教師たちが同僚教師対して抱く感情とは
私たち教師が、同僚教師に抱く感情の中で、人間関係のうえで一番問題となるのは、結局嫉妬の情念だと思うのです。
われわれ教師は、この人間の情念世界における普遍的法則を忘れないようにしたほうがよいと思います。
嫉妬に悩まされる教師は、その人の生き方や考え方が、まったく自己中心的だからである。
「自分の学級さえよければよい」とか、さらには「自分さえよければよい」という考えが、支配的なところから起こる現象だともいえましょう。
すべて、卓越したものに対して、虚心にその卓越性を認めえないのは、自分の心性が卑小なことの何よりの証拠である。
結局は、その学校の教師たちすべてが、教育そのものを根本として考えるようになる外ないでしょう。
もし、同じ職場の中で、お互いに心の通うような同性の同志を見出すことができるとしたら、それはこの世の中における一つの大きな恵みであり、祝福だといってよいかと思います。
一つの学校に、考えを同じくする教師が3人でき、それら3人がお互いに心を合わせて、何とかして、自分たちの学校に1つの動きを起こそうと努力したら、それは必ずや成功するといってよいでしょう。
また、学校づくりに当たって校長として一番やり易くて、ありがたいのは、若手教師の中堅級でしっかりした3,4人が、心を合わせて積極的に音頭を取り出してくれることであります。
その際、とくに大事なことは、自分はつねに「縁の下の力もち」的な役割に甘んずるという覚悟だといえましょう。
要するに、華やかな役割はなるべく他人にゆずって、一向に目立たない仕事の方に廻るということであります。
人生における開眼とは、われわれの生命が根本的によみがえるということです。
それはどういう事かというと、これまで物事をすべて自己本位の立場から考えてきたのに対して、物事をできるだけ相手の立場に立って考えるとか、第三者の立場に立って見直すようになることだと言えましょう。
(森 信三:1896年-1992年、愛知県生まれ、哲学者・教育者。全国を教育行脚した。神戸大学教育学部教授、神戸海星女子学院大学教授。1975年「実践人の家」建設)
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