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クラスの子どもたちのコミュニケーションを高める授業

教師:「朝、学校に来たら、みんなに何て言いますか?」
子ども:「おはようございます!」
教師:「そう、挨拶だね。なぜ挨拶をするのかな?」
 菊池省三先生の問いかけに、5年1組の子どもたちは、さっそくノートに向かいます。
 子どもたちは、3つ理由を考えたら先生に持っていきます。○をもらったら、その理由を黒板に書き込んでいきます。次のように板書していきます。
<言われたほうも言ったほうもいい気持ちになれるから>
<1日、友だちと仲良くなれる気がするから>
<「がんばるぞ」という気持ちになれるから>
<教室の雰囲気がよくなる>
 黒板に書かれた理由を見ながら、菊池先生が問いかけます。
教師:「みんながあげてくれた理由を3つに分けたいんだけど、どうやって分けようか?」
 子どもたちは、少し考え込みながら、みんなで導き出した答えは、「自分」「相手」「みんな」の3つ。
教師:「そうだね、挨拶のよさは、この3つの視点から考えることができるね」
教師:「それじゃあ、『おはようございます』以外に、『自分』『相手』『みんな』がプラスになれる言葉を考えてみよう」
 次々と子どもたちが菊池先生にノートを見せに行き、今度は後ろの黒板に次のように記入していきます。
<ありがとう>
<どういたしまして>
<どうぞ>
<元気?>
<お願いします>
<すごいね!>
<ごめんなさい>
<大丈夫だよ!>
<一緒にしようよ>
<あきらめないで>
<1人じゃないよ!>
<がんばるぞーっ!>
 魅力あふれる言葉がいくつも並び、みるみる黒板はいっぱいになってしまいました。
 子どもたちが書き終わった後、菊池先生が空いているスペースに「5年1組にあふれさせたい言葉」と大きく書き込みました。それを見た子どもたちはニッコリ。
 授業の締めくくりは、みんなの前で感想の発表です。
教師:「挨拶をすると、みんながいろんな思いで聞いてくれることがわかりました」
教師:「これからも自分の考えた言葉をいっぱい使って、気持ちいい1日を過ごしたいと思います」
 クラス全員がはきはきと発表している姿に驚かされました。
「みんなの前で発表するのが苦手な子もたくさんいますが、普段そういう機会が少ないんですね。ですから、1人で何分も話すのではなく、一言で終わるような短い時間で、しかもクラス全員が発表するところからスタートしていきます」
「もちろん、クラスの中で、みんなの発言を認め合える人間関係を作ることが大前提ですけれどね」と菊池先生。
「子どもたちの言葉をいかに引き出すか。教師にとっても親にとっても、とても大切なことです」と力を込めます。
(菊池省三:1959年生まれ 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「 菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)

 

 

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