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教師はいかに学びあい、授業力をつけていけばよいのでしょうか

 私は職員室で時間を見つけては、子どものようすや授業について語り合うようにしています。
 これはと思う教材も紹介する。そして、話しただけでは具体的にわからないので、自分の授業を見てもらうようにしています。
 私は、教師になってしばらくは、全国の優れた授業実践を本や雑誌などで学びました。民間などのいろいろな研究会にも参加しました。
 私の若いころから職場では、「子どもから学ぶ」ことが大事だといわれてきました。しかし、私自身「子どもから学ぶ」ということがよくわかりませんでした。
 実際には、目の前の「子どもの姿をもとに授業を創る」重要さがわかり始めたころから、授業が変わってきたように思います。
 自分の身近にある生の素材から授業を創る体験が、授業力アップにつながります。
 教師は、困難に直面しているときはすごくつらいですが、その事態を深く見つめ続けていくと、ある時期、光が見え始め、そうするとまったく違う対応ができるようになるんです。
 私も荒れた6年生を担任していた時期は、子どもたちが朝会などで話を聴かなくて、それは大変でした。
 ところが、子どものようすを見ていると、聴かなくなるのはきまってつまらない話をしているときなんです。いい話をするときは、そんな子どもたちもちゃんと聴いている。
 小学校の高学年になると、話の質をすぐ見抜くんですね。
 それ以来、「6年生なのに」と思っていたことを「6年生だから」ととらえ直しました。
 そのときに、はじめて彼らの内面が見えてきたんです。おしゃべりも、なぜおしゃべりが起きるのかを深く考えてみる必要があります。
 現代の子どもは、人間関係に非常に不安を感じていて、疎外されたり関係を断ち切られたりすることが、教師に叱られる以上につらいことなんです。
 おしゃべりが「友だちとつながっていたい」という気持ちの表れだととらえ直すと、対処法が変わってきます。
 おしゃべりそのものを叱ってもだめで、教室に安心できる人間関係をつくっていかなければ、根本的な解決にはなりません。
 私は、子どもから学んでいけば、もっと楽に実践できると思います。
 まず、子どもの声を聴く。ある程度子どもに任せる。
 子どもが押してきたら、押し返すのではなく、むしろ押されて少しバックしてみる。
 そういうふうに、キャリアを積んだ年代の教師であればこそ、子どもの姿からつくっていく実践にもう一度チャレンジしてみてもいいのではないでしょうか。
(今泉 博:1949年北海道生まれ、東京都公立小学校教師、北海道教育大副学長(釧路校担当)を経て松本大学教授。「学びをつくる会」などの活動を通して創造的な授業の研究・実践を広く行う) 

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