授業づくりは、最初に板書(教材内容、方法、授業の展開順序)を考え、指導案(「発問」「指示」「活動」)を考えるとよい
板書内容を考えて指導案を考えると、教材研究は焦点化されたものになることがわかってきた。
授業を行うとき、おぼろげに「こんなことをしてみたい」と考えるのが最初だろう。
教材研究をしながら「こんな教材・内容をやりたい」ということが決まれば、しめたものである。
しかし「何をやったらよいか見当がつかない」ということもある。
こんなとき、ふと思いついたのが「板書計画から授業づくりを考える」という方法もいいと気づいた。
つまり「指導案」を書く前に、黒板に板書をしてみるということである。
板書には「教材(内容)、方法、授業の展開順序」が出てくる。
これをもとにして、教材研究をすると焦点化されたものになることがわかってきた。
「板書」を検討しながら「教材研究」を行うのである。
(1)順序はどうか
(2)子どもは、わかるか。くいつくか
(3)授業は盛り上がるか
(4)遊びを少し入れるとすれば、どこに、どんなものを入れるか
といったことを「板書」を中心に検討するのである。
授業が始まったら、子どもの動きに合わせて自由自在に変えることもある。
計画通りいったときより、少し変わったときの方が、よい授業になることが多い。
具体的には
1 板書計画は少し多めにしておく
教材研究は、調べてはそれを否定し、否定してはまた新しいことを調べる。
否定すると新しいことが見えてくるし、関連することが見えてくる。
こういうことを繰り返して、やりたいことを板書する。例えば、
「量が多すぎる」「何をどのようにカットするか」「新たに書き加えることはないか」「書き加えてはカットする」「カットしては書き加える」
この繰り返しをする。
私の板書は、いつも少し多すぎると思っているので、常に何をカットするか考えている。「多めの板書計画をたてて、カットする」というのがいいようだ。
欄外に「?」として、子どもの動き、考えに応じていろいろと幅広く対応できるように計画をたてておく。
2 板書をもとに指導案を書く
板書をもとに指導案を書かねばならない。
板書は「内容」が中心であるが、指導案は「発問」「指示」「活動」が中心になる。
「発問」「指示」は、内容を引き出すものだから「板書」を書き、これをもとにして「発問」「指示」を考えた方がよい。これに、活動を考えて指導案にしあげる。
最後に「ねらい」を書く。こうすると、活動と「ねらい」がピッタリする。
私の「バスの運転手」「ポストづくり」などは、みんな板書から内容を考え、それを指導案にした。
(有田和正:1935-2014年、福岡教育大学附属小倉小学校、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)
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