小学校の学級崩壊のようすを目のあたりにして、何がいけないのか感じ取ったこととは
埼玉のある小学校で学級崩壊のようすを目の当たりにしました。
1年生のクラスです。30歳代の男性教師の国語の授業でした。
教師は教科書のページを指定して、そのページを読んで、気がついたことをノートに書くように指示しました。
その後は、教師による個別指導です。
何とか授業は5分間はもちました。しかし、すぐに教室のあちらこちらから、おしゃべりが聞こえてきました。
そして、立ち歩きです。子どもたちは「消しゴムを落とした」「トイレに行きたい」など、さまざまな理由をつけて、教室の中をふらふらと歩き回ります。
いつもの、普通の教室の風景のようでした。授業がまったくコントロールできていません。
実は私は、この授業を教員養成大学の学生数人と見ていました。
初めて学級崩壊を目撃した学生はフリーズしていました。
後で学生たちと、この授業のことで話し合いました。
学生は「もっと面白い授業をすべきだ」と、さかんに言いました。「あれじゃ、子どもたちが立ち歩きをしても、しかたがないような気がします」と。
私も同意しました。しかし、授業の面白さだけでこの混乱を改善するのは難しいだろうと話しました。
私は教室には子どもたちが気持ちく過ごすことのできるルールが必要だろうと考えたからです。
一斉授業では、最低2つのルールが必要だと話しました。
1つは、教師に許可なく席を立たない。もう一つは、発言は教師の指名を待ってする。
私の話に学生もうなずいてくれました。
ルールは教室の子どもたちが居心地よく学習するためのルールです。
1980年代までは、いきなり「ルールづくり」をすることが多かったようです。
しかし、子どもたちの個人主義的な傾向が強まってきた1990年代以降は、最初に「子どもと教師」「子どもと子ども」の関係づくりの作業が必要になりました。
最初の1カ月ぐらいは、教室内が仲良しになるための工夫が必要なようです。
教室の基本的なルールづくりは、4月に集中して行うことが多い。
単にルールを提示するだけではありません。
なぜそのルールが必要か説明し、実際にそのルール通りに動けるかどうか試してみます。
そして、そのルールが実際に運用できるかどうか見守ります。
(上條晴夫:1957年山梨県生まれ、小学校教師(10年)、作家、教育ライターを経て東北福祉大学教授。お笑い教師同盟代表、専門は教師教育学、教育方法学、ワークショップ)
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