子どもがいやになり、子どもの言うことを聴くのが苦痛に感じます、どうすればよいのでしょうか
教師は子どもを相手にする仕事であるため、とてもエネルギーが必要です。
いろいろな行事や校務分掌の仕事が重なると、さらに大変です。おまけに、保護者との対応などにも精神的なエネルギーをとられてしまいます。
ですから、教師であるためには、なによりも余裕が必要です。
教師は自分に余裕(エネルギー)のない時は、子どもたちのペースに合わせられず、授業がうまくいかなくなり、イライラして、ついきつい口調になったり、全体を見通したり、見渡す力が弱くなるために学級がバラバラになったりします。
余裕のない状態が続くと悪循環におちいってしまい、エネルギーを浪費して消耗しきってしまいます。
いったんそうなると、以前は子どもたちのことが大好きだったのに、教室に行くことさえ苦痛に感じるようになったりします。
そのことで、保護者から疑問の声が出てくるようになると、ますます追い込まれたように感じて自分を責めたり、子どもや保護者たちを責める気持ちが生じてきます。
常に疲れやすく、イライラしやすいわけですが、その根底には憂うつな気分があります。
自分のことで精一杯になっていて、何事もうわの空で集中できなくなっています。
もともとイライラしやすいタイプの人にもよくありますが、真面目で不器用な、少し融通性に欠ける性格の人にも生じやすい状態です。
一人で問題を抱かえこんでしまい、周囲の同僚教師がアドバイスしにくい雰囲気になっていることもあります。
こうした状態が長く続く場合には、精神的な疲労による「抑うつ状態」が疑われます。
こういう時は、自分自身へのエネルギー補給が必要です。
問題解決に努めるために、管理職や同僚教師、家族に相談することは大切です。
話を聴いてもらうだけでも、疲れた心が癒されることでしょう。
懸命になればなるほど、悪循環におちいりやすく疲れをためてしまうこともあるので、時には仕事と距離をおくことをお勧めします。
一人で静かに過ごしたり、学校とは全く関係のない人たちと趣味を楽しむことが有効です。
いつもと違った新鮮な気持ちになり、ゆとりを取り戻すことができるかもしれません。
そして、子どもたちの笑顔を見たり、成長に気づくことでエネルギーをもらえることが目標と考えてみましょう。
(中島一憲:1956-2007年、1990年より東京都教職員互助会三楽病院勤務し部長、東京医科歯科大学教授を歴任した。精神科医師)
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