保護者からのクレームに、教師目線に立って教師が少しでも傷つかないような対応をするにはどうすればよいのでしょうか
近年の世の中の風潮は、教師に対して厳しすぎると言えるでしょう。教師も人間で傷つくということが分かっていないかのようです。
教師は、たった一つの心ない言葉で寝込むほどのショックを受けるのです。心ない言動に学校は無防備です。
「これ以上、事を荒立てないように、とりあえず謝ってください」と、穏便に済ますようにと促す管理職が多いのも事実です。
「どうせ言っても、相手の心に届かないから」と話し合いを避け、先手を打って謝る教師も増えています。
当たり前のように学校現場で繰り広げられている光景ですが、正常な対応でしょうか。
保護者との関係を悪化させず、なおかつ教師の尊厳を保つ方法があるはずです。
私は、その方法は「教職員間の役割分担」と「シナリオ」だと考えています。
教師一人では対応が難しくても、教職員間で役割分担をきちんと行い、保護者の特徴や言動の中身を見極めたうえで、話し合いをする前に簡単なシナリオを作成すれば、ある程度の着地点に落とし込めると考えています。
教師を打ち負かすことにより、自の存在を証明したいという欲求を持っている保護者がいます。
これまでも何かあるたびに「先生を訴えますよ」と脅し、担任や校長が謝罪に追い込む保護者がいます。
例えば、次のような例について考えます。
保護者が予告もなしに校長室に入るなり
「うちの子が掃除をやっているのに、掃除をしていないと担任が注意した。もし謝罪がなければ、訴える」
と、クレームをつけました。
今度の新しい校長は担任を呼び共に頭を下げて解決はせず、担任と児童指導主任を呼ぶと、教職員間で役割分担をし、話し合いをするように指示した。
その子は掃除をさぼっていたが、自分がしらを切り通せば親が何とかするということを学んでいました。
何人かの子どもの証言を得て、さぼっていたと限定することも可能ですが、不毛な時間を費やすだけです。
「名前が挙がるには、それ相応の理由がある」ということを何とか理解してもらわなければなりません。
そのためには、どちらの肩を持たない調整役の名演が求められます。時には担任を責めますが、時に保護者の姿勢も正すという役です。
また、似たような事例で何度も顔を出さないように、スクールカウンセラーにもお願いするのも一つの方法です。
教職員間で役割分担は、舵取り役:今までの経緯を知っている学年主任、調整役:児童指導主任、冷静な主張役:担任、第三者:スクールカウンセラー
シナリオのポイントは、
(1)一方的に保護者が悪いと結論付けないで、喧嘩両成敗のスタンスを基本とする。
(2)さり気なく釘を刺しながら、保護者を持ち上げることも忘れない。
(3)話し合いを、子ども成長という方向にもっていく。
(4)話をすり替えようとしたら、舵取り役が元にもどす。
(5)担任を矢面に立たせない。
(6)校長が効果的に登場する。
(齋藤 浩:神奈川県公立小学校教師。日本国語教育学会員、保護者対応に詳しい)
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