子どもたちが教師の話や説明を聞きたくなるようにするには、どうすればよいか
授業をするとき、授業の進め方、課題や解決の方法、答や学習の成果など、子どもたちに話をし、説明しなければなりません。
教師の話や説明に、子どもたちが興味関心を持ち、聞きたくなるようにするには、どのようにすればよいのでしょうか。
1 本音で語れ
子どもの心に、説明を強く印象づけたい場合、あっと驚く本音で話し始めることで、子どもの興味関心を高め、その後の説明を聞かせてみよう。
この方法を多用すると、子どもが教師の話を楽しみに待つようになる。
飾らない話しぶりに好感が持てるし、本音の真意が何であるのかが楽しみであるからだ。
「では、話します」と言うだけで、子どもたちが期待に満ちた顔で教師の話を聞くようになる。
こうしたことを繰り返すことによって、子どもたちの聞く態度を育てることができる。
教師の話をがまんして聞かせることだけでは、子どもたちの聞く態度は決してよくならないのだ。
2「たとえ」を使う
あっと驚く「たとえ」を使うと、子どもたちの心に驚きや感動を与える。例えば、
「学級はすいかと同じだ。熟れてくるほど、中身の種が育ってくる」
「計算力とラーメンは同じだ。速くできても、まずかったでは意味がない」
よく練っておかないと、こうしたたとえは、決まると格好がいいが、子どもたちに通じないと逆効果である。
そして、普段から「〇〇と〇〇は似ていないかな?」と考えることが大事だ。
こうした「たとえ」を使った説明はインパクトが強い。だから子どもたちの記憶にいつまでも残ることになる。
インパクトのある「たとえ」は、子どもの内面に浸透して、子どもが自分を律する際のルーツとなるのである。
3 注意事項が複数の場合は、頭文字で話す
注意事項が複数になってしまう場合は、その言葉の頭文字を取って話す。
通常、子どもへの説明は、一時に一事を短く話すことが原則。しかし、複数の内容を説明しなければならないことが多い。
そこで、頭文字で印象づけ、その後、詳しく説明する方法が効果的なのだ。例えば、
特別教室への移動するときの注意事項を説明するときの頭文字は、「あくま」で。
「あ」歩いて、「く」口を閉じて、「ま」間に合うように。
頭文字は、合言葉になる。教師がいないときも、子どもたちが互いに声を掛け合える集団へと育つのだ。
4 当たり前と思われている事柄を問いかける
子どもたちが「当たり前だよ」と考えているような事柄を説明するときは、問いかけた後に説明をするようにする。例えば
「なぜ、ハンカチやちり紙を持ってくる必要があるんだろう?」
当たり前を問い直してみると、子どもたちは「あらためて聞かれると、わからないなあ」と自覚することができ、その後の説明に耳を傾けるようになる。
5 子どもたちのテンションが低いときは、活動を取り入れる
テンションが低いことが多い月曜日など、説明を聞けるような状態にないときは、まず活動をさせてから説明をする。
例えば、朝なら「おはようございます」と言わせるだけでもよい。座って行う活動が続いたのなら「立ちなさい」と言うのもよい。
なにか活動を取り入れて、空気を変えてから、次の説明をするようにする。
活動は二回繰り返すとよい。一度目の活動に必ず「ダメ出し」をして、レベルアップを要求する。こうしておいてから、説明する。
教師の話を子どもたちが聞いていないとき、のっけから「静かにしなさい」と怒鳴って静かにさせると、教室の雰囲気は急激に冷えていく。
そこで、活動をさせる。活動にダメだしをすることで集中力を高める。しかし、二回目以降は、改善された点をほめるようにする。それによって空気をあたためることができる。
6 教えない
子どもたちの意欲を高めたいときの手法の一つが「教えない」こと。
本来与えられるべき情報を、制限したり、与えなかったりすると、子どもは知りたいという意欲を高めるようになる。
(山田洋一:1969年北海道札幌生まれ、私立幼稚園に勤務後、北海道公立小学校教師。「北の教育文化フェスティバル」代表、「お笑い教師同盟」副代表、「実感道徳研究会」副代表)
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