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教師が実践力を向上させるためには、何が必要なのでしょうか

 新任1年目の私は散々な学級経営をしてしまいました。
 大学時代の私は、家庭教師や塾の講師を務め、自信を持っていました。小学校の先生なんて楽勝な仕事だと思っていました。
 しかし、現実はそんな甘いものではありませんでした。
 学校のルールを破ってシャーペンを持ってきた子どもに「〇〇さん、シャーペンは学校に持ってきたらだめとちがう?」と注意をしました。すると、
「他の子もシャーペン持って来ているのに、なんで、ボクだけ注意されるんですか?」
と、反発された。
 注意したら、すぐに反省して「すみません」と言うだろうと思っていた私にとって、考えてもみなかった反応でした。
 私はカッとなり、感情的に怒鳴りつけ、力で押さえつける指導をしてしまいました。
 こんなことが何度も続き、1学期の終わりの頃にはクラスは最悪の状態になりました。
 どうしたらいいのかわからなくなり、夏休み前に大学の先輩に相談すると、教育サークルや教育セミナーに何度も私を連れて行ってくれました。
 そこでは、テクニックや知識がたくさん紹介されました。
 夏休みが明けて、勉強したことをふまえて、心機一転、再スタートしました。
 学んできた通りにやっているのに、子どもたちの様子が変わらない。私は焦りを感じ、子どもたちにつらく当たってしまいました。
 現在の私は、こんなことで心が乱されません。なぜなら、学んだことはうまくいかないのが当然だからです。
 そもそも、まず子どもたちの状況が違います。目の前の子どもたちに合わせなければなりません。
 そして、子どもとの信頼関係、しいて言うなれば、その先生の性格や人格も違うのに、同じようにいくことなんてあり得ないのです。
 性格は生まれ持って備わっている感情や意志の傾向です。
 人格は、忍耐、優しさ、寛容、謙遜、礼儀、素直さ、誠実さといった後天的に身に付けられるものです。
 教育の知識をたくさん身につけても、いざやってみてもうまくいかなかった経験のある先生も多いのではないでしょうか。
 学んで得た知識を振り返り、自分に合うように変更していく、ひと手間が必要なのです。
 教育技術は、さまざまな分野の知識を利用し、悪戦苦闘しながら実践を続け、自分なりのワザを身につけなければなりません。
 だから、教師が実践力を向上させるためには、人格、知識、技術の力をまんべんなく向上させていかなければならないと私は考えています。
(小野領一:1984年奈良県生まれ、奈良県公立小学校教師。「かれ笑いす」代表)

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