教師に一番大切なのは説得力である、どうすれば身につくか
教師に一番大切なのは説得力である。説得力がなければ、どんな言葉も相手を動かさない。
やる気を出させるにも、励ますにも、叱るにも説得力がなければ効果はない。
自分でどんなにうまく話せたと思えても、内容が相手に伝わっていなければ、目的を果たしていない。話の効果を決めるのは聞く側なのだ。
うまくいかなかったら、何がいけないのかを反省し、改善していく。プロは、自分のどこに問題があるのか考えるべきなのである。
対人関係の真理は「人を見て法を説け」である。
人には、活動的な人、おとなしい人、勝ち気な人、気弱な人、目立ちたい人、目立ちたくない人、傲慢な人、謙虚な人、人にはいろいろな性分がある。
相手の性分に合わせなければ説得はできない。
人を見る目の二つ目は「相手の状況」である。
私は、莫大な数の家庭と接してきた。世の中にはほんとうにいろいろな家庭環境があり、想像もできない状況もあるものだということを実感してきた。
相手の状況を見ることは説得力に絶対必要だ。
説得力には話し手の魅力という問題が付きまとうことも知っておかなければならない。
魅力ある人が語れば、その言葉に惹き付けられ、説得力を感じるというのは事実だ。
人を育てる教師は、言葉に説得力を増そうとする以前に、自分に魅力を付けなければならない。
そのためには「与える」精神を根底に養っておかなければならない。そのために、全人格的な工夫をするのだ。
説得力は、話の技術だけの問題でなく、教師の生き方、人間性の問題であるということだ。
まず「受けとめる」器の大きさが必要なのだ。
受け止められない子どもがいたら、自分の器を大きくするチャンスである。自分が成長すれば、受け止められない子どもは減る。
受け止めることが、相手を理解する第一歩だからだ。
受け止め、その子の思考を探ってみる。すると、その心の奥にある不安感やそれを引き起こさせている状況や過去の歴史が見えてきたりする。
そうして少しでも理解できれば、望ましい方向への対策も立てられる。
説得力で大切なのは「相手に好かれること」である。
人は好きな人の言うことならきく。相手が嫌いであれば、いくらいいことを言ってもきかない。
まどろっこしい話し方は嫌われる。ささっさと結論から入るべきだ。
話は「相手の頭の中に絵を描くことだ」と言われる。イメージを抱かせながら話すことだ。そのために有効なのが、例話や比喩だ。
論だけの話は流れに乗りにくい。相手の心に応じ、論にぴったりした経験談や比喩などを挿入していくことが重要になる。
(平 光雄:1957年愛知県生まれ、愛知県で小学校教諭となり、学級担任は30年以上となる。問題を抱えた生徒たちを数多く立ち直らせるなど、プロ教師としての手腕が高く評価されている。話力総合研究所(東京本郷)に通い、永崎一則氏のもとで話力学を学ぶ)
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