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2019年7月に作成された記事

身を捨てる度胸をもつと、困難だと思っていたことがスムーズにいって、よい結果を生む、ということにもなる

 人生というものには、いろいろな問題があります。
 しかし、それらのことも過ぎ去ってみると、
「あのとき迷わないで、やって、ほんとうによかったな」
というような場合が多いのです。
 そこが大事なところだと思います。
 ある場合には、迷うこともあるでしょう。しかし、しょせん迷っても、自分の知恵裁量というものは、ほんとうは小さいものです。
 だから、
「これは、もう仕方がない」
「ここまできたのだから、これ以上進んで結果がうまくいかなくても、それは運命だ」
と、度胸を決めてしまう。
 そうした場合には、案外、困難だと思っていたことがスムーズにいって、むしろ非常によい結果を生む、ということにもなるのではないかと思うのです。
(松下幸之助:1894-1989年、パナソニック(旧名:松下電器産業)創業者。経営の神様と呼ばれた日本を代表する経営者)

 

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授業名人が伝える、授業作りに必要な心構えと、授業力があがる方法とは

 授業に必要な心構えは何かを理解し、事前の準備をすれば授業が堅実になり、教師人生が充実します。
 教師は、子どもたちの生きた見本にならなければなりません。
 言葉づかい、文字、服装、態度など、あらゆる場面で見られる教師の姿が、そのまま子どもたちの教科書になります。
 授業で教師が教えるさいの最も大切なことは「向上をめざす教師の姿と、向上する喜びを子どもに見せる」ことです。
 教師が、昨日よりも今日、今日よりも明日へと向上しながら変化していく姿勢を子どもに見せるのが最も大切です。それと、その努力から得られる喜びです。
 教師がこれを実践していくと、子どもたちの人生の指針となるだけでなく、教師自身の心を豊かにうるおしてくれます。
 教師がいいことだと思ったらやってみる。やった結果を検証する。さらに優れた教えを探し求める。
 素直に教えを乞い、自分を無にして、人から学ぼうとする教師は必ず伸びていきます。
 何かひとつ、昨日とは違うことをしてみる。その成果を振り返ってみる。教師が新しいことに挑戦すると、失われた意欲を蘇らせてくれます。
 どんなことでも、自ら実践し、向上しようとしない教師は、子どもを教える資格はないのです。
 一日の始まりとなるあいさつ、出かける前の身だしなみ、人と接する際の態度、言葉づかい、黒板に書く文字、自らを表現する文章、教師を育てるための勉強まで、子どもたちに教えるべきことは、すべて、教師自身の言動から始まります。
 これをしっかり心にとめて、向上しようと、日常を生きることが、教師としての基本です。
 次のような授業に必要な心構えと、事前の準備を積み重ねていけば授業力が向上し、教師人生が充実します。
1 言葉づかい
 言葉づかいの基本は、相手を尊重し、認める態度を示すこと。
 子どもは、先生が自分を受けとめてくれるかどうかを敏感に感じ取りますから、問題行動があったときでも、ゆったりと構え、まず「聞いてあげる」姿勢を見せるべきでしょう。
 休み時間の雑談はうれしいもの。親しみのこもった言葉で、子どもを抱きしめればいいのです。
 しかし、授業中の指示や注意は、短く力を込めて、語尾まではっきりと発音すべきです。何を言うべきかを冷静に突き詰めておけば、自ずと言葉は簡潔になります。
 子どもはいつも教師を見つめ、鋭く観察しています。
 学校内で目にする教師同士や教師と保護者との会話、先輩や管理職などとの会話のすべてが子どもにとって規範となります。その場面にあった言葉をつかうことを心がけねばなりません。
 言葉は自分の考えを相手に伝えるもの。他者との関係をつなぐもの。社会生活を営むもの、と奥が深い。
 年齢や考え方が異なる相手に対しても、きちんと会話できる力は、付け焼刃では育ちません。
 子どもは、小さい頃から、正しい言葉づかいを耳にして、肌になじませてあげることが必要です。それができるのは、学校の教師しかいないと私は思います。
 例えば、目上の人には丁寧に、親しい仲間にはくだけて話す。そんな使い分けがあることを自然に感じる環境があればいいのです。
 教師が出す指示は、あたたかな人間味のある会話で交わすべきですが、教師と子どもとの会話は、友だちとの雑談とは違います。立場が違う「線」は、きちんと引かねばなりません。
 立場の違いを自覚するからこそ、教師は子どもに迎合することなく、子どもの気持ちを推し量り、指導することができるのです。子どもの後ついていくような教師は落第です。
2 書く 
 私はずっと自分の字はへたで劣等感を持っていました。
 書道の先生のところに字を習いに行ったとき「へたな人ほどうまくなるものだよ」と言ってくださった言葉が私の心の支えになっています。
 私は字の才能がないおかげで、努力することの楽しさ、もたらしてくれる可能性を知ることができました。
 より美しい字を書きたいと望む人は、ぜひすぐれた師について学ぶことをおすすめします。
 人に伝わる、上手な文章を書くには
(1)できるだけ、たくさん書くこと
 どんなに文章が苦手な人でも、多作するうちに次第に慣れてきます。慣れは、よけいな気負いや虚栄心を洗い流してくれます。
 読んでくれる人からの反応や評価によって、文章力を磨いていくことができます。
(2)質
 何を伝えたいのかを考えることです。
 私は講演のときは、大きなテーマを決めたら、それに関連する内容を思いつくままにメモしてみます。
 そうして材料が集まったところで、内容をグループ分けして構成し、伝えたいことをいくつかの項目に束ねて、小見出しをつけます。
 いい文章は小見出しを見るだけで興味をひかれ、自然と中身に引き込まれます。
(3)人の文章をより多く読むこと
 簡潔平明にして面白く、読む人に勇気を与え、なおかつ自身の成長の記録となる。そんな文章を求めて、私はいまも修業中であります。
3 より多くの人に授業を見てもらい、評価してもらう
  研究授業は苦手で避けたいという教師が多い。
 しかし、他人の目に自分の授業をさらすことは、やるべき価値があります。
 人間は易きに流れやすい。だからこそ他の人に見てもらおう。
 いつも通りの授業を何回も見てもらうほうが力になる。
 保護者など、授業に先入観のない、むしろ素人である人のほうがいいのです。
 大人の興味をひかない授業が、子どもの心をとらえられるわけがありません。
 他人の目は鏡です。より多くの人に見てもらい、感想を聞いてみましょう。
 その積み重ねは、授業の質をあげる原動力になっていきます。
 授業を見てもらうことは、はじめは抵抗が大きいかもしれませんが、場数を踏むごとに、だんだんと楽しくなってきます。
 次はこんな授業をしてやろうと、新しい意欲につながります。
 研究授業や授業公開の機会は、決して断るべきではありません。
(野口芳宏:1936年生まれ、公立小学校・千葉大学付属小学校教師を経て、公立小学校校長。退職後、北海道教育大学・植草学園大学各教授、千葉県教育委員会委員等を歴任し、植草学園大学名誉教授。「鍛える国語教室研究会」「授業道場野口塾」「実感道徳研究会」各主宰)

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小さなトラブルを見逃すな、子どもと保護者が納得する生徒指導とは

 子どもの指導は「スピード感のある対応」が不可欠である。
「生徒指導の遅れが命取りになる」といわれる。
 生徒指導の対応が遅れば、遅れるほど、学級経営が厳しい状況になることを意識して、小さなトラブルを見逃さないようにしよう。
 気づかないままに進んでしまうと、あっという間に学級崩壊になってしまう危険がある。
 生徒指導の技術として、小さなトラブルを見逃さない教師としての力量を定着させるためには、
(1)その日の問題は延ばさない
(2)スピート感ある対応を心がける
(3)物がなくなったときの対応を意識する
(4)保護者との連携を強固にする
(5)報告・連絡・相談を密にする。
(6)不公平感、不平等感に陥らないようにする
(7)いじめの対応を原則とする
(8)保護者との面談を積極的にする
 これらの生徒指導の技術は、教師として身に付け、確実に実践の中で活用を図らねばならない。
 何か生徒指導の問題が起きたときは、その日のうちに対応しよう。
 下校時に、子どもがどの状況にあるか、見極める力量が教師になくては生徒指導は始まらない。
 下校時に声かけをして、状況を把握しておくだけで、子どもの気持ちが少し晴れやかになることも少なくないからである。
 その日の問題を延ばさないためのチェックポイントは
(1)子どもの体調が悪いまま、下校させていないか
(2)ケガをしたまま、下校させていないか
(3)学級でのトラブルを保護者に報告しているか
(4)下校時に、悲しい思いをしている子どもはいないか
(5)いじめに関するトラブルはないか
(6)帰りの会での生徒指導の問題を放置していないか
(7)子どもの気になる状況の解決策は図れたか
(8)継続指導中の子どもの状況の変化を見たか
(9)保護者との面談等について計画的に進めているか
(10)管理職との報告・連絡・相談はしているか
 その日に起きたことの解決の方向性を明確にしておくことは、明日の解決に向けたステップにもなるということである。
 生徒指導は、ほとんどの場合、保護者との連絡や状況説明が欠かせない。
 その説明が不十分だと、小さなことでも担任と保護者との理解度の違いが生じることになる。
 教師の配慮ある一報が保護者にあれば、信頼につながることを理解しておこう。
 担任にとって、保護者は最大の応援団であることを意識しておこう。
 このことは、話し言葉や電話対応でも自然と分かってしまうものである。
 今日すべき保護者との連携を怠れば、明日は苦情となることを認識しなければならない。
 保護者との連携を強固にするには、
(1)生徒指導に関することは保護者に簡潔にする
(2)伝える内容を箇条書きにして、分かりやすく説明する
(3)関係者の状況を理解したうえで伝える
(4)場合によっては、家庭にまで足を運ぶ
(5)今後の対応を的確に説明する
(6)当事者相互の連携も確実にする
(7)この程度は、というときにも必ず連携を取る
(8)保護者との連携は、担任の思いを必ず伝えるという意識をもつ
(9)一歩先までの見通しを伝える
(10)解決までの期間を意識する
(11)担任の対応で「大丈夫」の意識をもたせる
(釼持 勉:東京都公立高校・小学校教師、教育庁、小学校長を経て、帝京大学教育学部教授、東京学芸大学特任教授)

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新任教師が学級経営に行き詰まり、精神的に追い詰められていったが、どのようにして前向きな気持ちを取り戻したか

 ある新任女性教師が、小学校4年を担任しました。
 それまでの2年間は非常勤講師として、いくつかの小学校で勤務していました。授業を「やりにくい」と感じたことはなく、不安はありませんでした。
 初めて不安に襲われたのは4月の保護者会でした。
「先生は、初任ですよね。授業の進め方については、指導を受けているのですか?」
「子どもが言うことを聞かないときは、どのように注意されるんですか?」
 保護者からの質問に言いよどむと、同席していた学年主任が助け船を出してくれました。
「学年で協力しながら指導に当たっています。だから心配なさらないでください」
 学年主任の言葉に保護者も安心し、その日は何とか乗り切りました。
 クラスに、中学受験を考えている子が数人いました。その中の一人A君は塾のテストでいつも高得点を取っていて、授業は遊びに思っている節があります。
 教師を出し抜こうとするA君の振る舞いに、少しずつ一部の子どもたちが「カッコイイ」と、同調するようになりました。
 すると、ますます調子づいたA君は、少しずつ授業中も好き勝手に振る舞うようになっていきました。
 ある日、新任教師が授業中にふざけたA君を注意したところ、その不満を母親にぶちまけたのです。
 話はA君の母親から他の保護者へと広がり、保護者たちから管理職に
「クラスは、落ち着いて授業を受けられる状況にない」
との苦情が寄せられました。
「頑張ってやっていると思っていたが、実はそんな状態だったのか」
 指導教官や校長は驚きました。そして、事態の収拾に向けて動き出しました。
 翌日から、給食時間には、専科の先生も一緒に入りました。また、学級活動は、学年主任のクラスと合同でやることになりました。
 そうした支援が次々と行われ、学級が落ち着きを取り戻す中で、新任教師の気持ちは逆に委縮していきました。
 ベテランの先生方の指導を見るにつけても、一人できちんと指導できない自分が情けなかったのです。
 表情のすぐれない新任教師を見て「自信をなくしているのではないか」と、管理職は気がかりでした。
 管理職は新任教師を呼ぶと、最近のクラスの状況について話し合った後、管理職が初任の頃の失敗談、先輩や同僚の助けを借りた話などを伝えました。
 新任教師は話を聞くうちに表情がほぐれてきました。
 管理職は、教師向けの相談窓口を利用して気持ちを整理してはどうかと提案しました。
 教師向けの相談窓口を訪れた新任教師に
「先輩教師と同じようにできないことを、気にし過ぎて、焦っているように見える」
「仕事は知識だけでなく、経験を通して見えてくるものが多い」
「そのことを受け入れられないために悩んでいる」
 ことを指摘しました。
 また「こうあらねば、ならないと思い過ぎて、自分を追い込んでいるのではないか」とも伝えました。
「比べるなら、人と比べず、過去の自分と比べず、過去の自分と比べたらどうでしょう?」
と、言われた新任教師は、着任からこれまでのことを振り返りました。
 4月よりも、やれることが着実に増えている自分に気づきました。
 翌週からは、少しずつ前向きな気持ちを取り戻していきました。
 その後も困難に直面しても、その都度、自分で精一杯努力すると同時に、時には、泣きながら先輩に相談したり、相談機関に飛び込んだりしました。
 そして、何とか年度末までこぎつけたときには、1年前より教師としても成長していました。
 新任教師は、一人で抱え過ぎず、困ったら必ず誰かに相談することを、心がけたいものです。
(真金薫子:東京都教職員互助会三楽病院精神科部長、東京都教職員総合健康センター長、東京医科歯科大学臨床教授)

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家でダラダラとしたり、親に逆らう、わが子との過ごし方に悩む、保護者に教師はどうアドバイスすればよいか

 学校ではしっかりして見える子どもでも、家ではダラダラと過ごしてしまい、親の注意を聞かないという子どもがいます。
 勉強もせずに、ダラダラと過ごすわが子の姿にいらだつのが親です。
 親の心配もわかりますが、家庭はくつろぎの場でもあります。家庭での厳しさを要求すれば、子どもの「行き場所」がなくなります。
 どの子どもも、学校外でストレスを受けて生活しています。
 家庭でくつろげるから、心が安定するのです。
 ある程度、家庭でわがままになるのは当たり前のことなのです。家庭がくつろぎの場として機能していることを伝えることで、保護者を安心させてあげましょう。
 特に子どもが大きくなれば、何度も同じことで注意するのは逆効果です。
 例えば、子どもが行動するまで、「早く!」「早く!」と繰り返さないように保護者に助言してあげましょう。
「〇時まで」と、区切りをつけて注意した後は、少し様子を見て子どもが動くのを待つ。それでもダメなときには、ガツンと叱る。そんな具体的な方法を助言することです。
 小学校高学年になると、親のいうことを聞かなくなり、注意すると反抗的な態度をとる子どもが増えてきます。
 子どもは、小学校高学年になると、大人の行動を客観的に見るようになるものです。
「お母さんも、できていないじゃん」「口ばかり」と反抗的な態度をとることもしばしばです。それが、自立の準備であり、成長と言えます。
 親はわが子のこととなると、つい感情的になってしまうものです。
 注意すればするほど反発するものです。頭ごなしに叱るのではなく、「いつ勉強を始めるの?」「約束を破ったらどうするの?」など、子ども自分で決めて行動できるような方法で導くことが大切だと、保護者に助言しましょう。
「誰もが通る道」だと、子どもの成長を喜ぶことで、保護者が対応を考えるきっかけにしたい。
 よく「先生からきつく言ってください」と頼む保護者がいます。
 それを真に受けて厳しく叱っては、子どもは親にも教師にも反抗的になり、信頼関係に悪影響が出てしまいます。「お母さん、心配してたよ」と優しく諭すことです。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる) 

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新任教師が教師力をアップするためのヒントとは

 新任教師が教師力をアップするためのヒントを次に紹介します。
1 子どもを把握し、即時に授業へ生み出すことが重要
 目の前の子どもの状況を把握して、それに適した授業を即時に生み出すことはとても重要なことです。
 新任教師は、次の点を意識して、授業の状況を把握しましょう。
(1)どこまで知識・理解・技術等が子どもに定着したかを瞬間的に判断する
(2)子どもが活動に対して心を開き没頭しているか否かを見極める。
(3)子どもの姿勢、表情など、身体的所作を感覚的にとらえる。 
 このように授業を進めるには、多様な鑑識力が教師に要求されます。そのために、刻々と変化する子どもの瞬間的な状況を一つたりとも見逃すまいとする姿勢が重要となります。
 すなわち、授業を進めながらも、子どもの状況の細部までとらえられるような、いわば教師が
「観察者としての授業者になれるような訓練を積む」
 ことが大切でしょう。
 これを前提として、子ども全員の能力、興味・関心の対象など、多くの情報を事前に把握しておくことも重要です。
2 経験を積んだ教師から学び、自分の授業スタイルをつくりあげる 
 新任教師は、経験を積んだ教師の授業をたくさん観る必要があります。同僚教師だけでなく、外部の研究会などへ参加するのもよいでしょう。
 観るだけでなく、質問してアドバイスを受けることが大切です。
 さまざまな授業の展開を追試し、試行錯誤して、自分のクラスの実態に合う方法を見つけていくのもよいでしょう。
 そうして、少しずつ自分自身の個性やカラーを出して、授業スタイルをつくりあげていくのです。
3 素晴らしい授業に出会うように研究会等に参加する
 優秀な教師は、必ずと言っていいほど、教師になって1~2年目の頃に、素晴らしい感動する授業と出会っている。
 この経験は、年月を経ても鮮明に残り、生涯の目標を生み出す糸口ともなるのです。
 授業がうまくいかないスランプの時期があっても、前進できる人は、若い頃に心の支えになるような授業にふれています。
4 各教科の授業ルールづくりをする
 各教科ごとの授業の進め方を、教師と子どもの間で約束し、確立しなければなりません。
 各教科ごとに紋切型ではなく、授業パターンやバリエーションを変え、常に学習ルールづくりを工夫しなければなりません。
5 授業を振り返り反省する
 新任教師は授業のあり方に迷います。それを乗り越える手だては、自らの授業を振り返ることしかありません。  
 反省点を改善し、試行錯誤を繰り返すのです。
 授業を振り返る姿勢こそが、新任教師の成長を促進し、授業観を形成させるのです。
6 授業が困難に陥ったときは、成長のためのレッスンと捉える
 授業で遭遇する困難は、成長のための大切なレッスンである。
 教師力をアップする方法が成功するか否か。その鍵を握るのは、困難を「大切なレッスン」と考えられるようなポジティブな精神状態なのです。
(高見仁志:兵庫県公立小学校教諭(18年間)、湊川短期大学、畿央大学を経て、佛教大学教育学部教授)

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子どもたちに学ぶ楽しさを教えられる本物の教師になるには、どのようにすればよいのでしょうか

 私は、小さい頃に、子ども向けの物語や雑誌に夢中になりました。小学校では作文、高校生の頃には俳句を詠むことが好きになりました。
 意識していたわけではありませんが、そんな経験が私を国語教師という仕事へ導いたのだと思います。
 読む力は「読む」という行為を通じてしか、育ちません。書く力も「書く」経験の中からしか育ちません。ですから、読みたい、書きたいと思う気持ちがもっとも大切なものです。
 美術の先生には、生涯を通じて創作活動やけいこを続けていく人が多いように思えます。
 教えるための技術習得のためだけでなく、自分自身の喜びのために、新しい世界に挑み、脱皮し続ける。そんな人は、いつも若さを保ち続け、伸びていきます。
 ですから私は、教師たるもの、ぜひとも何らかの創作活動や稽古に携わるべきだと考えます。
 授業を向上させ、質を追求することとはまた違う次元で、創作活動や稽古は自分の心を謙虚にします。
 努力することの喜びで満ち、向上的変容の佳境へと導いてくれます。そして、その感動がまた、授業に力を与えてくれるのです。
 自らを変えていくための実践を常に続けていく。そういう教師であってはじめて、子どもたちに学ぶ楽しさを教えられる本物の教師と言えるのではないでしょうか。
 子どもたちは教師の素顔を見抜こうとします。
 どんなに言葉に力を込めても、教師自身が自分の人生に喜びを抱いていなければ、学ぶ楽しさは伝えられません。
 人生において、何に自分なりの面白さを見出すか、これはとても大切な事柄です。
 教師という職業を選んだ以上、まずは授業にこそ面白みを見出すべきでしょう。
 授業の向上へのエネルギーを生み続けるための活動を行うべきです。
 もし、どうしても教師という仕事にのめりこめないようなら、その人は別の職種へ身を移すべきです。その方が本人はもちろん、何よりも子どもたちのためになるはずです。
 人間にとっての、向き、不向きは能力のレベルの問題ではありません。どれだけ、楽しめ、夢中になってのめりこめるか。結局のところ、それが職業選択の分岐点でと思うのです。
(野口芳宏:1936年生まれ、公立小学校・千葉大学付属小学校教師を経て、公立小学校校長。退職後、北海道教育大学・植草学園大学各教授、千葉県教育委員会委員等を歴任し、植草学園大学名誉教授。「鍛える国語教室研究会」「授業道場野口塾」「実感道徳研究会」各主宰)

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ストレスを軽減するには、どのようにすればよいのでしょうか

 人は、ネガティブなことに注意を引きつけられる特徴があります。
 人は自然な状態では、みんなネクラということです。
 あまりに楽観的にしていると「アリとキリギリス」のキリギリスになってしまいますので、ネガティブ思考は生き延びるための本能的な知恵といえます。
 自然に何かを思い出したり、考えてしまう場合、ネガティブな思考になり、悔しかったことや、つらかったこと、がっかりしたこと、後悔すること、不安なこと、などに、なってしまうのです。
 輝かしい過去の栄光や、バラ色の未来が思い浮かぶことは、まずありません。
 過去のネガティブなこと、未来の不安は、ストレスになります。
 嫌なことは自然と頭に浮かび、考えてしまうものです。そして「嫌なことを、考えるのをやめよう」と思えば思うほど、ますますそのことを考えてしまいます。
 そこで、過去や未来のことを考えず、今、この瞬間のことに意識を向け、ありのままの状態をできるだけ客観的に観察するようにするとよい。
 すると、それだけで、心にたまったストレスを掃き出すことができるのです。
 そのストレスを掃き出す方法として「マインドフルネス」というケア法があります。
 まずは、基本となる「身体感覚」を感じることから始めてみましょう。
 例えば、呼吸に伴う体の感覚、動くときの筋肉の感覚、じっとしていても、ひとりでに起きてくる感覚など、ふだんは気づかない感覚を感じ取り、観察することで、ストレスをため込む「負の思考」から離れることができます。
 具体的には、次のように実践します。
 この実践を重ねるにつれて、ストレスで一杯になっている心が徐々に変わってくると思います。
1 椅子に座り、(1)~(3)を1~2分繰り返します
(1)椅子に座り、背筋を伸ばして、体の力を抜きます。手は膝の上に乗せます。
(2)呼吸に意識を向け「鼻から空気が入る感覚、出ていく感覚」「呼吸でお腹が動く感覚」を感じ、観察します。
(3)椅子に接した「お尻の感覚」、床に接した「足の裏の感覚」を、つま先から、かかとへの順で感じます。
2 歩く
 集中できなかったり、飽きてしまう場合は、歩いているときの感覚を感じ取り、観察することからやってみましょう。
 背筋を伸ばし、なるべく上半身は動かさないようにして、歩くにつれて足が動く感覚を感じ取りながら歩きます。
 動きのなめらかさや硬さ、次々と動く感肉の感覚、足の裏の感覚を感じましょう。
 気になることが、どうしても頭から離れない場合などもうまくいきます。
 気になることを思い出したりしたら、その都度、動きに意識を戻します。歩いているときは、動きがあるので、切り換えやすいです。
 足の動きを感じながら「右足、左足」などと頭の中で言葉にしてもよい。  
 取り組みやすいものから、短時間でも構いませんから、気づいたときに実践してみてください。
 回を重ねるうちに、少しずつ、気持ちが落ち着きやすくなるのを実感していただけると思います。
(真金薫子:東京都教職員互助会三楽病院精神科部長、東京都教職員総合健康センター長、東京医科歯科大学臨床教授)

 

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落書きがあったとき、どうすればよいのでしょうか

 落書きが見つかったとき、一番大切なのは落ち着いて対処することだ。
 落書きというものは、犯人が分からないことが多い。
 子ども同士では分かっていても、教師に伝わるネットワークがない場合がほとんどだ。
 それゆえ、落書きに対処する教師は、どうしてもヒステリックになり、犯人捜しに走ってしまいがちだ。
 ヒステリックになれば、子どもたちの信頼を失ってしまう。子どもたちのほうが一枚上手だ。
 子どもたちは、教師の一挙手一投足をじっと見ている。どうすればよいか。
 まず、泣いている子どもがいれば、その子をフォローする。
 そして、決して怒鳴ることなく、子どもたちをまず座らせる。
 犯人捜しになってはいけない。
 だめなことは、だめだと、ビシッと厳しく話す。
 おろおろしていたのでは、書いた子どもにつけあがられる。ほかの子どもたちも不安にさせてします。毅然とした態度を取ることだ。例えば、
「先生は、この落書きを見て胸が痛んでいます。卑劣な方法です」
「先生は絶対に許しません」
「二度と、こんな落書きを見たくないです」
 落書きした子どものフォローも忘れないようにしたい。
 優しく、落書きした子どもに共感的な態度を示すことがポイントです。例えば、
「でも、先生にも悪かったところがあったのかも知れないです」
「先生が相談にのってあげられたら、よかったなと思います」
「もし、落書きして悪かったなって思っていたら、先生に、いつでも、こっそりでもいいから、話してほしいと思います」
 たとえ、名乗り出なくとも、確実に子どもの心の中には何かを残せているはずだ。
 人は失敗から多くを学びます。子どもが悪さをしたときは、子どもを立派に育てるチャンスでもある。
 学活や朝の会、道徳の時間でもいいが、クラス全体に、あまり押しつけがましくならないような内容で、子どもたちに話をしたい。
(西井孝利:大阪府私立小学校教師)

 

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子どもたちから「先生、暗い」と言われたとき、どのように直せば変身できるのでしょうか

「暗い」印象の人は全体的に動作が次のように下向き傾向にあります。それを直しましょう。
(1)話すとき、顔や目線や口が下方向を向いている。
(2)手の位置が腰より下にあることが多い。
(3)話すとき、眉や目や頬をあまり動かさず、顔の下半分のみが動いている。
(4)猫背である。
 また、見た目や行動で暗い先生の印象をなくしましょう。
(1)髪型
 おでこを出すと自己開示的になり、安心感や清潔感がアップして、爽やかな印象になります。
(2)服装
 色や形より、意識すべきは清潔感と素材感です。
 シワになっていないか、季節に合った素材といったことに気をつけましょう。
 男性はハリのあるパリッとした素材。女性は光沢のある素材を取り入れると、ぱっと華やいだ印象になります。
(3)動作・話し方
 動作や動きで落ち着きを意識してみましょう。
 ゆっくりと大きく動くと、控えめな印象の人でも、存在感がアップします。
(4)子どもたちに「先生!」と呼ばれたときの反応
 子どもたちの感性はとても敏感です。先生の印象を日々感じているのです。
 だからこそ、
「先生! と呼ばれたら『はい』と笑顔で返事をする」
「その子の目をしっかりと見て話す」(聞いてくれている、認められていると子どもは思う)
「暗い」と言われたからといって、無理に笑顔を作ったり、明るく振る舞ったりする必要はありません。
 明るければ信頼される、というものでもないからです。
 逆転の発想で、自分らしさをプラスへと導きましょう。良い方向に強めることができれば、存在に一貫性が増し、その一貫性こそが相手から信頼・安心感を得ることにつながります。
 実は「暗い」と言われる人は、細やかなことに気づくことができる感性と、思慮深さを持つことが多いのです。
 では、なぜその長所がマイナスに映ってしまうかというと、細やかな感性が自分に向かうことで、エネルギーが自分の内面に向っているからです。
 ぜひ、その細やかな心遣いを、子どもたちに向けてみて下さい。それだけで子どもたちに与える第一印象が変わります。
 教師の口数が少ないことも、短所とは言い切れません。「落ち着きがあって誠実」な印象にもなります。
 言葉を選び、じっくり子どもに向き合うことで、信頼関係を構築しやすくなるものです。
(ちとせ:脳科学・心理学などに基づいたメソッドで「人」を育成する講演・研修を実施している)

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放課後、職員室に保護者からのクレームの電話が鳴っても驚かないようにするには、どうすればよいか

 子どもたちが下校して、ホッとする放課後、くつろいだ気分で、同僚教師と話しているとき、電話が鳴るときがあります。
 すると、それまでの職員室の空気が一変して、教職員全員の顔が一瞬、キュッと引き締まります。
 このようなクレームの電話がこないように、次のような先手の処置を打っておくようにします。
1 子どもたちを笑顔で下校させる
 帰りの会で楽しい話をしたり、ちょっとしたゲームをしたりして、子どもたちが気分よく下校できるような工夫をしましょう。
 子どもたちが集まる教室では、トラブルが起きて当たり前です。
 しかし、トラブルが起きたときに、瞬時にしっかりと対処し、
「今日は、いろいろあったけど、楽しい1日だった」
と、締めくくることができるような、一言を子どもたちにかけて、下校させるようにしましょう。
 子どもたちが気持ちよく下校できれば、保護者からのクレームは、ほとんどないと思って間違いありません。
2 気になることは、必ず保護者に連絡する
 友だちとのトラブルやケガ、厳しく子どもを叱る、ことがあった場合、必ず連絡帳や電話で保護者に報告しておきます。
 場合によっては、家庭訪問の手間を惜しんではいけません。
 わが子からでなく、教師から先に連絡することで、保護者の気持ちが随分違います。
 ほとんどの場合、保護者が教師を好意的に考え、理解を示してくれます。
「忙しいのに、わざわざすみません」と、恐縮してくれることも珍しくありません。
 しかし、万がいち、苦情の電話がかかってきたら、保護者の話を受け入れる姿勢で対応します。
 解決を急いで、教師が先に言い分を押し付けることのないように注意しましょう。
 相づちを打ちながら、じっくり話を聞けば、保護者の気持ちもおさまってきますし、教師の説明を受け入れる余裕もできます。
 保護者の気持ちをいったん受け入れながら、理解を求めていくことが、苦情への対応の基本です。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方研究会」を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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いじめ指導の心得とは何か

 一人の人間として、生徒が相談に来たとき「これはいじめなのか?」と考えるのではなく「生徒が困っている、それをどう指導するか」が、発生した問題を解決する出発点になると思います。
 そのとき、教師にとって大切なのは、どのように解決していくか、クラス全体に何を訴えるかを考えることです。教師として子どもに対する指導力をつけることなのです。
 結局、いじめ指導とは日常の生徒指導そのものにすぎません。世間でいう「いじめ問題」がうまくいかないなら、それは日常の生徒指導に熟達していないだけのことです。
 被害にあっている子どもを教師一人で救うには限界がある。教師一人では対応しないというのが、まず第一の指導の条件である。
 巧妙ないじめが多く、複雑で、簡単に解決できない問題が多い。何か問題が起きた時に、すぐに相談でき、一緒に動いてくれる体制が重要です。
 私は、問題が起きたときや、気になることがあったときは、必ず3人の教師に話をするようにしています。
 そうすることによって、いろいろな角度から状況を把握できるからです。
 教師の指導は言葉でしか指導できない。また、一度や二度の指導で、すべてが解決することはない現実を知らねばならない。
 私は、被害者に保護者の前で次のように確認します。
「また、加害生徒や周りの生徒が何かやってきたり、暴力を振るわれたりしたら、必ず保護者、先生、言いやすい大人に言うこと」
「次に、嫌なことや、暴力を振るわれたら警察に被害届を出すこと」
を提案し、約束をさせることです。
 被害生徒をサポートすることが大事です。
「いじめ」という言葉にとらわれず、傷害、恐喝、器物破損などの犯罪行為であるという認識をもち、いじめられている生徒を徹底して守り通すという観点をもつ。
 警察との迅速な連携が問題行動の予防や早期解決につながると思います。
(瀬田川 聡:横浜市立中学校教師、生徒指導専任教師(13年間)、横浜市立小学校副校長)

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教師の一番の仕事は「子どもをほめる」こと、教師の1日は子どもをほめるためにある

 私は、昔、明石家さんまさんのTV番組「踊る さんま御殿」を字起こししたことがあります。1時間の番組を全て字起こしするのは、大変な作業でした。
 しかし、大きな発見がありました。
 明石家さんまさんの一番の仕事は「笑うこと」でした。
 他のゲストが笑っていない時でも、さんまさんは笑っています。
 あなたが、さんまさんの番組に出たと想像してみてください。
 大スターのさんまさんが、あなたの話を聞いて、必ず笑ってくれるのです。
 あなたは、きっとうれしく、すごく話やすいはずです。
 さんまさんに、笑ってもらうとは、認めてもらい「ほめられる」ことと同じです。
 だから、さんまさんの番組では、ゲストが生き生きと話せるのでしょう。
 教師の一番の仕事は「子どもをほめる」ことです。
 子どもが「自分が何をしても、先生が必ずほめてくれる」。そんな状況を作れば、子どもたちは自信を持って活動ができますね。
 それなのに、若手教師は、ほめることが少なすぎます。つぎの私の名言を胸に、子どもたちをどんどんほめてほしいですね。
「リスクがゼロ、しかも、コストもゼロ、『ほめる』という武器はどんどん使うに限る。使わないのは、もったいない」
「教師の1日は、ほめるためにある」
のだと、心得ましょう。
 そして、子どもたちをどんどんほめましょう。
 子どもたちをどんどんほめると、子どもが教師を信頼します。クラスがうまく回り始めること間違いなしです。
 例えば、授業態度が悪い子どもがいたとき、隣の子どもをほめます。
 手悪さをしている子どもがいた時です。その子どもを叱るのは素人のすること。
 隣の子どもをほめると、手悪さはおさまります。どうしたら、よいのでしょうか。
 教師は、その子どもを叱りたい気持ちをグッと我慢する。
 手悪さをしている隣の子どもを「手を膝に置いて話が聞けていて、エライ!」とほめる。
 すると、その子もほめられたくて、手悪さをやめ、膝に手を置く。
 それでも、手悪さをやめなければ、逆隣の子どもをほめる。
 それでも、やめなければ
「〇年〇組、膝に手を置いて話を聞けるクラスだね」
「いや、一人だけいた。後1人が膝に手を置けば、完璧なクラスだ」と言う。
 それでもやめなければ、当然、厳しく叱る。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

 

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あなたは授業中、どれだけ子どもたちの状態を把握していますか、どうすれば把握力があがるのでしょうか

 授業の進め方はすべて、教師一人ひとりのセンスや好みに任されています。
 子どもを成長させている教師の授業を覗いてみると、子どもたちのほうを向いて、きちん話をし、教科の内容だけでなく、今日どんなことがあったかなど、世間話も織り交ぜ、子どもたちの興味を引く方法も多用しています。
 教師は3年~5年で一人前になればいいという感覚ではないかと思います。
 一方、塾や予備校の講師は、始めてからほんの数か月で魅力的な授業をする人が多いのはなぜでしょうか?
 学校は途中で子どもが辞めることはほとんどありませんが、塾や予備校では、その講師の授業に魅力がなければクレームが起こり、子どもが辞めてしまうかもしれません。
 だから、少しでも早く、子どもにやる気を出させる授業を行えるようにならなければいけないのです。
 結果的に、否応なく、講師は自分の授業力を磨いていきます。
 そのためには、形から入ることもいといません。
 それに慣れていくうちに、後から魂を入れていってもいいわけです。
 だから、塾や予備校では、しゃべり方や挨拶の仕方、しっかりと前を向いてしゃべるといった型を昔から重視していたのです。
 では、どうすればいいのでしょうか。段取りが重要です。例えば、
「では、鉛筆を置いてごらん」
「手はひざの上に置いて」
「はい、こっちを向いてごらん」
「うん、いい顔だ」
と、単指示の繰り返しですが、いうふうにしていくと、必然的に全員が話を聞く姿勢になるわけです。
 板書したら、しっかりと子どもたちの目を見て話をしましょう。
 しっかりと目を見るためには、前を向かなければいけません。
 そのためには、足を前に向けないとダメです。
 人間の身体というのは、足と肩が平行になるようにできているので、最初は身体だけをねじっていても、そのうち気づいたら、必ず足と肩は平行になっているものです。
 子どもに話しかける時に、話す文章の句読点で、子どもを見ることで、対話ができるようになります。例えば
「いよいよ、来週は、遠足ですね」
と、文章の途中で溜めをつくりながら、子どもたちの顔を見回す。
 すると、どうなるでしょうか。
 そうすれば、声に出さずとも、その間に、子どもは心の返事ができるのです。コミュニケーションが取れるわけです。
 多いのは、区切らずに、しかも早口でしゃべりながら、黒板に何かを書き出します。
 それでは、その話は単なる独り言にすぎません。何の役にも立っていない、意味のないしゃべりです。
 それを続けても、教室の一体感が醸成されることはありません。
 そうしたちょっとした気づきがとても大切なのです。
 あるいは、子どもたちに何かを考えて、答えさせる場合に、Aくんを見つめて
「これってどうなるの?」
と、聞いたら、Aくんしか考えない。ほかの子の脳は働きません。
 子どもたち一人ひとりを見回しながら
「これってどうなるのかな~、はい、Aくん」
と、持っていけば、みんなが考えることになります。
 教師になったばかりの人が、たまたまそれに気づけばいいけれども、気づかなければ、そのままずっと何年も経ってしまい、その教師のスキルが上がらないということが問題なわけです。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)

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子どもは教師の愛が本当かどうかを悪口・問題行動で何度も試します、どうすればよいのでしょうか

 子どもは、教師の愛情を確認するために、悪口を言ったり、マイナスの行動をとったりします。
 子どもの心を愛で満たそう。
 子どもの心には、コップがあります。
 心に傷を負った子は、コップが逆さまになっています。注いでもらっても、こぼれてしまいます。
 まず、コップの向きを直します。
 そして、心のコップに愛を注ぎましょう。
「いくらやっても、子どもが変わらない」のは、心のコップが愛で満たされていないからです。
 子どもが変わらないのは、心が満たされないからです。
 愛された経験がないので、とまどい、拒否するのです。
 教師の愛が本当かどうかを試します。何度も何度も、試します。
 愛情を確認するために、悪口を言ったり、マイナスの行動をとったりする。
 子どもの否定的な反応は、すべて「お試し」なのです。
 それに教師が乗ってしまうと、振り出しに戻ってしまいます。
 教師は「これ以上、我慢ができない」「限度がある」と思います。
 あなたの努力は、よくわかります。
 しかし、子どもは、何度も何度も、確かめるのです。
 教師の愛情を確認するのです。その愛情が本物かどうか確かめたいからです。
「この人は違う」と、子どもが思うようになるまで、ひたすら愛を注いでください。
 子どもの心が愛で満たされると問題は消えてしまいます。
 子どもを、愛で満たしましょう。
 問題行動を起こす子のほとんどが、心が満たされていません。
 子どもの心のコップを愛で満たしてください。
 愛が満ちると、うそのように問題がなくなります。
 教師は心のプラスの変換機になろう。
 かつて、ある人は、私をいつも励ましてくれました。
 落ち込んで、マイナス思考になる私を、プラスに導いてくれました。
「そんなことないよ。絶対大丈夫だよ」「杉渕さんなら、できるよ」
 私は、あの人に会うと、元気が出ました。生きる力もわいてきました。救われました。とことん落ち込んでいるときも。
 あの人に出会って私は救われた。あの人に出会って、子どもに対する私の見方が変わったのです。
 子どものつらさをプラスに変えてあげよう。
 劣等感のかたまりのような子、落ち込んでいる子を見ます。
 以前の私を思い出します。
 今度は、私が「あの人」になる番です。
「先生、ぼくはできない」
「そんなことはないよ。今できないということは、これからできるようになるということなんだよ」
「ぼくなんて、いないほうがいいんだ」
「そんなことないよ。きみがいないと、このクラスは成り立たないんだ」
「一人ひとりが重要な役割を果たしているんだよ。そのことをきみが知らないだけなんだ」
 教師は、変換器だと思います。
 マイナスをプラスに変換して子どもに返すのです。
 やっているうちに、子どもは変わってきます。
 続けることがポイントです。
 教師は変換器。子どものぐち、マイナスの言葉を受け入れ、プラスの言葉に変えて返そう。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都公立小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

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保護者に「子どもをよく見ている先生」と思ってもらうには、どのようにすればよいか

 学級通信の内容は、子どもの良さを伝えるものが多い。特に小さな良さを見つけて伝える。例えば
「子どもたちを鍛えるために、毎日漢字のテストを行っています。間違った漢字は10回やり直しさせるという厳しさですが、子どもたちはがんばって取り組んでいます。100点を取る人も、とっても増えてきました。
 〇月△日(金)の2時間目も、最初に漢字テストをしました。すると、Aさんが『先生、テストの紙が1枚足りないのでください』と言いに来ました。
 しかし、Aさんは1番後ろの席ではありません。後ろから3番目です。
 見てみると、後ろの2人はすでに名前を書いています。
 Aさんは、テストの紙が足りないことに気づき、先に後ろの人に紙を回してあげたのです。
 Aさんの優しい行動に、心が温かくなりました。そして、とっても嬉しい、幸せな気持ちになりました。
 Aさん、優しいですね!
 クラスに、Aさんのような優しい行動が増えるといいなあと思います」
 こういう記事を読めば、保護者は
「きちんと子どもたちを鍛える、学力をつける先生だ」
「子どもの細かい所まで、よく見てくれる先生だ」
「子どもの良さを認めてくれる先生だ」
 と思ってくださるはずだ。  
 学級通信でほめると、口でほめる100倍の効果がある。
 実名を出してほめ、その行為を典型化していく。
 ちなみに、学級通信での一番のコツは「必ず、読み聞かせること」である。
 配っただけでは、子どもたちは読まない。読むとしても自分の名前のある所だけ。
 学級通信は読み聞かせて、みんなの前でしっかりほめてやることが大切なのだ。
 子どもの小さな良さを見つけ、学級通信の記事にしよう。
 配って読み聞かせ、その子をほめよう。
 そして、良さをクラスの他の子どもたちにも広げていこう。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ、多くの学生に向けて講演も行っている)

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