教師に反抗的、暴力的な態度をとる子どもが学級にいるとき、どう指導すればよいか
教師が注意すると、敵意をあらわにする子どもがいます。
教師の言うことをまるで無視するかのような態度をとって、叱られるのを逃げてしまうのです。
このような子どもには、叱るのをためらいがちになりますが、そういうわけにもいきません。どう指導すればよいのでしょうか。
「叱ることから逃げないで、冷静に対処することを心がけ、学級集団の力で子どもの成長を促す」ようにします。指導のポイントは、
1 叱ることから、逃げない
反抗されるから、教師が叱らないでいると「なぜ、あの子だけ叱らないの?」と、学級の他の子どもたちが不満を持つようになります。
また、教師に反抗するような子どもは、教師に反抗することで、自分の存在感を誇示していきます。
「教師など恐くない。教師より上だ」と、周囲の子どもを引き入れていきます。
叱ることを放置しておくと、多くの子どもたちとの信頼を失い、教師対子どもという構造が学級に生まれてしまいます。
反抗的な子どもほど、教師の言動を観察しています。
他の子を叱ったり、全体に注意を喚起したりする時は、「おれのこと?」と思わせるくらい、常に反抗的な子どもを意識して指導します。
私は反抗的な子どもを指導するときは、他の子が見ていないところで行い、最後に「みんなと楽しくやろう。みんな待っている」と伝えるようにしました。
「あなたが好きだから叱る」「あなたのために叱る」という、叱るという行為の根本に必要な心を込めて私は叱りました。徐々にその心は、子どもに通じていくと思います。
2 教師は、子どもの上に立ち、冷静に接する
このタイプの子どもは、叱れば叱るほど、挑発的な態度をとります。
教師が感情的になるのを楽しんでいるかのように「何で悪いの?」という態度をとります。
このような時こそ、あくまで冷静に接することが大切です。
子どもの挑発にのって、教師が感情的な姿を見せれば、子どもと対等な関係になってしまいます。
穏やかな口調の中にも、毅然とした態度で話をするように心がけましょう。
3 学級集団の力で反抗的な子どもを育てる
反抗的な子どもがもっとも恐れているのが、仲間が自分から離れていくことです。
教師に反抗的な子どもがいる学級こそ、学級の他の子どもたちと教師との関係を密にしておく必要があります。
多くの子どもたちが教師を信頼し、素直に反省することができる学級集団に育てることが大切です。
私が注意すると、反抗的な態度をとるとき、私は
「Aくん、間違ってるよね。みんな」
「先生の言っていることは正しいよね」
と、学級の子どもたちを味方につけながら指導をしました。
学級が教師を中心に動き、叱られることで成長する学級集団の中では、むやみに教師に反抗することはできません。
前向きで素直な学級集団の中でこそ、このような子どもは成長することができるのです。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)
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