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教師が子どもとつながり、信頼されるには、どのようすればよいか

 教師をやっている以上、子どもへの語りは実に重要だ。
 教師の失敗談、小さい頃の思い出話、怖い話、人生論などを、子どもに語ることは、子どもの心に宝を残すことになる。
 しかし、すべての教師が、語りが得意ということはない。
 語りたいことはあるのだが、どんな風に語ったらよいのか悩む教師が多い。
 もちろん、苦手だからと、語ることをできるだけ避ける、という手もある。
 しかし、メッセージのない教師は、子どもとつながることも、信頼もされないだろう。
「何を考えているのか分からない教師」は、子どもには理解しにくいのだ。
 もし、自分の話術に自信がなければ、絵本の読み聞かせをするとよい。
 そこで、教師が伝えたい内容と合致した絵本を選び、子どもたちに語る代わりに、読んで聞かせることにする。
 例えば、予定より早く授業が進み、時間が余ったとき、
教師「絵本を読みます」
教師「今日の絵本は、落語を題材にした『じゅげむ』です」
教師「じゅげむ、じゅげむ、五劫のすれ切れ、・・・・・」
何度も「じゅげむ、じゅげむ」が出てくるので、途中からは
教師「さん、ハイ」と言って、子どもたちと一緒に言うようにする。
 教師が絵本を読み終えた頃には、
子ども「先生、覚えたい」「五劫のすれ切れまでは言える」と、子どもたちは言う。
子ども「先生は言えるの?」という質問が出たので、
教師「言ってみようか。先生のは速いよ。それに、一回も息継ぎをしないからね」
と、宣言してから、すらすらと「じゅげむ」を暗唱してしまう。
子ども「先生、すごい!」「どうやって覚えたの?」と感嘆の声があがる。
 次の日から、私は「じゅげむ先生」と呼ばれるようになった。
(山田洋一:1969年北海道札幌生まれ、私立幼稚園に勤務後、北海道公立小学校教師。教育研究サークル「北の教育文化フェスティバル」を主幹し、柔軟な発想と多彩な企画力による活動が注目されている)

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