あなたは授業中、どれだけ子どもたちの状態を把握していますか、どうすれば把握力があがるのでしょうか
授業の進め方はすべて、教師一人ひとりのセンスや好みに任されています。
子どもを成長させている教師の授業を覗いてみると、子どもたちのほうを向いて、きちん話をし、教科の内容だけでなく、今日どんなことがあったかなど、世間話も織り交ぜ、子どもたちの興味を引く方法も多用しています。
教師は3年~5年で一人前になればいいという感覚ではないかと思います。
一方、塾や予備校の講師は、始めてからほんの数か月で魅力的な授業をする人が多いのはなぜでしょうか?
学校は途中で子どもが辞めることはほとんどありませんが、塾や予備校では、その講師の授業に魅力がなければクレームが起こり、子どもが辞めてしまうかもしれません。
だから、少しでも早く、子どもにやる気を出させる授業を行えるようにならなければいけないのです。
結果的に、否応なく、講師は自分の授業力を磨いていきます。
そのためには、形から入ることもいといません。
それに慣れていくうちに、後から魂を入れていってもいいわけです。
だから、塾や予備校では、しゃべり方や挨拶の仕方、しっかりと前を向いてしゃべるといった型を昔から重視していたのです。
では、どうすればいいのでしょうか。段取りが重要です。例えば、
「では、鉛筆を置いてごらん」
「手はひざの上に置いて」
「はい、こっちを向いてごらん」
「うん、いい顔だ」
と、単指示の繰り返しですが、いうふうにしていくと、必然的に全員が話を聞く姿勢になるわけです。
板書したら、しっかりと子どもたちの目を見て話をしましょう。
しっかりと目を見るためには、前を向かなければいけません。
そのためには、足を前に向けないとダメです。
人間の身体というのは、足と肩が平行になるようにできているので、最初は身体だけをねじっていても、そのうち気づいたら、必ず足と肩は平行になっているものです。
子どもに話しかける時に、話す文章の句読点で、子どもを見ることで、対話ができるようになります。例えば
「いよいよ、来週は、遠足ですね」
と、文章の途中で溜めをつくりながら、子どもたちの顔を見回す。
すると、どうなるでしょうか。
そうすれば、声に出さずとも、その間に、子どもは心の返事ができるのです。コミュニケーションが取れるわけです。
多いのは、区切らずに、しかも早口でしゃべりながら、黒板に何かを書き出します。
それでは、その話は単なる独り言にすぎません。何の役にも立っていない、意味のないしゃべりです。
それを続けても、教室の一体感が醸成されることはありません。
そうしたちょっとした気づきがとても大切なのです。
あるいは、子どもたちに何かを考えて、答えさせる場合に、Aくんを見つめて
「これってどうなるの?」
と、聞いたら、Aくんしか考えない。ほかの子の脳は働きません。
子どもたち一人ひとりを見回しながら
「これってどうなるのかな~、はい、Aくん」
と、持っていけば、みんなが考えることになります。
教師になったばかりの人が、たまたまそれに気づけばいいけれども、気づかなければ、そのままずっと何年も経ってしまい、その教師のスキルが上がらないということが問題なわけです。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)
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