保護者からの苦情対応はどうすればよいか、弁護士から学校や教師へのアドバイス
弁護士として学校関係者から相談を受けるたび、先生方が「誰のために何をしたいと考えているのか」という疑問を禁じえません。
また、明らかにダメなものには、はっきりとダメだと言えばいい、そうすればもっと楽になるのに、どうしてしないのかとも思います。
また、法律的に白黒の判断がよく分からない場合、真っ白なところと真っ黒なところをまず知ってください。それが分かるだけでも、楽になるのではないでしょうか。
そう見ていると、先生は線引きが非常に下手だと思うのです。
この保護者はクレーマーなのか、それとも訴えを聞くことで、幸せにつながる大事な宝物をもってきてくれている保護者か、という判断が、学校や教師ができていない、しようとしていないということです。
保護者からの苦情を、目の前にいる子どもへの教育的配慮として、学校はどうするべきなのか、を考えることだと思います。
つまり、子どもの成長、学習の保障という部分から見て、その保護者の訴えが正当か正当でないかということです。
常にこの発想に立って学校は対応するべきです。
この発想がしっかりとできていて、それをきっちり説明できれば、ほとんどの場合はうまくいきます。
ただし、これが通用しない少数の保護者もいます。そういう人たちへの危機管理を意識して学校経営を考えなくてはいけないと思います。
先生はすぐ保護者をクレーマーにしようとします。その理由は、保身や対人関係スキル不足が大きいのではないかと思います。
もう少しちゃんと対応すればいいものが、出てくる保護者をクレーマーだと言うのは「私には、もう扱えません」と告白しているも同然だということです。
ダメなことはダメだと言うことは「是々非々」を判断して実行するということです。
この「是々非々」の線を、教師や管理職も含めて、実行に移すという「術(すべ)」が必要なのです。
目の前に起こっていることが是か非か分からなくては困ります。
その線が分かったとしても、判断に従って行動する際に、障壁や支障が出てくる場合もありますので、そこをどう具体的に対応していくかを含めて「術(すべ)」がなくてはなりません。
最前線に立つ現場の先生方が、トラブルの際に孤立しないで教育活動を遂行できないといけません。
そこでは、誰かに支えてもらうことが必要な場面が出てきます。校長や教頭の役割の重要性に焦点があたります。
同時に、クレーマーのような人たちに対して、まっとうな要望の出し方がどういうものかを理解してもらう視点も必要なのかとも思います。
また、人がそれぞれ寄って成り立つ人間社会では、うまく関係をとっていくには、相手のことを考えないとけないという根本的な視点、また学校は子どもたちに何をすべきかという視点も必要だと思います。
(三木憲明:大阪弁護士会)
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