教師は何か抜きん出る能力がないと、子どもたちや他の教師にあなどられる、得意分野を持ったほうが絶対よい
教師は専門職ですから、小学校の教師といえども、得意または自信のある教科や領域を持ったほうが絶対いいです。
エキスパートとして何か抜きん出ている能力がないと、教師や子どもたちにあなどられます。
「算数はこの先生に聞けばいい」「学級経営はこの先生がすばらしい」「あの先生は子どもの掌握の仕方がうまい」等、同僚から一目おかれる教師になることが必要です。
そのためには、自分自身の力量を高めるために、公開研究会に参加したり、本やインターネットなどで情報を探したりして、教えてくれるよき師を見つけることが大切です。
よき師が見つかったら、納得するまで教えていただくことが肝心です。
小学校では全教科を教えますが、一つの教科が得意になると、ほかの教科もコツがつかめて、向上していきます。
「好きこそ物の上手なれ」と言われているように、自分の好きなもの、興味のあるものから研究していくことが、得意教科や領域になる早道です。
学ぼうとさえすれば、二・三カ月たつと、どの先生から何を教えてもらえるかが、わかってきます。
みんなその道のプロで、自分のスキルに自信があるから、丁寧にやさしく教えてくれます。生き方まですてきな教師がたくさんいます。学んでいきましょう。
ただし、みんな忙しいので細切れの時間に教わることになります。
そして、あなたも得意分野を見つけて、学び続け、自信がつけば人間性も磨かれていきます。
私は小学校高学年を担任したとき、男の教師から、体育の指導を学びました。
その教師が体育を教えると、子どもたちの技能が目に見えて向上していくのです。
その教師が体育の授業をしているとき、校庭からちらちら覗いてみていたこともあります。また、授業を参観させてもらったこともあります。
どのように教えたらよいか、わからないときは、5分でも時間があれば聞きました。それがどんなに役立ったかわかりません。
私より年配の男性教師は、実にさまざまな遊び方を知っていて、子どもたちを楽しませていました。
お互いに忙しかったので、詳しく聞く機会はすくなかったのですが、有益な情報をいくつももらいました。
そして何よりもよかったのは、その教師の人間味あふれる言動にふれたことでした。どの教師からも慕われ尊敬されていました。
図工専科の画家である女性教師とは懇意にしてもらいました。絵の指導がすばらしいの一言につきました。
その教師が描かせる絵は、色が明るくきれいで、伸び伸びし、構図も大きく大胆でちまちましていないのです。描いた絵の存在感に圧倒される思いがしました。
どのように絵を描かせたらよいか、わからないので聞きにいくと、さらさらと鉛筆でポイントをわかりやすく描いて示してくれました。
すぐわからなくなるので、そのつど聞きにいくのですが、色の使い方や子どもにどう教えたらよいかを短時間に教えてくれるのです。
(卯月啓子:1949年東京都生まれ、元公立小学校教師。NHK教育テレビ「わくわく授業 卯月啓子さんの国語」(2002年)で好評を得る。「卯月啓子の楽しい国語の会」代表。現職教員のための国語教育研究会の常任講師を務め、後進の指導にあたっている)
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