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保護者のクレームに学校が過剰防衛に走らせる事態を増幅させています

 ある小学校で、宿題の出し方について、ある保護者は「宿題が多すぎる」といってきました。しかし、別の保護者からは「少ない」というクレームが寄せられました。
 対応に苦慮した学校は「なんとかしなければ」との思いから、学校全体で、
「毎日、算数と国語のプリントを一枚ずつと音読を加え、それを全教職員が守ること」
という決まりをつくりました。
 宿題は学年ごとでも、クラスごとでも本来は、自由に子どもの学習課題とのかかわりで決めるべきものです。
 しかし「統一した方針を決めて、保護者に対する説明責任を果たすことが必要」という論理が優先されてしまいました。
 小学校や幼稚園などでは、子どもが帰宅した後、担任が毎日のように保護者宅に電話をかけて
「今日、学校で、お宅のお子さんが〇〇くんとケンカをしましたが、その後、仲直りをしました」とか、
「ひざのすり傷は、昼食後の休憩中に運動場で転んでついたものです。すぐに保健室で見てもらって手当をしてあります」
といった内容の「ご報告」を繰り返している姿があちこちで見受けられます。
「何も、そんなことまでいちいちと」とか
「そんなことは、自分の子どもに聞けよ」
と思われるかもしれませんが、もしこの「適宜のご報告」をしなかったために
「連絡がないのは、どういうことだ!」
と苦情を言われたり、トラブルに発展したりすることが往々にしてあるからです。
 もちろん別の家庭からは逆に
「子どものコトでいちいち電話をするな!」
と拒絶されることもあります。
 教師や学校にとってしんどいのは、保護者からのクレームの持ち込まれ方も関係しています。
 たとえば、担任の指導方法に対するクレームが、ある日、突然に校長に持ち込まれたり、教育委員会に直接に伝えられたりしますし、議員や弁護士関係者がいきなり出てくることさえあります。
 こういうことが繰り返されることによって、教師全体が萎縮し、過剰防衛に走らせる事態を増幅させています。
(小野田正利:1955年生まれ、大阪大学教授。専門は教育制度学、学校経営学。「学校現場に元気と活力を!」をスローガンとして、現場に密着した研究活動を展開。学校現場で深刻な問題を取り上げ、多くの共感を呼んでいる)

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