての子どもを教師が認め、子ども同士が一人ひとりの活躍を喜び合えるようにする。
(2)分かる授業をする学級
「分かった!」という満足感や成就感を与えられる授業をする。
(3)安心感のある学級
学習上の不安、友だち関係の不安、先生との問答への不安などのない学習活動にする。
3 学習指導の工夫
学習意欲とかかわる欲求には例えば「好奇心」「活動」「探索」「達成」「承認」「自己実現」などがある。
子どもの活動の様子をとらえて、あの子は、どのような欲求を刺激すると学習意欲が高まるのか判断するとよい。
(1)適切な目標を与える
(2)疑問や矛盾を感じさせる
(3)「やった!」「できた!」の経験をさせる
(4)子ども自身に資料を集めさせる
(関口 寛:1931年生まれ、宮城県教育研修センター指導主事を経て元仙台市立小学校長)
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