担任が保護者に「大丈夫ですよ」と言うと「親の不安がわかっているのか」と校長に苦情があった、どうすればよかったのでしょうか
小学3年生を担任していたときのことです。家庭訪問で、ある保護者から
「隣のクラスの鈴木くんは、とても乱暴で、去年、とがったものを持ってまわりの子にちょっかいを出しているのを見た」
「去年の担任は若かったせいか、他のことに気をとられていたのか、何も注意しなかった」
「どう考えても、あの鈴木くんはあぶなっかしい。うちの子がけがでもさせられたら大変だ」
「今年の担任はどうなんだろう。そこのところをしっかり見てほしい」
それを聞いた私は
「大丈夫ですよ。隣のクラスの武田先生はベテランですから。子どもをよく見ていますよ。心配しないでください」
と、安心してもらえるように言いました。
ところが、学校に戻ってみると、もう校長にその保護者から苦情の電話が入っていたのです。
校長から、保護者からの苦情の内容を聞きました。
「こちらが『しっかり見てほしい』と、担任の先生に言っているのに『大丈夫ですよ』だなんて、軽く受けとめている」
「こちらの不安がわかっているのか。私の気持ちが学校に伝わったのか」
というものです。
私の話し方が悪かったのではないかと、校長は私を責めてきました。
私としては、保護者の話に同調して不安を増幅させてもいけないし、同僚の武田先生の悪口を言ってもいけないと思い、保護者を安心させたいという気持ちから言ったのです。
しかし、保護者には、私がその保護者の不安な思いをきちんと受けとめていないという印象を与えてしまったようです。
どのように対応すればよかったのでしょうか。
保護者は「昨年伝えたことが、どうも実行されていない」と思っていたのに、教師が「大丈夫ですよ。ベテランですから」と応じたことで、不満が怒りに転じたようです。
乱暴な子を放っておいた学校側の対応への不満が根底にありますので、その子への対応について各教師の心構えと役割分担を説明することが必要でしょう。
具体的には、校内で教職員への伝達を行うと共に、その乱暴な子どもへの基本的な対応についての打ち合わせ会議を開き、結果を担当者が保護者に説明すると効果的です。
一般的に、他者のことで不満を述べる保護者には、対策委員会を構築し、対策を立てると、納得が得やすいものです。実践してみてください。
(諏訪耕一編集:1937年愛知県生まれ、元愛知県公立中学校教師。長野県に不登校の子どもの回復施設「浪合こころの相談室」を開設した)
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