子どもたちに学ぶ楽しさを教えられる本物の教師になるには、どのようにすればよいのでしょうか
私は、小さい頃に、子ども向けの物語や雑誌に夢中になりました。小学校では作文、高校生の頃には俳句を詠むことが好きになりました。
意識していたわけではありませんが、そんな経験が私を国語教師という仕事へ導いたのだと思います。
読む力は「読む」という行為を通じてしか、育ちません。書く力も「書く」経験の中からしか育ちません。ですから、読みたい、書きたいと思う気持ちがもっとも大切なものです。
美術の先生には、生涯を通じて創作活動やけいこを続けていく人が多いように思えます。
教えるための技術習得のためだけでなく、自分自身の喜びのために、新しい世界に挑み、脱皮し続ける。そんな人は、いつも若さを保ち続け、伸びていきます。
ですから私は、教師たるもの、ぜひとも何らかの創作活動や稽古に携わるべきだと考えます。
授業を向上させ、質を追求することとはまた違う次元で、創作活動や稽古は自分の心を謙虚にします。
努力することの喜びで満ち、向上的変容の佳境へと導いてくれます。そして、その感動がまた、授業に力を与えてくれるのです。
自らを変えていくための実践を常に続けていく。そういう教師であってはじめて、子どもたちに学ぶ楽しさを教えられる本物の教師と言えるのではないでしょうか。
子どもたちは教師の素顔を見抜こうとします。
どんなに言葉に力を込めても、教師自身が自分の人生に喜びを抱いていなければ、学ぶ楽しさは伝えられません。
人生において、何に自分なりの面白さを見出すか、これはとても大切な事柄です。
教師という職業を選んだ以上、まずは授業にこそ面白みを見出すべきでしょう。
授業の向上へのエネルギーを生み続けるための活動を行うべきです。
もし、どうしても教師という仕事にのめりこめないようなら、その人は別の職種へ身を移すべきです。その方が本人はもちろん、何よりも子どもたちのためになるはずです。
人間にとっての、向き、不向きは能力のレベルの問題ではありません。どれだけ、楽しめ、夢中になってのめりこめるか。結局のところ、それが職業選択の分岐点でと思うのです。
(野口芳宏:1936年生まれ、公立小学校・千葉大学付属小学校教師を経て、公立小学校校長。退職後、北海道教育大学・植草学園大学各教授、千葉県教育委員会委員等を歴任し、植草学園大学名誉教授。「鍛える国語教室研究会」「授業道場野口塾」「実感道徳研究会」各主宰)
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