学級に違和感を抱き、落ち着かないなと感じたとき、どのように学級づくりをすればよいか
新しい学級を担任したとき、教師はまず何をおいても子どもたちとの間に縦糸を張らなくてはならない。
「先生ときみたちは立場が違うんだよ」「先生はきみたちを守る責任をもっているんだよ」「きみたちは先生に指導される立場なんだよ」
こうした縦関係をしっかりと構築しなければならない。
これを怠り、教師と子どもがフラットな関係を築くことこそが理想だなどと考える教師は、子どもたちの前に立つ資格がないと言えるだろう。
しかし、現在、この縦糸を張るだけでは学級経営は成り立たない。
生徒指導のベテラン教師や、子どもたちになめられないようにと怒鳴るタイプの教師が、学級崩壊を起こしたり、子どもたちに反発されたりすることが多くなっているのが何よりの証拠である。
現在、教師は縦糸を張ると同じくらいの重きを置いて、子どもたちに横糸を張らせる手立てをとることが求められる時代になっている。
「子どもたちがわからなくなった」「学級担任をもつ自信がなくなった」と、嘆くベテラン教師は、この発想がないからうまくいかないのだ。
教師は縦糸を張ると同時に、手を換え、品を換えて横糸を張らせる手立てをとらなければならない。
子どもたちに他人とつながる経験を与え、つながる喜びを意図的に体験させなければならない。
学校行事はもちろん、授業、特別活動においても、この発想を片時も忘れてはならない。繰り返し、繰り返し行うことによって、その効果が発揮される指導である。
3か月、半年、1年と長いスパンで見たとき、その効果には計りしれないものがある。
多くの教師はせっかちであるために、その効果を実感するまで続けられない現状がある。
横糸が太くなっていくことによって、教師と子どもの間の縦糸が隠れていくが、決してなくならない。
しかも、子どもたちの横糸は、教師には想像できないような様々な彩りを示し始め、学級全体の彩りを形成していく。
その彩りは、あくまで教師と子どもたちとの間に張られた縦糸によって、一つに織られていくのである。
教師は学級の実態に違和感を抱いたとき、落ち着かないと感じたとき、縦糸の強化に向い、説教に向かいがちである。
しかし「子どもたちの関係性を深める活動が必要なのかもしれない」という視点を浮かべる必要がある。
(堀 裕嗣:1966年北海道生まれ、札幌市立中学の国語科教師。92年、国語教育研究サークル「研究集団ことのは」代表、「教師力BRUSH-UPセミナー」代表。文学教育と言語技術教育との融合を旗印に長く国語科授業の研究を続けている)
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