« 2019年5月 | トップページ | 2019年7月 »

2019年6月に作成された記事

すぐれた教育技術を身につけるには、どのようにすればよいか

 すぐれた技術を身につけるには、学ばなくてはならない。それも、半端な努力ではだめである。
 すぐれた技術は、それを知ってすぐに身につくものではない。
 技術を身につけるということは「技術について理解すること」と「技術を身体に習得すること」の二つを通過しなければならない。
 「技術を理解すること」は、学習においてもできるが、それを「身体に習得させる」ことは、学校現場でやるほかはない。
 「技術」は、その人その人の「使用能力」と合体して表現されることがある。
 「技術+その人の使用能力」それを技能とよぶ。
 技術を技能にまで高めることが必要である。それには修業が必要だ。
 技術は人それぞれの個性と結びつき、それぞれの姿を持つ。
 同じ歌を歌っても、歌手によっておもむきがちがうようにである。
 高い技能水準に達するには、
(1)どのくらいの水準にまで上げるのか目標がなければならない。
(2)目標との差を自覚しなければならない。
 どこが、どのように悪いのかを分析しなければならない。
 優れたコーチは、そこを発見してくれる。上級者の存在が必要だ。
 すぐれた教師に授業を見てもらう最大のポイントは、そこを見てくれることである。たった一言でも万金にあたる。
(3)自分の現状を分析し、その欠点をあばいた上で、それを克服する努力を続けねばならない。
 意識しなくても、瞬間的に使えるようになるまで、自然に自分のものになっている状態まで続ける必要がある。
(4)技能は、一つの技術を使えるという状態から、「多くの技術から瞬間的に一番いい方法を選択して使いこなす」という状態までの広がりがある。技術は多くを知っていなければならない。
 例えば、全校集会で体育館に集まったとき、はじめは騒がしいものである。さわがしい子どもたちをどう静かにさせるか。教育技術という点から考えてみる。
 教育技術のない教師は、「静かにしなさい」「前にならい」をくり返す。教師としてのプロ性はほとんどない。
 最低の教師は、子どもをどなりつける。ほめ方が上手で毎時間ほめている教師はいい教師だ。
 教師なら何かの技を持っているべきであろう。
 誰でも一つか二つの技術を持っていてあたり前である。教師は、それが仕事なのであるから。例えば
 「先生が五つ数えますからね。五つ数えるうちに静かになりましょう。ひとーつ。ふたーつ。・・・・・」
 これは、かなり効き目のある方法である。このような方法をする教師でプロの入り口、新卒程度であろう。
 問題は、いつもいつもこの方法しかとれないことである。
 これでは、教育の幅がせまくなる。自己流の教師に多い。本を読まない教師に多い。
 教育技術はいっぱい持っていた方がいい。いっぱい持っていれば、いろいろ選択できる。
 教育技術をさまざま知ることによって教育の幅は広がるのである。
(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)

 

| | コメント (0)

小学校の高学年女子と信頼関係を結ぶには、どのようにすればよいのでしょうか

 子どもたちの指導の前提として、なくてはならないものは信頼です。
 小学校の高学年女子と信頼関係を結ぶには、どのようにすればよいのでしょうか。
1 すべてを受け入れるべし
 感情をわかってもらいたいのです。とにかく、ひたすら話を聞くことです。
 女子にとって、聞いてもらっているという実感が得られることが大事なのです。
 否定したり、結論を急がしたり、途中で口を挟んだりせず、ただただ「そうか、そうか」と耳を傾けることです。
 聞いてもらえるということは、よさも悪さもひっくるめて全部受け止めてもらうことなのです。
 聞いたことがトラブルにならないよう、記録を取ります。時間と人の流れがわかるように取ることがポイントです。
 すべてを聞き終えた後は、必ず内容を確認します。
 その後、どうしたいのか(どうしてほしいのか)は自分で決めさせます。
 決めたことを見守るのも「傾聴」と同じです。
2「えこひき」が大嫌いで、大好き
 教師の挨拶や声かけ、指名、指導一つ一つの言動が平等かどうかを子どもたちは見ています。「えこひき」を嫌い、教師に不信感を抱いたり教師を嫌ったりするのです。
 そうならないためには、毎日全員に声をかける。挨拶は必ず目を合わせる。特定の子どもばかりを指名しない等を意識することが大事です。
 逆に、一人ひとりの子どもが「えこひき」されていると感じさせるようにします。
 子どもたち一人ひとりに、あなたのことを、ちゃんと見ているよ、理解しているよ、というメッセージを伝えると安心感が生まれます。
 周りに誰もいない教育相談のときが、一人ひとりの子どもに教師の愛を伝える絶好のチャンスです。
 どのように「えこひき」するかといえば、その子どものよさを語るのです。
 その子がこれまで誰にも言われたことがないようなこと、忘れ去っている些細なことを語るのです。
 そのためには、毎日、事実を収集し記録することが欠かせません。
 その事実のなかから価値づけできるものを選び、教師の感情を付け加えます。例えば
「始業式の時、先生の目を見て挨拶してくれたでしょう。覚えてる? 先生ね、あの時、すっごくうれしかったんだ。人の目を見て挨拶できる、素直で温かい子だと思った」
 教師の愛を告げるのは教育相談の最後に語ると一番印象に残りやすい。
 うわべだけのお世辞は、女子はすぐにわかります。心を込めて伝えることが肝要です。
(宇野弘恵:1969年北海道生まれ、旭川市内小学校教師。教育研修サークル・北の教育文化フェスティバル理事)

| | コメント (0)

授業で一番大事なのは「振り返り」です、子どもたちのよりよい行動につながります

 授業で「振り返り」の機会を持つほど、よりよい行動への変化につながります。
 授業で、丁寧に振り返りの時間を持つようにしましょう。
 今日の授業で、子どもたちに「成長したこと」「がんばったこと」をノートに書き出してもらいます。
 そして、
「そのことを、ペアで話してみましょう」
 さらに、
「では、班で発表してみましょう」
「友だちの成長やがんばったことには、惜しみない拍手を送ることができるといいですね」
「次は、学級全体に発表してくれる人はいますか?」
と、個人、ペア、班、学級全体とつなぐことで、学級全体の場で、子どもたちは発言がしやすくなります。
 例えば、教師が「男女は仲良くしましょう」と何度も言ってルール化しようとすると、子どもたちは「しらーっ」としてしまいます。
 けれども、子どもが振り返りで
「最初は、男子や女子ばかりでペアをつくっていたけれど、後半、男女混合のペアを組むと、男女意識せずに話せるようになりました。これからも男女関係なく接していきたいです」
という発表があった場合、教師が「同じような感想を持った人?」と学級全体に返していきます。
 子どもの口から言ったほうが、価値が高まります。
 子どもたちの感じたことを子どもたちの言葉で表現することで「いいね!」の輪が広がります。
 そのような様子が振り返りでは多く見られます。
 この経験が次の行動につながっていきます。
 振り返りは、次に生かしていくことが大切です。
「今回の学びを次の時間にも試してみよう」と活用シーンを設定すると、生かしやすくなります。
(吉田 忍:1972年東京都生まれ、大手企業の管理職、約6000人の組織リーダーのビジネスコーチを経て、教師向けのコーチングセミナーを全国展開している)

| | コメント (0)

授業態度が良くない子どもがいるとき、保護者と連携し、保護者の協力を得るにはどうすればよいか

 授業中、教師の話を聞かずに、落ち着きのない子どもがいます。
 学習理解に支障をきたし、周りの子どもたちの迷惑にもなります。
 授業中、手遊びしたり、隣の子に話かけたり、時には立ち歩いたりする子どもがいます。
 注意しても、すぐに同じような行動をして、周りの子どもたちも学習に集中することができません。
 あまりにひどい場合は、教師の指導に加えて、家庭と協力して対応することが必要です。
 保護者に「落ち着きがない、集中力に欠ける、周りの子の迷惑になる」ということを伝えるだけでは、問題を解決するどころか、かえって保護者の反感を買うだけです。
 落ち着きのない子どもの、何が原因なのか、家庭ではどんな様子なのかを、保護者と一緒に考える姿勢、相談する姿勢で話をすることが大切です。
 共に原因を探ったり解決法を考えたりする姿勢で臨めば、保護者も真剣に考えるようになると思います。
 いくら指導しても効果がない場合、他の教師に相談して、自分の指導が悪いのか、子どもに何か問題があるのかを判断してもらうことです。
 客観的にみて、子どもに何か問題があるようなら、保護者に協力をお願いしなくてはなりません。
 保護者に学校での気になる様子を詳細に伝え、現在にいたるまでの家庭での子どもの様子について教えてもらいます。
 そのうえで、どのような対応をとることが子どもにとってベストなのかを保護者を交えて相談する必要があります。
 学習障害と言われるような子どもがいることがあります。しかし、はなから「あの子は・・・・」とレッテルを貼って対応してはいけません。
 自分の指導を厳しく見直して、子どもをよく観察する姿勢を持ち続けましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる) 

| | コメント (0)

子どもたちが、話す力・聞く力を身につけるためには、どのように指導すればよいか

 私は学級づくりと連動させ、1年間を通して話す力・聞く力の指導に取り組むようにしています。
 最初は「型」を教えることから始めます。
 スピーチをするときは、まず礼をして「はじめ・中・まとめ」で話をし、最後に挨拶をする「型」を教え、人が傷つくことや、下品な内容は話さないことを示します。
 話す内容は、事実と気持ちを1つずつ入れた「1+1」の型から始めます。例えば、
「昨日、運動会がありました(事実)。とても楽しかったです(気持ち)」
というものです。
 子どもたちが安心感をもって取り組める易しいステップからスタートするのです。
 慣れてくると、この型を破って個性あふれる話をする子どもが出てきます。ここで、自由にスピーチをさせます。
 そして次は「2+1」で話そうとレベルをあげます。
 このように、型→自由→型をくり返して、徐々にスピーチの内容を膨らませていきます。
 声の出し方や姿勢、話の構成などスピーチに必要な指導のポイントはいくつもありますが、1回のスピーチでは1つに絞ります。例えば
「今日のスピーチでは、数字を入れよう」と提示し、それができたら合格と、ほめるようにします。
 人前で話すことに慣れていない子どもは「これでいいのだろうか」「みんなは、自分の話を聞いてくれるだろうか」と不安でいっぱいです。
 教師がいいところを見つけてほめることで、子どもたちに達成感を味わわせることが大切です。
 話す力の指導でもう一つ必要になるのが「聞き手」を育てることです。
 スピーチの感想を尋ねてみると
「みんなが一生懸命に聞いてくれた」「拍手をしてくれて、うれしかった」
ことをあげる子どもが多い。
 人前で話すときは誰でも緊張します。でも、聞き手が興味をもって聞いてくれれば、その緊張は心地よさに変わります。
 話して・聞き手が育つことで、お互いの意見を尊重し合う雰囲気がクラスに生まれ、一層充実したスピーチが行われるようになるのです。
 コミュニケーション力は、相手がいて、経験の中でのみ、磨かれていく力です。
(菊池省三:1959年生まれ 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「 菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)

| | コメント (0)

発問や指示は授業や学級を大きく左右する、その極意とは

 発問や指示は授業や学級を大きく左右する大きな柱であるといえる。その極意をつぎに示すと、
1 指示は一度に一つ
 子どもがすべき内容が指示の中にたくさん含まれていると、学級の子ども全員がたくさんの内容を実行することは難しい。
2 指示を出したら確認する
 例えば「教科書の〇〇ページを開きましょう」と言っても、ぽかんとしている、指示が通りにくい子どもがいる。 
 だからこそ、指示通りに動いているかを1人ひとり確認する必要がある。
 指示の一つひとつを確認することが大切である。
 確認作業を甘くみていると、だんだん規律のない学級になっていってしまう。
3 指示はくりかえすことで定着する
 授業が始まる前に、ノートを開いて待っている学級がある。
 その学級は、4月に学級を担任したときから「授業の前にノートを開いて待ちましょう」と指示を繰り返したはずである。
 そして、授業が始まる前にノートを確認したはずである。
 指示と確認をくり返すことで定着する。
 定着するまで、根気よく指導をくり返すことが大切である。
4 主発問は、授業のその時間の目標に直結している
 その時間の目標は何かを考えて授業を構成することが大切である。
 その目標を達成させるための考えを引き出し「子どもに何を考えさせるのか」を明確な言葉で表したものが主発問である。
5 その時間の目標は具体的な子どもの姿で表す
 その時間の目標は、授業が終わったときに到達すべき内容を示したものである。
 そのとき「どんな子どもになっていればよいのか」という具体的な子どもの姿を把握していなければ、達成したかどうか評価することができない。
6 補助発問で学習の仕方を身につける
 単なる主発問の補助的なものととらえるのではなく、学習の仕方を身につけるもの。
「どのように考えればよいか」発問するのが補助発問である。
7 話し合いで考えを高める
 子どもたち一人ひとりの考えをいろいろな観点で話し合うことによって、考えを高めることができし、コミュニケーション力を培うことができる。
8 指示や発問の語尾を工夫する
 同じ内容の指示や発問でも言い方次第で学級の雰囲気は変わるものである。
 例えば
「教科書を出しなさい」
「教科書を出しましょう」
「教科書を出してください」
「教科書を出して」
 いずれも、同じ内容の指示である。あなたは、どの言い方をよくするだろうか。
 命令口調だと子どもは委縮する。お願い口調だと、子どもはつけあがる。友だち口調だと、なれなれしい雰囲気になる。
 指示や発問などの内容や語尾、教師の話す長さ、助言の内容など、教師が授業の中で工夫しなければならないことは多様にある。
(白井一之:東京都公立小学校校長。文部科学省教員表彰)

 

| | コメント (0)

掃除をさぼる子どもがクラスにたくさんいるとき、どうすればよいのでしょうか

 掃除をさぼる子ども、掃除をするフリをする子どもがたくさんいます。どうすばよいのでしょうか。
 だらだらと時間をつぶさせて、形だけやらせるような掃除指導をやめます。
 第一段階は、素早い動きで、無駄話をしないで掃除するように徹底的に指導します。
 だらだらした動きや無駄話を防ぐために、短時間に掃除を取り組ませます。
 掃除時間が20分間あるとすれば、半分の10分間で掃除を終わらせるように挑発します。
 残った時間は、教室に座って休憩です。
 短時間掃除で、子どもの動きが変わります。
 全力で掃除する充実感を味わいます。
 第二段階は、「丁寧さの指導」です。
「素早く、黙って、丁寧に」の3つができるようになれば、たとえ、掃除時間に教室で休んでいても、誰からの批判を受けることはありません。
 なぜ、掃除をしなくてはならないのか。掃除をする意味は何なのか。分かるように伝えておく必要があります。
 掃除は、子どもにとって最も嫌いな活動の1つです。さぼりたくなって当然です。
 しかし、だからこそ全力で取り組ませる価値があります。
 自分の怠け心とたたかい、打ち克つことの充実感を味わわせることのできる活動です。
 掃除に全力で取り組むことは、相当の価値があることを、子どもたちには機会あるごとに伝えるようにします。
 毎日、全力で取り組めたことをほめることを続けましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

 

| | コメント (0)

保護者を味方につけなければ、学級は成り立たない、影響力のある保護者をひいきせよ

 今は、保護者の力が圧倒的に強く、学校の力が弱い。
 保護者は、どうしたら教師が嫌がるか良く知っているのだ。だから、担任に直接文句を言わない。いきなり校長や教育委員会に文句を言う。
 教師が一番心を痛めているのが、保護者対応だという事実を忘れてはならない。
 逆に言えば、保護者対応さえうまくいけば、そんなに心を痛めなくてすむ。
 力のない教師が力を持った保護者と戦うなんて無理な話だ。
 だから、私は保護者とは、絶対に戦わない。例えば
 保護者に「最近、忘れ物が多いですけど」「最近、授業態度が悪いんですけど」なんてことは、絶対に言わない。
 できるだけ保護者には苦情を言わなくて済むようにする。
 ちっとしたことでも保護者に苦情を言う教師が多い。その教師は、教師と保護者との圧倒的な力の差を知っているのだろうか。
 教師は、その子の教育に関われるのは1年間限定のパートタイム教育者なのだ。子どもの一生に責任を持つ親にかなうはずがない。
 プロである教師はその限界を知るべきだ。
 新しいクラスを持って、初めて教室の前に立った時、
 私は「このクラスは、この子とこの子を味方につけておけば大丈夫だな」と感じることが多い。
 私ぐらいのベテランになると「教師の勘」が働く。
 当然、その子に対する対応は、手厚いものになる。手の内に入れようと、あの手この手を尽くす。
 それと同じで、保護者についても、
「このクラスは、この保護者とこの保護者を味方につけておけば大丈夫だな」と考えるようになった。
 影響力のある保護者は味方にしないとマズイ。敵に回してしまっては、あっという間に、保護者の多数が教師の敵になってしまう。
 学級懇談会では、多数の保護者から集中砲火を浴びることになる。そのとき、どんなにその教師の味方であっても、少数派の保護者は助けてはくれない。
 逆に、多数派の保護者の支持を取り付けておけば、大丈夫だ。そのためには、影響力のある保護者の支持が欠かせない。
 では、どうやって影響力のある保護者を見つけるか?
 これは、事前の情報が欠かせない。前の学年の担任たちから積極的に情報を得ておくことが重要だ。それが唯一の方法だと言っていいだろう。
 キーパーソンが分かれば、その保護者への対応は、当然、手厚いものになる。気に入ってもらえるように、様々な手を尽くして対応することになる。
 また、他の保護者への影響力はなくても、些細なことでもすぐに学校に抗議に来たり、教育委員会に電話する保護者がいる。そういう保護者は「有名人」だから、情報は自然と耳に入ってくる。
 その保護者の対応も、手厚いものになる。これは当然のことだろう。
 これからの教師は、どの保護者に手厚く対応するかという「策略」を巡らせる必要がある。策略を持たなければ、学級は成り立たないのだ。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

| | コメント (0)

子どもたちの心をつかむため、教師の発声や表情はどうすればよいか

 教師の声は、明るくはっきり、大きな声が基本です。
 教師の熱意と頑張りを子どもたちや保護者に伝えるためのものです。
 教師は、子どもたちの心を揺さぶり、動かしていかなければならない。
 そのため、エネルギーを常に発散させねばならない。
 発声の練習には、顔の表情の練習も加えていきます。
「一生懸命に頑張っている」という表情です。
 教師が楽しんでいる表情です。
 苦しそうではダメです。 
 つまらなさそうでもダメです。
 あくまでも楽しんでいる表情です。
 教師が楽しんでいなければ、子どもたちも楽しめません。
 頑張っていることが、楽しいという姿勢です。
 メリハリが大切ですから、真顔の練習もします。
 そうした表情のメリハリだけで、子どもたちをコントロールすることができるようになります。
 先生の表情から、子どもたちは「あ、まずいな」「先生、楽しそうでよかった」と、読み取るからです。
 早口が悪いのは、聞き取れない、間がないからです。
 間がないと、聞き手の脳の中で、どんどん情報が上書きされてしまうわけです。
 感情を込めた読み方も勉強する必要があります。
 必要に応じて、身振り手振りもして、動き回って語ります。
 教師が子どもたちをしっかりと見て、自分が見られているということを子どもたちに意識させるのです。
「先生は私に伝えようとしている」
「ちゃんと伝わっているかを確認している」
と、一人ひとりの子どもたちに思わせる。
 声以外に最も大事なのは目の動きです。
「目は口ほどにものを言う」というのは本当です。
 教室では、教師はせかせかせず、まんべんなく、子どもたちを見ていくことが重要です。
 極力、子どもたちを均等に見てあげます。
 教師は、子どもたちを目だけで追ってはいけません。身体ごと、一人ひとりの子どもと正対する。肩から向かわなければダメです。
 教師は自分が思っているよりも、かなりゆっくりとしたスピードで、子どもたちを見ないと、伝わりません。
 教師が子どもたちを見ているつもりでも、見ていないことが多い。
 そのコツをつかめば、子どもたちが30人だろうが100人であっても、伝えることができるはずです。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)

| | コメント (0)

担任の指導のやり方に何度も苦情を言う保護者に、どう対応すればよいか

 苦情の電話があれば、学年主任に報告する。小規模校であれば、教頭などの管理職に報告する。必要に応じて、生徒指導主任にも報告する。
 保護者が苦情を言ってきたときには、信頼関係に亀裂が入る危機状態である。しかし「雨降って地固まる」ということわざがある通り、この機会に信頼を取り戻し、回復するチャンスにもなるのである。
 一番最初の真摯な対応が、その後の保護者の印象を左右することがある。
「先生は、しっかりと考えてくれる人だ」「学校は丁寧に対応してくれた」と納得する保護者もいる。
 中には、不満を言うだけで、すっきりされる保護者もいる。
 まずは、どんな苦情かを丁寧に聴く。反論したいことがあっても、一生懸命に聴くことが大事である。
 話を聞いたら、まずはお礼を言う。
 苦情や批判でも、子どものためという保護者の思いはありがたいことである。
 その場で、即答できること、お詫びすべきことは、その場でしてよい。ただし、言い訳が多くなったり、子どもの責任にしたりするのはよくない。
 連絡帳で苦情を受けた場合は、教師から保護者に電話を入れて
「とても重要なことなので、詳しくお話しして頂けませんでしょうか」
と、迷惑にならない範囲で話を詳しく聞きたい。 
 次のようなときは、すぐに返事ができないことがある。 
(1)他の教師が絡んでいるとき
(2)学校全体が関係するとき
(3)管理職の判断が必要なとき
(4)重大な過失があったとき
 学校として対応が必要なときは、すぐに管理職に報告する必要がある。
 管理職の指示をよく聞いて、適切に対応することが求められる。
 個人として行ったことでも、保護者から見たら学校の対応と見られる。
 何度も苦情を言ってくる保護者は、必ず管理職に報告をする。
「何度も言ってくる」ことは、学校の対応に納得がいかなかったり、不満があると思われる。保護者の真意が別のところにある場合もある。
 教師個人では対応は難しく、学年主任や管理職から話を聞いてもらったり、家庭訪問をしたりして対応する必要がある。
 また、どうやって返事をしていいか分からないことはある。
 その時には、急いで答えてはいけない。すぐに管理職に相談して、改めて返事することを伝える。
 その際に、いつまでに、どのように返事をするのかを明確に伝える。
 例えば、何時間後、明日まで、2日後までなのか。電話するのか、直接伺うのか。
 この部分が極めて重要である。誤解を生じてしまったために、保護者の印象を悪くすることがある。
(貝沼浩晃:新潟市立小学校教師)

| | コメント (0)

教師は言葉による指導が大部分、授業を録音して聴いて、言葉の修業をすると驚くほど力がつく

 自分の授業のイメージと、実際の授業にはズレがあります。
 その違いを認識することが、授業上達への第一歩です。
 毎日、1時間、授業を録音しましょう。
 録音したものを聴くと、
「やたらと話が長い」
「くどい」
「説明がわかりにくい」
「えーっを連発する」
「一本調子」
「同じトーン」
「あいまい」
「子どもをほめていない」
など、いろいろなことがわかります。
 聴いていくうちに、
「こんなはずではない」「これは、私ではない」と、ひどすぎ、いやになってきます。
 あまりにも、自分のイメージとかけ離れているのです。
 私は、3年間、毎日聴きました。いやになりましたね。
「なんて、へたくそなんだ!」
「だれだ、おまえは!」
「あっ、おれか」
 このような自問自答を続けました。
 今は笑えますけど、当時は笑えませんでした。
 録音したものを聴くことにより、いろいろなことを発見します。それが大切なのです。
 自分を客観視することができます。自己改革を迫られます。
「子どもが悪いのではない」
「悪いのは、自分だ」
 私は、毎日、気づいたことを直してきました。
 無駄な言葉を省いていきました。
 ストップウォッチを持って、時間を計ることもしました。指示の時間を計ったのです。
 やっているうちに、いろいろなことがわかってきます。
 授業を録音し、聴いてみましょう。
 教師の指導の表の部分は、言葉による指導が大部分です。
 ですから、言葉について修業しましょう。意識して実践すると、驚くほど力がつきます。
 本当に教師は話がへたですね。今までに、うまいと思った方は10人いません。ほとんどの教師が問題外です。
 テレビ番組は、いい教材になります。
 言葉は、自分の意識のあらわれです。ですから、心が変わらないと言葉は変わりません。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都公立小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

| | コメント (0)

小学校の高学年女子に嫌われないためには、どのようにすればよいか

 多くの教師が小学校の高学年女子の指導が難しいと感じ、一歩間違えれば修復しづらいと思っています。
 女性教師の方が女子指導に長けているといわれています。女子はかつて自分が経験してきたから、同性だから女子の心理がわかるというのが大きな理由でしょう。
 しかし、すべての女子教師がそうであるかというと、決してそうではありません。同性ゆえに、女子とぶつかり合い、険悪な関係を築いてしまうケースもあります。
 男性教師であっても、女子を手のひらの上で転がすように上手に指導する教師もいます。
 これは、女子という特性に合った指導をすることが肝要であることを示唆しています。
 小学校高学年女子は、潔癖で正義感が強いため、嫌いと思ったら、簡単に許すことができません。
 教師と子どもは立場が対等ではなく、しかも、年齢的にも心情的にも距離が遠いのです。一度溝ができてしまえば、修復することはそう簡単なことではありません。
 子どもは、嫌な人の言うことを、信じようとは思えません。ですから、教師として最低限のつぎのような「嫌われない努力」は必要なのです。
(1)頭ごなしは嫌われる
 思春期の子どもたちにとって、上からの圧力は格好の反発の的。権力で従属させようとしたりすれば、一人の人間として尊重されていないと感じ、反発心を生みます。
(2)自分しか見えていないとバカにされる
 自分しか見えていない教師はバカにされます。
 例えば、子どもたちのニーズに合わないことを一生懸命にやっている教師は、滑稽に見えます。
 自分中心的な教師から教わりたいと思う子どもなんて、そうそういません。
(3)くどいとうるさがられる
 細かいこと、わかっていること、同じことをくどくど言う教師がいます。
 子どもは「うるさいな。わかっているよ」と、指導を聞かなくなる。
(4)不潔・セクシーは気持ち悪がられる
 高学年女子は潔癖です。
「生理的に受け付けないもの」が結構あります。
 例えば、不潔・不衛生なもの。教師の髪型。口臭や体臭、服装などが評価の対象です。
 清潔であることは、もちろんですが、女性の色っぽさにも女子は嫌悪感を抱きます。
(5)教師と子どもとの距離
 執拗に子どもの近くに寄る。身体の接触が多いのはダメ。
(6)下ネタ、セクハラは即刻アウトです
(宇野弘恵:1969年北海道生まれ、旭川市内小学校教師。教育研修サークル・北の教育文化フェスティバル理事)

| | コメント (0)

教育雑誌や教育書を何回も読むと教師力を高めることができ、教師修業に欠かせない

 私が新任教師のころの研修主任の先生は、時間があれば本を読んでいました。
 私が「何の本を読んでいるのですか?」と尋ねると、
「これは、現代教育科学、授業研究、国語教育、作文と教育の教育雑誌、これは斎藤喜博、大村はま先生の本・・・・」
と、次々と、机の上にあった本を見せてくれました。
「教育雑誌や教育書は、読んだほうがいいよ。教育界の今の課題や流れなどを知ることができるからね」
「子どもたちに勉強を教えるのに、教師が勉強していなかったら、おかしいよね」
 言い方は優しかったけれど、私の心につき刺さる言葉でした。
 小学生の教科書の内容くらい教科書さえ読んでいれば、簡単に教えられると思っていた自分の考えの甘さが恥ずかしくなりました。
 学校帰りにすぐ、本屋に立ち寄りました。とにかく、読みまくって勉強するぞ、という気持ちになりました。少しでも、いい授業がしたい、教師としての力を上げたい。
 本を読み進めると、面白くてたまりませんでした。
 そこには、自分が知らない世界が広がっていて、なぜ今まで読まなかったのだろうと後悔しました。
 この日から、10冊近い教育雑誌の定期購読を始めることにしたのです。一冊でも多くの教育雑誌を読む。教師修業の本格的なスタートです。
 いざ読み始めると難しい内容ばかりです。頭の中に、簡単にすーっと入ってきません。
 研修主任の先生に、読み方について聞くと
「福山さん、これ見て」と、手元にあった教育雑誌とノートを見せてくれました。
 雑誌には、たくさんの線が引いてありました。何か言葉も書いてありました。
 ノートを見ると、雑誌から書き出した言葉が並んでいました。
 私は甘かった。本を一回読んで、あきらめていたのです。ノートに書き写すなんてことは、やっていません。
 さらに、私は質問しました「この雑誌は何回読んだのですか」
「確か、3回かな」「一回読んだぐらいじゃ、分からないからね」
 本当に甘い自分だと思いました。
 本の中に出てくる実践内容や理論が、一つでも多く自分の頭に入ってくるように、何度でも読み返せばいい。
 まずは、分からない内容があったら「?」を書いて読み飛ばす。時には「?」と書いて、ノートに記録しておこうと、考えるようになったのです。
 多い時には、15回も再読したことがありました。頭にすっと浮かぶものも出てきました。
 30数年経った今でも、読み続けています。読むスピードが速くなりました。内容も、さっと読んで分かるものがたくさん出てきました。
 本は読めば読むほど、自分の教師力を高めてくれる「学びのねた」に出会ってきました。
 本の再読を楽しむ。これは、教師修業に欠かせない心持ちだと思うのです。
(福山憲市:1960年山口県生まれ、山口県下関市立小学校教師。サークル「ふくの会」、「ミスをいかす子ども達を育てる研究会」を組織している)

| | コメント (0)

いじめの前兆に目を光らしたり、いじめがわかったときなど、どう指導すればよいか

 いじめは、いじめられる子どもだけでなく、いじめた子も不幸にする恐ろしいものです。発見したら即対応です。
 いじめの前兆に目を光らします。いじめは「芽」のうちに摘み取ってしまいましょう。
「いじめは」いきなり起きるのではありません。些細なもめごとや、からかいが、徐々にエスカレートして「いじめ」になります。
 ですから「これがいじめ?」と思えるような、かすかな前兆を見逃さないように注意しなくてはいけません。
 いじめの前兆に気づかず見逃すと、子どもや保護者が不安になるだけでなく、深刻ないじめに発展する恐れがあります。
 いじめの前兆を見逃さず、的確に指導することで、いじめを防止することになり、子どもも保護者も安心する。
 子どもや保護者の相談には、真剣に耳を傾けなくてはなりません。「それは考えすぎ」「単なるいたずら」などとは思ってはいけません。
 その子とクラス全体を観察する目をさらに厳しく「いじめの前兆」はないか、どうかを見極めましょう。
 何かことがあるごとに、対応し、保護者に報告します。
 グループから外れる、からかわれやすい、非難をうけやすい、など、そのような子どもがいたら、気をつけて見ておきます。
 そして、機会あるたびに周囲の子どもを指導するようにします。保護者も何となく、わが子が友だちから避けられていると感じています。
 指導するたびに連絡を入れ、日頃から少しずつ安心してもらうよう努めましょう。
 もしも、深刻ないじめを発見したら、いじめと闘う決意を伝える。
 深刻ないじめを発見したら、クラスの子、全員に対してはもちろん、いじめられている子と、その保護者に対しても、教師が全面的に子どもを守ることを約束し、いじめと闘う姿勢を示します。
 いじめを憎み、闘う教師の姿勢で、子どもと保護者の信頼と安らぎを取り戻しましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる) 

| | コメント (0)

生徒や同僚と関わる喜びを支えに、崩壊した学級を立て直した

 私は45歳、教師歴23年の中学校、理科の女性教師です。
 私の性格はじっとしていることができず、いつもあくせくと働いています。人に何か頼まれると嫌とは言えず、人に頼ったりすることが苦手なタイプです。
 私は、生徒たちと共に成長していけることに喜びを感じています。
 若い頃は保護者からの協力も得られ、支えられてきましたが、異動先の学校の保護者からの匿名の中傷のはがきが原因で人間不信になってしまいました。
 最近では、保護者からの教師に対する批判も多く、一生懸命やっても満たされない思いが残ります。
 初任の学校では、ほとんどの時間を理科の準備室で過ごしました。先生方からは、実験の準備やコツなどたくさん教えていただきました。
 生徒も休み時間のたびに準備室を訪れ、話をしていきました。
 生徒の対応で困ったとき、よく相談にのってもらったのが体育の女性教師です。
 私は教師になれたら結婚しないつもりでいました。思う存分に生徒と過ごす時間を使いたかったからです。
 しかし恋の病には勝てませんでした。相手の一言で一喜一憂する恋愛による心の不安定さで、仕事に影響を及ぼすことは避けたいと、あまり深く考えずに、新採の年度末にあっさりと結婚してしまいました。
 夫と同じ職場にはいられないということで異動することになりました。異動先の学校は私が太刀打ちできない、毎日が運動会のような荒れた学校でした。
 そんななか私は突然、妊娠による貧血で倒れ入院してしまいました。私が産休に入るには代替の教員を探さなくてはなりません。
 女性教頭に「自分で代替の教員を探しなさい」と言われ、出身大学を訪れ後輩が来てくれることになりました。私はこういう教頭のような冷たい人になりたくないと思いました。
 学年主任は、年配の先生でとても感性豊かな方でした。出産祝いに生徒全員のメッセージを病院に届けてくれました。「これからは教育相談を勉強したほうがいい」と勧めてくれました。
 私の子どもは実家の母が自分の仕事を辞めて見てくれました。母は「あなた教員になったとき、協力するために仕事を辞める決心をしていた」と、後で聞かされました。
 出産後も学校は相変わらず荒れていました。
 一学期が終わろうとしていたある日、1年の女性担任が相談にきて、学級が崩壊し生徒の前に立つのが怖くなって退職するというのです。
 二学期からは、念願がなって初めての担任となりました。ただし、学級崩壊しているクラスです。
 二学期の始業式の日、教室では、一人の子をめがけて、給食の白衣が飛び交っていました。いじめで不登校になりかかっている生徒もいました。
 早速、緊急保護者会を開き、現状を訴え、混乱している子どもたちに、健全な教育をしてあげたいことを力説しました。
 そして、何よりも、このクラスの担任になれたことに感謝し、うれしく思っていることを伝えました。このとき、本当に心からそう思えたのです。
 実は、今までに、このクラスの卒業生の結婚招待状が一番多く届いています。彼らは思い出話を語り、僕たちの恩師と呼べるのは先生だけですと言ってくれます。
 学級通信を1日おきに発行し、生徒ノート(生徒と担任との交換日記)も準備しました。
 運動会のクラス対抗リレーでは、最後は担任が走るのが慣例になっていました。私のクラスが優勝し、閉会式の後、私のもとにクラスの生徒がいっせいに駆け寄り胴上げをしてくれました。
 教師冥利につきる瞬間でした。このような感動を一度でも味わってしまったら、教師はやめられなくなるでしょう。
(佐藤恵子(仮名):中学校教師、河村茂雄編:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

| | コメント (0)

困った子どもに出会ったとき、教師はどう接すればよいのでしょうか

 教師に叱られる子どもの気持ちになってみると、叱られたときは、だれだって「自分が悪い」とは思っています。子どもなりに反省もしています。
 しかし、教師に面と向って言われるだけだとカチンとくるのです。先生が叱られる子どもに対して何もしてくれないからです。冷たいからです。
 厳しく注意されたり、怒られたりすると、子どもは「自分は愛されていない」と思ってしまいます。ですから、教師の思いとは逆の方向に走ってしまうのです。
 まずは、あたたかく接しましょう。
 例えば、忘れ物をした子どものために、いろいろなグッズを用意しておきましょう。鉛筆、赤鉛筆、消しゴム、教科書、ノート、絵の具など。
 子どもたちは安心します。
「この先生は、忘れ物をしても怒らない」
「にこにこして、貸してくれる」
と、うれしくなります。
 おがて「ぼくが悪いのに、先生は、ぼくを責めない。それどころか、フォローしてくれている」と思うようになります。
 すると、子どもたちは、だんだん言うことを聞くようになります。
 人間は、自分を愛してくれていると思える人の言うことは、よく聞くものだからです。
 子どもにあたたかく接しましょう。恋人に接するように。
 思っているだけでもだめです。具体的な行動を起こしましょう。
 困った子どもに出会ったとき。
 困った問題行動を子どもがし始めたとき。
 そういうときこそ、その子どもの長所、ただ一点とのみ、つき合いましょう。
 これが大事だと思います。
 どんな子どもにも、いいところがあります。
 その一点とだけ、つき合いましょう。
 それだけで、子どもは変わります。
 困った子どもに出会ったときのポイントは
(1)まず、受け入れ、包み込もう。
(2)長所のみを見て、接しよう。
(3)受け入れられ、認められると、子どもは変わる。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都公立小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

| | コメント (0)

保護者が学校にクレームを言いに来たとき、教師はどのような心構えが必要か

 保護者が、わざわざ来校するのですから、教師が保護者に「何しに来るの」などと思わないことです。
 教師が「忙しい中、子どものためにようこそ」という精神で迎え入れ、自然に笑顔で対応するように心がけましょう。
 教師が笑顔で迎え入れ、保護者に共感の一言をかけることで、保護者の気持ちが和らぎ、円滑で前向きな話し合いが可能になります。
 教師が保護者に共感できるためには、教師が余裕をもって保護者に対応する必要があります。
 教師として、子どもを思う保護者の気持ちに共感できる感性を養うようにしましょう。
 保護者も教師と同じ「人間」です。怒りもすれば、笑いもし、分かりあえることもできるのです。
 教師が、そう考えて対応することによって、教師の考えを保護者に理解してもらうこともでき、前向きな話し合いが可能になります。
 興奮している保護者の感情をよく考えて、言葉は慎重に選びましょう。
 保護者が来校した時、教師の何気ないひと言で、保護者が「何か言いたことでもあるの?」と気分を害してしまい、保護者の気持ちをヒートアップさせる原因にもなりかねません。
 また、共感の一言が大切だからとは言え、納得できないことや、他の人を否定するような話にうなずいてはいけません。
 保護者と一緒に問題を解決していくという気持ちで話し合いに臨みましょう。
 教師に至らない点があれば、素直に謝罪して、改善できることがあれば、改善策を提案します。
 子どものために、真剣に考えていきたいという真摯な姿勢を示さなくてはなりません。
 クレームを言ってくる保護者は、教師の誠意を理解してもらえれば、逆に心強い応援団になってくれることが多いものです。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

| | コメント (0)

不満や悩みの解消に役立ち、生きる喜びも高いものになる人間としての生き方とは

 人間としての生き方はみな異なるものだと思います。
 人間の生き方は、自分に与えられた持ち味を生かし、使命(責任をもって果たさなければならないつとめ)をやり遂げること。これこそが人間としての成功と呼べるものではないでしょうか。
 例えば、ある人が靴を作る仕事をはじめたとします。靴を作って人の役に立ち、喜ばれることが成功となります。
 つまり、人間として成功かどうかの基準は、社会的な地位や名誉や財産ではなく、自分に与えられた持ち味、使命を十分に生かすか、生かさないかというところにある。
 地位や名誉や財産はどんなに努力しても全員がえられるものではないでしょう。
 しかし、持ち味を生かそうとして、人生を生きることは考え方によっては全員が可能だと思います。
 自らの持ち味を生かして生きている人は、地位や財産があろうとなかろうと、いつもいきいきと、自分の喜びはここにあるのだという自信と誇りをもって、充実した人生を送ることができると思います。
 そういう人が多ければ、豊かな活力が生まれ、力強い発展がもたらされるのではないでしょうか。
 最近は、昔に比べれば生活が豊かになったにもかかわらず、不平や不満、不安に悩む人が多くなったと言われます。
 その原因として、人間の成功をどのように思うかが関係しているように思います。
 地位や名誉や財産に重きを置き過ぎて、自分の独自の持ち味を生かし、使命に生きることの大切さが忘れられている傾向があります。それが不満や悩みを増やしているのではないかと思います。
 人生や人間としての成功を、自分の持ち味を生かすことにあると考え、それを求めていくことによって、不満や悩みの解消に役立ち、個人としての生きる喜びも、社会全体の発展や繁栄も、より高いものになると思います。
(松下幸之助:1894-1989年、パナソニック(旧名:松下電器産業)創業者。経営の神様と呼ばれた日本を代表する経営者)

 

| | コメント (0)

トップ1割の教師が知っている「クラスの子どもの育て方」とは

「どうして、あの先生の言うことだと、子どもは聞くんだろうか?」
「なぜ、あの先生のクラスの子どもはきちんとしているんだろう?」
 そんなふうに気になったことはありませんか。
 すぐれた教師は、自然に「コーチング」の手法を使いこなしているということです。
 コーチングは、人のやる気やアイデアを引き出し、自分自身の力で目標を達成させるための方法です。
 学校で何か問題が起こったとき、いままで多くの場合、教師が正しいことを教えて、子どもにやらせる指導をしてきました。
 でも、コーチングを使うときは、子どもの話に耳を傾け、質問し、子ども自身がどう問題を解決したいかを考えさせます。
 子ども自身が自分で何をやるのかを決めたり、目標を決めたりすることをサポートするのが教師の役割になります。
「コーチングを使ったら、子どもたちとの関係がよくなった」
「クラスがうまくいくようになった」
という声が、数多く寄せられています。
 子どもたちが教師の言うことをきかない。教師の言うことに反発する子どもが多い。
 子どものやる気のなさにイライラする。
 クラスにまとまりがなく、子ども同士がバラバラで、何かを一緒にやろうという意欲が見られない。
 こんなことで困っていませんか。
 教師がコーチングを使うと、
 子どもが教師の言葉に耳を傾けるようになる。
 子どものやる気がぐんぐん出てきて、教師も子どもと話すのが楽しみになる。
 クラスの雰囲気がよくなり、子ども同士のつながりが生まれるようになる。
 子どもが自分で考えて行動を始める。自分の問題の責任をとるようになる。
 というふうに、クラスが変わります。
 コーチングは、200にも及ぶスキルがあります。そのたくさんのスキルの前提になるのが次の3原則です。
 コーチングは、すべての会話がこの3原則からスタートします。
1 双方向性
 教師から子どもへの一方的なコミュニケーションではなく、子どもの話を聞き、質問をすることで、教師と子ども、子ども同士がお互いに考えを伝えあう、双方向のコミュニケーションをとります。
2 個別対応
「たくさんほめる」ときには「見守ってあげる」といったように、子どものパーソナリティーや状況に応じて、関わり方を変えていきます。
3 継続性
 課題の進み具合を共有しながら、最後まで目標に到達できるように、継続的にコミュニケーションをとります。
 クラス運営の中でも、この3原則を大事にしていくと、クラスの雰囲気がよくなり、クラスもまとまってきたと語る教師が多い。
 まずは、クラス運営の中で、場面によって、意識的に3原則を使ったり、試したりしてみてください。
(吉田 忍:1972年東京都生まれ、大手企業の管理職、約6000人の組織リーダーのビジネスコーチを経て、教師向けのコーチングセミナーを全国展開している)

| | コメント (0)

教師は「悪口を言われるのも、お給料の内」、戦場となっている教室では熱意や誠実さだけでは戦えない策略を巡らせて戦う必要がある

 学校現場は厳しい。教室は「戦場」のようなものだ。
 それなのに、初任者の教師は「武器」も持たず「策略」も練らずにやってくる。それでは「攻撃してください」と言っているようなものだ。
 教師になるような人は、真面目で叱られ慣れていない。だから、打たれ弱い。
 私も打たれ弱い性格だと自覚している。だから、打たれないようにと気をつけながら、なんとか無難に毎日を切り抜けられるようにしているのだ。
 しかし、若手教師は無難に過ごすことは無理だろう。気をつけていても、失敗するはすだ。たった一つの失敗でも、人格否定されるような攻撃を受けることもある。
 特に、学級懇談会が怖い。保護者が集団になって担任をつぶしに来る可能性があるからだ。学級懇談会の後、私は職員室で泣く若手教師を何人も見て来た。それなりの策略を練り、臨むべきだ。
 それでも、集中攻撃を受けることはあるだろう。傷ついたとしても、絶対に辞めてはいけない。
 初任者のクラスの8割が荒れると言われている。1年目の若手教師はどれだけ失敗しようが、辞めないことが一番いいことだ。厳しい1年目を乗り切れば、2年目は絶対に楽になる。
 ちなみに、私は「教師は悪口を言われる商売だ」と思っている。
 どんなに私の前で「中村先生が担任でよかったです!」と言ってくださる保護者がいても、信用してはいない。 リップサービスだと思って、話を半分に聞いている。
 保護者は担任に何かしらの不満を持っていると思っておいた方がよい。そして、陰で集まって悪口を言ったり、メールやLINEで悪口をやり取りしているに違いない。
 教師は悪口を言われるのもお給料の内なのである。そう思えば腹も立たない。また、陰で悪口を言って気が晴れるのなら、とても有り難いことである。教師にやいばが直接向ってくるよりは、よっぽどいい。傷つかなくて済む。
 教師は内閣総理大臣の支持率のようなものだ。内閣の支持率が100%はあり得ない。
 悪口を言われていることを自覚しながらも「策略」を巡らせ、内閣支持率を上げていくことが大切なのだ。
 私が一番こだわっているのが予防です。例えば、やんちゃくんが反抗的になってしまうと、どんな手を使っても指導は入りません。そこで、やんちゃくんが背を向けないように予防することが大切です。
 やんちゃ君とは絶対に対峙しないことです。戦わなくてすむように予防する配慮が必要なのです。戦わなければ負けることはないですからね。
 やんちゃくんと対峙して反抗的になるぐらいなら、放っておけばいいのだ。やんちゃくんの周りの子どもを個別に叱る。やんちゃくん予備軍の子どもたちがやんちゃくんの真似をして悪いことをしようとしたら、怒鳴って止める。
 やんちゃくんが増えていくと、学級崩壊の危険が高まる。だから、やんちゃくんが増えないように周りの子を厳しく叱るのだ。
 ただ、みんなの前で怒鳴られたことを恨みに思って、やんちゃくん化されても困る。だから個別に呼んで叱る方が効果的だ。
 今の教室は戦場になっています。戦場では熱意や誠実さだけでは戦えません。しっかりと策略を巡らせて戦う必要があります。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

| | コメント (0)

« 2019年5月 | トップページ | 2019年7月 »