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私は新人のとき国語の授業の教え方がわからなかったが、努力して楽しくて力のつく学習法にいきついた

 私は新採用のとき、小学校2年生を担任しました。
 今のような指導教師がついた懇切丁寧な指導は一切ありませんでした。
 何とか1日の授業が終わるとほっとしたものでした。余裕など全くありません。
 放課後になると、同じ学年の教室をのぞいて、どんな掲示物をどのように貼ったらいいのか真似をしていました。
 そして、子どもたちと休み時間ごとに外に出て遊んで、子どもたちの気持ちをつかもうとしました。
 毎日の授業を、どうやって教えたらよいか本当に困っていました。
 同じ学年の先生に聞いたり、学年主任の先生に聞いたりしていましたが、間に合いませんので、教科書の指導書を頼りにし、それをみながら進めました。
 一番困ったのは国語の授業です。国語の教科書を見て、何を教えたらよいのか本当に困りました。読めばわかるお話ばかりでした。
 こんな簡単な物語文や説明文は、一回読めばわかるじゃないかと本当に思いました。
 ですから、国語の授業が退屈で仕方ありませんでした。10時間扱いと書いてあっても、すぐ終わってしまうのです。
 きっと、わかる子やできる子どもだけを相手に、進めていたのでしょう。
 校内の研究授業の機会に、40歳代の先生の説明文の授業を参観したのですが、私の国語の授業とは雲泥での差でびっくりしました。
 授業は発問応答方式で進めていたのですが、そのあまりにも鮮やかな展開に、すっかり魅了されていました。
 一字一句を大事にする国語の授業ってこういうのかと、初めてわかったような気になりました。とてもすてきな国語の授業でした。
 その先生の国語の授業は、全員の子どもに、今日勉強する教科書の範囲を読ませ、読めない子どもには一人ひとり教えていました。
 そして、発問応答方式で、教えなければならない内容と言語事項について、きちんとわからせていったのです。
 黒板に書く文字も美しく、見とれました。
 中でも圧巻だったのは、授業時間の最後の方で
「〇〇は・・・・・・です」
と黒板に書いたのです。
 教科書の文章と違うので、私はその先生が間違えたと思い、はっとしました。
 すると、子どもが
「先生、そこは『〇〇も』と書いてあります」
と指摘したのです。
 すると、先生は
「そう、よく読んでいましたね」
「ここは『も』ですね。『は』とは違います」
「どういう違いがあるからしらね」
と進めたのです。
 すると、子どもたちが何人も手を挙げて、要点に触れる答えを言っていたのです。
 一字の扱いで、文章の意味を的確につかみ、イメージが広がったのです。
 この先生は、この「も」を意識させるために、わざと「は」と書いたのです。
 授業は退屈するどころか、後ろで見ていた私も、その先生の発問ごとに、はらはらどきどきしたり、うなずいたり、納得しながら過ごしました。
 あっという間の授業時間でした。これなら子どもも、学習に満足感をもつだろうと思いました。
 そうだ、こういう授業を私もしたいと痛切に思いました。
 こういうすごい授業を毎日受けている子どもと、私のお粗末な授業を受けている子どもでは、1年間ですごい差がつくなと、その申し訳なさに身震いしました。
 それから、私は一念発起して国語の研究会に参加し、教えてくれる師を求めて勉強を続けました。
 そして、楽しくて力のつく国語学習法として、翻作法にいきついたのでした。
(注記)
 翻作とは、なんらかの作品をもとにして、それをなぞったり変えたりしながら、自分なりの表現をすることです。
 翻作法とは、翻作表現活動を取り入れた学習支援の方法です。
 翻作法の第一の利点は、学習活動を意欲的で積極的なものにする点です。
 翻作法では、原作にした作品の理解を確かなものにしたり、その作品の内容や表現方法を学んだり、自分自身の表現力を高めたりすることができます。
 それは、より広い視野から見ると、文化の継承と創造に参加することになります。
 翻作法には「表現活動を通した精読の方法」という特徴もあります。翻作法は、言葉の力を豊かにする、楽しくて実りある学習方法です。
(卯月啓子:1949年東京都生まれ、元公立小学校教師。NHK教育テレビ「わくわく授業 卯月啓子さんの国語」(2002年)で好評を得る。「卯月啓子の楽しい国語の会」代表。現職教員のための国語教育研究会の常任講師を務め、後進の指導にあたっている)

 

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