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保護者を味方につけなければ、学級は成り立たない、影響力のある保護者をひいきせよ

 今は、保護者の力が圧倒的に強く、学校の力が弱い。
 保護者は、どうしたら教師が嫌がるか良く知っているのだ。だから、担任に直接文句を言わない。いきなり校長や教育委員会に文句を言う。
 教師が一番心を痛めているのが、保護者対応だという事実を忘れてはならない。
 逆に言えば、保護者対応さえうまくいけば、そんなに心を痛めなくてすむ。
 力のない教師が力を持った保護者と戦うなんて無理な話だ。
 だから、私は保護者とは、絶対に戦わない。例えば
 保護者に「最近、忘れ物が多いですけど」「最近、授業態度が悪いんですけど」なんてことは、絶対に言わない。
 できるだけ保護者には苦情を言わなくて済むようにする。
 ちっとしたことでも保護者に苦情を言う教師が多い。その教師は、教師と保護者との圧倒的な力の差を知っているのだろうか。
 教師は、その子の教育に関われるのは1年間限定のパートタイム教育者なのだ。子どもの一生に責任を持つ親にかなうはずがない。
 プロである教師はその限界を知るべきだ。
 新しいクラスを持って、初めて教室の前に立った時、
 私は「このクラスは、この子とこの子を味方につけておけば大丈夫だな」と感じることが多い。
 私ぐらいのベテランになると「教師の勘」が働く。
 当然、その子に対する対応は、手厚いものになる。手の内に入れようと、あの手この手を尽くす。
 それと同じで、保護者についても、
「このクラスは、この保護者とこの保護者を味方につけておけば大丈夫だな」と考えるようになった。
 影響力のある保護者は味方にしないとマズイ。敵に回してしまっては、あっという間に、保護者の多数が教師の敵になってしまう。
 学級懇談会では、多数の保護者から集中砲火を浴びることになる。そのとき、どんなにその教師の味方であっても、少数派の保護者は助けてはくれない。
 逆に、多数派の保護者の支持を取り付けておけば、大丈夫だ。そのためには、影響力のある保護者の支持が欠かせない。
 では、どうやって影響力のある保護者を見つけるか?
 これは、事前の情報が欠かせない。前の学年の担任たちから積極的に情報を得ておくことが重要だ。それが唯一の方法だと言っていいだろう。
 キーパーソンが分かれば、その保護者への対応は、当然、手厚いものになる。気に入ってもらえるように、様々な手を尽くして対応することになる。
 また、他の保護者への影響力はなくても、些細なことでもすぐに学校に抗議に来たり、教育委員会に電話する保護者がいる。そういう保護者は「有名人」だから、情報は自然と耳に入ってくる。
 その保護者の対応も、手厚いものになる。これは当然のことだろう。
 これからの教師は、どの保護者に手厚く対応するかという「策略」を巡らせる必要がある。策略を持たなければ、学級は成り立たないのだ。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

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