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対応するのが困難な保護者の特徴と、話の聞き方のポイントとは

 教師が疲れきってダウンしてしまう原因のひとつに、保護者対応があります。
 保護者の要求の内容は、事実に即したものもありますが、すべてを担任や学校の責任にして、自分の子どもの実態から目をそらすケースが見られます。
 対応するのが困難な保護者が、学校に攻撃的になるのは、教師のせいというよりは、何かの理由によって、その保護者が非常に不安であったり、情緒不安定であったりすることが多いのです。
 真面目な教師ほど、文句を言われると「自分はダメだ」「できていないから、言われるのだ」と自分を責める傾向にあります。
 対応困難な保護者に苦情を言われたときには、この保護者は不安なのかもしれない「不安だから、話を聞いて」と言えずに攻撃するのかもしれないと教師が思うことで、多少冷静になれるかもしれません。
 こういう保護者には、教師が一人で対応してはいけません。信頼している教師と、複数で対応してください。
 特に対応困難な保護者の特徴として、次のようなものがあります。
1 人のせいにする
「周囲の人が悪いから」といった、人のせいにする物言いになる。
 例えば「先生が怒ったから、私は腹が立ったのだ」と、人のせいにする。
 自分がネガティブな感情を持っていると認めることに耐えられないのだ。
2 自分の都合の悪いことは、なかったことにする
 例えば、保護者が怒鳴ったので、教師が、少々声を強くして「とにかく座ってください」と言った。
 そうすると、保護者が「突然、先生が恫喝した」というふうに、自分の都合の悪いことはなかったことにする。
3 ものの見方が極端であり、人に対して、全部良いか、全部悪い人か、といった捉え方をする
 保護者の話を受け入れて、教師が聞いてくれている間は、教師は神様扱いだが、1つ思うように聞いてもらえないと極悪人扱いになり、いっさい話が通じなくなる。
 教師は「話を聞くこと」のプロではありません。学校現場に出てから保護者の対応を迫られるので気の毒だと思います。
 話してもわからない対応困難な保護者の話の聞き方のポイントは、
(1)歓迎する
 気持ちはすぐ相手に見抜かれます。歓迎するつもりで接してください。できれば「またおお会いしましたねぇ」と迎えるほうが、うまくいきます。どうしても歓迎が難しいときは、お腹のなかで「嫌やなぁ」と覚悟して迎えてください。
(2)苦情の種類によって対応を変える
「まともな要求」は誠実に対応する。「ある程度対応すべき苦情」は、ここまではできるけど、ここからはできかねることを伝えます。
 納得しない場合は管理職と相談する。「理不尽な苦情」は一人で対応せず管理職と相談して複数の教師が関わりましょう。
(3)初期対応が大切
 最初は迎え入れる気持ちで接する。否定的な「でも」といった言葉を用いず、ていねいに聴くと、その後がうまくいくことが多い。引きぎわを待っていることもあるので、時間は一時間をめどに「〇○のお話が聞けました」と区切りをつける。
(4)本音は何かをさぐりながら聴く
 話を真摯に聴きながら、「この人は、こんなにも強い調子で話しているが、この人の悲しみの中心は何だろう?」と、本音をいろいろ空想し、質問して尋ねたりしながら聴きます。
(5)心の中は自由に何を感じてもよい
 真面目な教師ほど、「相手を悪く思ってはいけない」と自分の心を拘束しがちです。顔に出さないようにして、心の中では何を感じてもいいのです。
(6)気持ちを短く伝える
 相手の言葉があまりにきついとき、自分の気持ちを短く伝えるとよい。短くがミソです。「そこまで言われると、キツイなぁ」「わからなくなってきました。よくわかる先生を呼びますね」と、いったん席を外し、ひと呼吸できる間をとるといい。
(7)目的を共有しながら聴く
 対応困難な人の話は、話がそれることが多いので「今日は〇○についてお話に来られたのでしたね」と確認をはさみます。やりすぎると怒られることがあるので注意する。
 わかりにくい話の場合、わかったふりをして終えると、後で理解がずれたとき「聞いていなかったのか!」と怒ることがあります。
 わかりにくい話のときは、首をひねってもいいと思います。「今日は〇○についてお聞きできました」「熱心に考えてくださっているのがわかりました」と、わかったことのみを最後に伝えて帰ってもらうとよい。
(8)話の限界を設定する
 筋のおかしい話を全部飲むわけにはいきません。「ここまではできるが、ここからはできない」という限界を伝えていいと思います。
 遅い時間の家庭訪問や電話を要求されるケースもあります。緊急でないかぎり「○時までは対応できるけれど、○時以降は対応できかねます」と言っていいと思います。
(井上麻紀: 臨床心理士。公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター副センター長。10年以上にわたり、学校教職員の専門病院で、教員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援をおこなってきた)

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