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ストレスを軽減するには、どのようにすればよいのでしょうか

 人は、ネガティブなことに注意を引きつけられる特徴があります。
 人は自然な状態では、みんなネクラということです。
 あまりに楽観的にしていると「アリとキリギリス」のキリギリスになってしまいますので、ネガティブ思考は生き延びるための本能的な知恵といえます。
 自然に何かを思い出したり、考えてしまう場合、ネガティブな思考になり、悔しかったことや、つらかったこと、がっかりしたこと、後悔すること、不安なこと、などに、なってしまうのです。
 輝かしい過去の栄光や、バラ色の未来が思い浮かぶことは、まずありません。
 過去のネガティブなこと、未来の不安は、ストレスになります。
 嫌なことは自然と頭に浮かび、考えてしまうものです。そして「嫌なことを、考えるのをやめよう」と思えば思うほど、ますますそのことを考えてしまいます。
 そこで、過去や未来のことを考えず、今、この瞬間のことに意識を向け、ありのままの状態をできるだけ客観的に観察するようにするとよい。
 すると、それだけで、心にたまったストレスを掃き出すことができるのです。
 そのストレスを掃き出す方法として「マインドフルネス」というケア法があります。
 まずは、基本となる「身体感覚」を感じることから始めてみましょう。
 例えば、呼吸に伴う体の感覚、動くときの筋肉の感覚、じっとしていても、ひとりでに起きてくる感覚など、ふだんは気づかない感覚を感じ取り、観察することで、ストレスをため込む「負の思考」から離れることができます。
 具体的には、次のように実践します。
 この実践を重ねるにつれて、ストレスで一杯になっている心が徐々に変わってくると思います。
1 椅子に座り、(1)~(3)を1~2分繰り返します
(1)椅子に座り、背筋を伸ばして、体の力を抜きます。手は膝の上に乗せます。
(2)呼吸に意識を向け「鼻から空気が入る感覚、出ていく感覚」「呼吸でお腹が動く感覚」を感じ、観察します。
(3)椅子に接した「お尻の感覚」、床に接した「足の裏の感覚」を、つま先から、かかとへの順で感じます。
2 歩く
 集中できなかったり、飽きてしまう場合は、歩いているときの感覚を感じ取り、観察することからやってみましょう。
 背筋を伸ばし、なるべく上半身は動かさないようにして、歩くにつれて足が動く感覚を感じ取りながら歩きます。
 動きのなめらかさや硬さ、次々と動く感肉の感覚、足の裏の感覚を感じましょう。
 気になることが、どうしても頭から離れない場合などもうまくいきます。
 気になることを思い出したりしたら、その都度、動きに意識を戻します。歩いているときは、動きがあるので、切り換えやすいです。
 足の動きを感じながら「右足、左足」などと頭の中で言葉にしてもよい。  
 取り組みやすいものから、短時間でも構いませんから、気づいたときに実践してみてください。
 回を重ねるうちに、少しずつ、気持ちが落ち着きやすくなるのを実感していただけると思います。
(真金薫子:東京都教職員互助会三楽病院精神科部長、東京都教職員総合健康センター長、東京医科歯科大学臨床教授)

 

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