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プロ中のプロ教師になる道とは何か、どのように進めばよいのでしょうか

 全てにおいてプロとしての技量を持っているんだけど、特に高い評価を得ている方、それがプロ中のプロなのです。
 対談した先生方は、個性的で傑出した力を持つ次の3人です。
1 八巻寛治
 ソーシャルスキルやグループエンカウンターの第一人者と言われる、仙台の八巻寛治さんです。
 今回、特に強く受けた印象は「乗り越える」というイメージでした。
「思春期をきちんと乗り越える」ということです。例えば、
「私は、子どもがすっと変わる瞬間というのが楽しかったんですね」
「子どもたちは、いろんな反応を示します。シグナルで伝えているはずなんです。そこをぜひ、心配してほしいんです。心配し過ぎるくらいに心配してほしいし、確かめてほしい」
「もし、違っていたら『ごめん、違っていたんだね』でいいんです」
 私は確かに、子どもたちに乗り越えさせずに終わっていることって、多いなあと思いました。
 穏やかに話す八巻さんですが、熱い人なのだということも、確かめることができました。熱い思いを優しい言葉で包んでいるんだなぁと思うところがありました。
 八巻さんのスキルはたくさんある。それは自分の生活経験から出てくるのです。
2 中村健一
 お笑いとネタで、全国の若い先生たちを勇気づけている信念の教師の山口の中村健一さんです。
 話を通じて強く感じたのは「最前線で戦う部隊長」ということでした。厳しいところで体を張って教育しているからこその言葉が、たくさん飛び出してきたように思います。例えば
「なんぼ、授業が上手で、ポリシーがあっても、目の前の子どもが変わらないと意味がない」
「子どもや保護者にそっぽ向かれたら、教育って成り立たない。その一方で、それだけになびいてもダメだなと思うんだ」
「理屈ばっかり言って、子どもを動かせない。それって、はっきり言ってプロじゃない」
「僕らは、目の前の子どもを変えるのが全てだ。できるようにする、それが楽しいんだ」
「俺が楽しいのは、子どもが楽しいからであって、子どもが楽しくないと、俺も楽しくない」
「人のやっていることを、その通りやったら、絶対にうまくいかないよ。空気読みながらやらないと」
「勉強になるのは、子ども。目の前の子どもが全てだから。子どもから学ぶ」
 若い先生たちの力になりたいという思いが強い。目の前で多くの教師仲間がぼろぼろになっていく姿に、怒りまで感じているのでしょうね。
3 山田洋一
 子どもとの関係づくりと授業づくりで次々とメッセージを発信する札幌の山田洋一さんです。
 山田さんの言葉の使い方は的確で、明晰さと学問がちらちらと顔を見せるのです。相当な勉強が山田さんのバックにあることを感じさせられました。例えば、
「うまくいったというのは、うまくいくための前提条件が膨大にあるはずなんですよ」
「この仕事に無駄なんて一切ないんだと思うんだ。無駄と思うことも、無駄じゃなくなってくるんだ。積み重ねたおかげて、できるようになるんだ」
 砂をかむような苦しい思いを通り越して、今の山田さんがある、これは本物ですね。
「自分のダメさを認めることのできた教師」が、プロとして一流に向かっていくんだろうなあと思いました。
 3人に共通して感じることは、今行っていることに自信を持っているということです。
 それは、自分の学級なら絶対に大丈夫だ、というような傲慢な自信ではありません。この3人の先生方からは、傲慢さは全く感じられませんでした。
「このやり方ならば、子どもたちは、こうなってきた」
という成果に基づいた自信なのですね。
 それから、楽しそうだということです。
 求道者のような教育実践家ではなくて、自分が楽しいことをしているという感覚が伝わってきます。
 これは実は、プロとしては、とても大事なことなのですね。
 楽しんでいるということは、子どもに対して
「私は、こんなにがんばって、してやっているんだぞ」
といった気負いや傲慢さがないということです。
「楽しませて、もらっています」
というような感覚があるのです。
 これは、長続きしていく、元となるのですね。
 そして、よく勉強しているということです。
 それぞれの学んでいるところは違いますが、だからこそ、おもしろいのです。
 学びながらも、自分の道を確実に歩んでいるということです。
 つぎの3点が共通点のように思えました。
「自信と信念」
「楽しさ」
「自分の学び」
 これから、プロ中のプロを目指される先生方に、ぜひこのあたりのことを大切に考えていってほしいと思いました。 
(多賀一郎:1955年生まれ、神戸大学附属小学校を経て私立小学校教師。退職後は追手門学院小学校講師、専門は国語教育。在職中に日本私立小学校連盟国語部全国委員長歴任。親塾・教師塾等で保護者・教師教育の手助けをし、全国で講演)

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