暴力的な子どもやその保護者に、暴力行為をなくすには、どう考え対応すればよいのでしょうか
学校で暴力的な行為があっても、保護者のなかには
「学校であったことは学校で責任を持って処理してほしい」
「家では、そのような行為がないので、暴力的な子というレッテルを貼られるのは不服です」
「自宅では暴力的な行為はありません。先生方の指導が足りないのではないですか」
「うちの子に聞きましたが、お互い様のようですよ。こんなことで電話をかけないでください」
等、いろいろな保護者の声があることを認識しておきたい。
保護者は、自分の家庭でのわが子の様子を優先して、その姿と重ねて判断することがある。
そして、わが子が暴力的な行為を起こすはずがないという考え方で受け答えする。
どう考え、保護者に対応すればよいのでしょうか。
1 事実を的確に伝える
手順よく次のように説明していく必要がある。
(1)どのような経緯で暴力的な行為になったのか
(2)その行為を受けて、担任が取った対応
(3)今後の課題は何か
その際、担任は「暴力的な行為をしないですごすための考え方を身につけさせる」ことが、目的となることを明確にしておきたい。そのために、
(1)暴力的な行為だけを取り上げて説明するのではなく、学級で、どのように解決しようとしたかその方向性。
(2)家庭と協力し連携していくこと
2「暴力的な行為に訴えなくてもよい」という考え方を徹底する
つぎの考え方を子どもとその保護者に理解してもらうのである。
(1)子どもの暴力的な行為が問題の解決につながるのではなく「自分の言葉で問題の解決が得られる」ことを十分に意識させることが大切である。
(2)子どもにとって、暴力に訴えざるを得なかった状況も理解しつつ「暴力では物事が解決できない」という認識をもたせなければならない。
保護者への連絡によって、学校の指導方針がどのようになっているのか、明らかにするのである。
3 担任が保護者に伝えなければならないこと
暴力的な行為は学校でも家庭でも許される行為ではない。
たとえ、その場で暴力で解決したとしても、形だけの解決になってしまい、お互い理解を深めたことにならないということである。
「暴力では物事が解決できない」という認識は、学校と家庭との連携があってはじめて浸透するものである。
暴力的な行為を受けて気持ちよいと思う子どもはいないはずである。
どんな小さなことでも、手を出したり、蹴飛ばしたりする行為はいけない。
自分の言葉で言うことができるようにしなければならない。
保護者との接点は、この一点でよいのである。
(釼持 勉:東京都公立高校・小学校教師、教育庁、小学校長を経て、帝京大学教育学部教授、東京学芸大学特任教授)
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