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2019年11月に作成された記事

教えること、学ぶこととは、どのようなことなのか

 教えることの基本は、教える人が自ら学ぶ人でなければ、学ぶ子どもに応えられないし、学ぶ力を育てることはできない。
 学びは、一人ひとりが、世界とかかわり、働きかけ、自らを形成し、育てることである。
 知識は、ただ多く貯め込んでも価値は乏しい。学んだ人間が自分にとっての意味をつかみ、それによって世界を見たり、つかんだり、かかわったりできることが大切である。
 教育は、学ぶ人との関係の中で、教える人が自覚的に変えていくことが必要である。
 教える人は、教育的発想だけでなく、学びの側からの視点・発想を併せ持つことは、きわめて大事である。
 遊ぶ、真似る、倣うという生活の中の行為が、学ぶ、知る、覚えることに直結しています。
 幼児や子どもたちは、少なくとも目に見える、耳に聞こえる、手でさわれるような具体的なものは、教わらなくても知っていくのです。
 子どもたちは、自分で知ったことのほうが、はるかに身についていくし、楽しいのです。そうやって、自分の世界をつくり、広げていきます。
 他者に働きかけ、他者から働きかけられるという生活的な豊かな経験が根底にあって、聞く・話すことを身につけ、さらに読む、書くことへと進みます。
 海や川、山の自然の中で遊び、自然とふれあうことは、人(社会)とのふれあいと共に、その人の価値の土台にもなります。
 自然そのものは「教え」たりはしませんが、読み取ろうとする人に対しては、たくさんのメッセージを発しています。
 子どもたちは、そうした生活の中のさまざまな「学び」の成果を蓄えています。
 そのことを忘れてはいけない。教える人は、子どもたちを受け身に立たせて疑問を感じない人であってはならないのです。
 子どもにとって、身の周りにあるすべてのモノや人が新しい出会いであり、それらを知ることで自分の世界が広がっていくのですから、うれしくないはずはありません。
 また「自分だけ」の力でやりたいと願うとともに、自分だけで「できるかどうか」を思案して、考えたり、判断し、選択し、決意したりしているのです。
 学ぶということは、こうしたプロセスを不可欠に伴っていて子どもも例外ではないのです。
 実は、どれほど年をとっても、新しい知見と出会いはあり、広がる喜びやたのしみはあるのです。
 学ぶということは、さまざまなモノやできごとを知り、自らの内に置き続けることなのです。
(国民教育文化総合研究所) 

 

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子どもが素直に受け入れる叱り方とは

 叱っても改まらない子どもの言動に、教師はイライラはつのるばかりです。そんなストレスを回避し、冷静に叱る指導方法を紹介します。
1 「ここぞ!」というときに叱ると、メリハリができ効果は高まる
 子どもは、小さいことから大きなことまで、何かしら問題行動をとるものです。
 そのすべてを改善させようと叱っても、教師の心労はつのり、良い結果が生まれません。
 そこで「これだけは絶対に見逃せないぞ」というルールを決めておきます。
「見逃せない」ことの見極めは、本質的・根本的な問題なのかどうかを柱とします。
 子どもたちが起こす日常的な問題を掘り下げていくと、根っこの部分が見えてくるはずです。
 私の場合「丁寧さに欠ける行為」と「心身を傷つける行為」だけは、絶対にそのままにしておきません。
 例えば「物を投げない」と口を酸っぱくして言い続けています。
 ゴミをゴミ箱に入れる時も「捨てる」ではなく「置きなさい」と言っています。
「捨てる」だとポイと投げ入れますから「置きなさい」なら丁寧に入れることになるからです。
 また、子どもたちは安易に「死ね」と言います。そんな時は「今、何と言った!」「死ねと言ったね」と間髪を入れずに聞きます。
 子どもが認めたら「死ね、と言いたいほど、嫌な気持ちだったの?」と尋ね「泣きたいくらい悔しい」などの別の言葉で言い直しをさせるようにしています。
 その他の問題は、ある程度の長いスパンで「叱らない指導」を考えるようにしています。
 そのまま放置しておくのではなく「指導法を工夫して、いずれ行動を改められるようにしよう」と、叱らないかわりに、他の手だてを考えます。 
2 叱る時は、事実確認を優先する
 子どもを叱っている時に「いつもそうなんだから」と過去のことを引き合いだす「便乗叱り」をすると、教師の怒りの感情が加速し、叱る時間も長くなり、子どもはうんざりします。
 こうした事態を避けるには、子どもが違反したことだけに注目して、事実のみを確認することが大切です。
 例えば、友だちを叩いている場面を目撃したとします。
 多くの教師は最初に「何で叩くんだ」と、叩いた理由を聞いてしまいがちです。
 そうではなく「今、〇〇くんを叩いたね?」と「誰が何をした」という事実の確認だけを行います。
 子どもが「だって・・・・」と言い訳をしようとしたら、
「待ちなさい。先生が聞いているのは、叩いたかどうかです」
「理由は後で聞きます」
と制して、事実確認だけを優先します。
 事実確認を優先することにより、興奮していた子どもが落ち着きを取り戻し、冷静に自分の行動を振り返ることができるようになります。
 教師の頭の中も「叩いたかどうか」ということだけになり、他の情報が入ってこなくなります。
 このように事実確認をした後で、トラブルの原因を聞き、解決に導きます。
 事実確認を優先することで、教師の口調は淡々としたものになり、表情も穏やかになります。感情的にならなければ、冷静な判断ができるのです。
3 子どもの言い分を受け入れる
 子どもの問題行動だけに注目すると、指導すべきことを見誤ります。そうせざるを得なかった子どもなりの「やむにやまれぬ事情」があったのかもしれません。
 問題行動に至った理由に注目することで適切な対応ができるようになります。
 例えば「Aさんに叩かれた!」と子どもが泣きながら訴えてきました。けがをしている様子はありません。
 こういう場合、多くの教師は「暴力を振るった」ことだけに注目してしまいがちです。そうなると、意識が叱ることだけに集中してしまい、Aさんへの説教が始まります。
 そこで教師は、まず事実関係を確認した後に「どうして叩いたの?」とAさんに事情を聞きます。
 するとAさんは「悪口を言われて『やめて』と言ったけど、やめてくれないから叩いた」と、話し始めます。
 この時「暴力はだめでしょ」と諭したい気持ちをぐっとこらえて「その気持ちわかるなぁ」と気持ちを理解し「それで、何回叩いたの?」と聞きます。
 Aさんが「1回です」と答えたなら「えっ、1回だけ、すごいなあ。だって『やめて』って頼んでも聞いてくれなかったんだろう」
 こうしたやり取りから、子どもは教師の言葉を受け入れる準備を整えていきます。
 最終的に「本当はどうすればよかったか、わかるよね?」と聞くと「口で返せばよかった」と素直に反省の弁を述べ始めます。
 そして、教師が「それでも我慢ができない時は、先生に『ヘルプ』しにおいでよ」と付け加えれば、Aさんは素直にうなづくはずです。
 子どもの言い分を受け入れると、共感を超えて思わず同情していまうこともあります。
 ただ同情し、許すというわけにはいきませんが、教師のその気持ちが、その後の指導の質をまったく違ったものにします。
4 子どもの口から改善策を提案させる
 私は子どもを叱る時は、説得よりも納得させるように心がけています。
 まず、子どもの問題行動の事実関係だけを確認します。
 そして「〇〇をしなければならない理由があったんだよね」と問いかけ、どうしてこんなことになったのかを考えさせて、子どもの口から答えさせるようにしています。
 次に、どうすればそれをしないですんだのかを考えさせ、その中で今すぐできそうな案を1つ選ばせます。
 子どもから改善策が出てこない時には、教師がいくつか提示し、そのなかから選ばせます。「途中で良い考えを思いついたら教えてね」と子どもの意見を尊重することを伝えます。
 最後に、教師がそれを復唱し、子どもと確認します。子どもと別れる際には「もう、これからは大丈夫だね」と声をかけ、見守っているというメッセージを送ります。
 このように、教師が伝えたいことを、子どもの口から引き出すような問いかけをします。
 そうすれば、子どもは「自ら気づいた」ことになるので、一方的に叱りすぎることもありませんし、子どもも「たくさん叱られた」とは感じないでしょう。
(城ケ﨑滋雄:1957年鹿児島県生まれ、千葉県公立小学校教師、教育委員会、不登校対策教員として不登校児童と関わる。荒れた学級の立て直し、小学校教師として教育情報雑誌「OF」等で情報発信している)

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学校の仕事が上達するために必要な心構えや方法とは、どのようなものでしょうか

 仕事をするうえで、人間関係ほど重要なものはないでしょう。どのような関係を築くか、職務が上達するためにはどのようなやりとりが必要か、考えてみましょう。
 次のような心構えや方法で、人間関係が豊かになり、仕事も円滑に進み上達します。
1 あいさつは大きな声で自分から言う
 当たり前のようで、あまりできていないのがあいさつです。子どもたちには指導するのに、教師同士ができていないというところがあります。
「朝のあいさつ」「返事」「はい、ありがとうございます」「よろしくお願いします」「帰りのあいさつ」など
 明るく大きな声で、自分から進んで言ってみましょう。教師同士や子どもたちとの関係に思わぬ効果が表れます。
2 仕事は明るく楽しくやる
 すべての仕事が楽しいわけではありませんが、仕事によって学べることも、技能が身につくことも少なくありません。どうせやるなら、明るく楽しくやろうではありませんか。
 できれば「はい」か「喜んで」以外は言わないようにしましょう。その意気込みや態度は必ずどこかであなたの成果に役立つはずです。
3 人のせいにしないで、自分には何ができるかを常に考える
 子どもの成績や生活態度など、子どもの課題について、多くの教師はその要因を、子どもや保護者などのせいにしていることがあります。
 しかし、発想を変えて、それらの課題に対して自分なら何ができるかを考え、やれることをやっていくようにするとよいでしょう。
 それによって、何かが動きだすことが多いのです。あきらめないで戦略を立て、実行しましょう。
 勇気とは、できないこと、やれそうにもないことをやる意志のことです。
4 新しいことをやってみる
 新しいこと、それが何であれ、やることに意義があります。それに、これが一番重要なことですが「新しいことに失敗がない」のです。
 成功するまであきらめないことです。失敗を恐れず、常に新しいことにチャレンジしましょう。
5 年長者に学ぶ
 教師の世界は職人的なところが多々あります。授業や生徒指導について、能力や才能もさることながら、やはり、年の功がものを言う場合が多いと思います。
 立場や役割を超えて年長者に学ぶ姿勢が必要です。
6 ホウレンソウ(報告・連絡・相談)
 チームとして取り組む学校として最も必要なことです。これが不十分なため、予期せぬトラブルを招くことが少なくないのです。
 報告は、簡潔にポイントを押さえて話すことが大切です。
(1)管理職や上司
 校長や教頭、主幹や主任への報告・連絡・相談がないと、管理職や上司は判断のしようがありませんし、責任だけを取らされるなら、たまったものではありません。
 したがって、自分の評価だけでなく、学校で信頼を得、自分を成長させるために、ホウレンソウは不可欠なのです。
 組織やチームで教育活動を行っていることを常に忘れず、組織の一員としての自覚をもちましょう。
(2)学年や分掌内
 学校行事や生徒指導では、学年単位の取り組みが多いことから、ホウレンソウを重視する必要があります。
(3)保護者
 保護者こそ、子どもたちの教育に直接責任をもつ存在です。
 したがって、何よりも保護者への情報提供が必要であり、発生した事件や状況などについては、きちんとしたホウレンソウが必要です。
 例えば、けがや生徒指導上のトラブルについて、速やかな報告・連絡が必要です。
 保護者との連絡、事前・事後報告の不足により、学校への不信が膨れあがり、管理職を超え教育委員会等に問題を持ち込まれることもあります。
 小さなミスが大きな不信や不満、苦情につながらないよう、保護者には特にホウレンソウを十分心がけるようにしたいものです。
7 聴き上手になろう
 聴き上手は教師として重要なスキルです。
 子ども・保護者・同僚とのコミュニケーションを促進し、成長を促し、問題場面への対処もうまくなっていきます。
 聴き上手のポイントは、
(1)あなたに関心を寄せていますよ」という心を持ち、傾聴する
 その人の目を見る、顔の表情(笑顔やうなずき)、あいづちなどは、その心があるかは相手に伝わり、コミュニケーションを左右します。
(2)相手の言葉をそのまま聴く
 たくさん話してもらうために、テンポよくあいずちを打ち、相手の言葉をそのまま繰り返すオーム返しや「ああ、そうなんですかあ」と、その人が思ったまま、感じたまま、最後まで聴いていくのです。
 賛成や反対、指導、評価、解釈などを早まってしないことです。
 このした聴き方を心がけると「この人は、自分のことをわかってくれる」「次も、この人と話したい」となり、心が開いていきます。
(3)先輩から授業のコツを聞く
 授業のコツは教師と子どもたちとのストーリーの中に生まれています。
 先輩がどういう考えで、どういう体験の積み重ねで、どういう失敗の反省から、そのようなやり方をしているのか、その裏側に価値があります。
 日常から、そうした視点を持ち、先輩の助言を求めたいものです。
(4)上司の忠告を聴く
 忠告の内容をきちんと把握し「ぜひ、改善したいと思います。どんなところがいけないのか、ご指摘お願いします」など、謙虚・純粋な心で、具体的に聴き出したいものです。
 上司はこちらから打たないと響かないし、そうしないと信頼関係も生まれません。
8 話し上手になろう
 教師の力量の中でも最も要求されるスキルです。基本は「生きた言葉」を使うということです。教師自身の「今、ここで」の気持ちがこもった言葉を使うことです。
 話し上手になるための前提として、日頃から新鮮さを保ち、人と交わり、自分の体験を豊かにふくらませたいものです。
 次には、話し出すタイミングがたいへん重要です。相手の話に共感的に傾聴しながら、話の区切りを見つけ「自分の考えを言っていいですか」など区切りとなる言葉を挟み、具体的な話へと進めたほうがいいと思います。
 なにより大切なのは、話が長くならないようにする、ということです。相手に話を聞いてもらうことは、予想以上に相手のエネルギーを消耗させています。
 そのため、結論を先に言うとか、大事なことだけを整理して言うなどして、配慮深い話し方を心がける必要があります。
 話を興味深くするためには「起承転結」を意識したり、体験談や会話などを挿入したり、話す内容の順序や関連を工夫したりして、準備をしておきたいものです。
 笑いを取ろうとする場合、笑いの達人によると「笑いは、相手を笑わそうとするのではなく、自分が笑うこと」だそうです。話し手の笑いが相手に伝わっていくのでしょう。
(有村久春:1948年生まれ 元東京都公立学校教員・小学校長 岐阜大学教授 専門は生徒指導論、カウンセリング、特別活動論)

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担任している子どもの腕にアザを見つけ、虐待の可能性を感じています、どうすればよいのでしょうか

 担任をしている小学校4年生の子どもの腕にアザを発見しました。
 虐待の文字が頭をよぎったので「何か心配なことや嫌いなことない?」と尋ねましたが「別に」と答えるだけです。
 虐待の可能性を感じています。でも確信はもてません。こんなとき、どうすればよいのでしょうか。
 改正児童虐待防止法では
「児童虐待を受けたと思われる児童を発見者は、速やかに福祉事務所もしくは児童相談所又は児童委員を介して、福祉事務所もしくは児童相談所に通告しなければならない」
「通告をした者を特定されるものを、漏らしてはならない」
と義務付けしています。
 通告を受けた関係職員は、被害児童が学校にいる場合は、学校で保護し、面会の上、児童相談所の一時保護所への入所等の決定を行います。
「虐待の疑いを持ったら即通告は、何よりも被害児童を守るためであることを再認識しておきたいと思います。
 なお、児童虐待には次の4種類があります。
1 身体的虐待:殴る、蹴る等の暴力や戸外に締め出す等の行為。
2 性的虐待:性的行為の強要や裸の写真を撮る等がこれに当たります。
3 ネグレクト:食事を与えない、服装や入浴等の面倒をみない、病気を放置するなど「養育放棄」の状態のことです。
4 心理的虐待:過度な無視・拒否の態度などを指します。
 なお、児童が同居する家庭における配偶者(事実上婚姻関係にある者を含む)に対する暴力(DV)も児童に心理的外傷を与える言動として児童虐待に含まれます。
(嶋﨑政男:1951年生まれ、東京都立中学校教師、教育研究所指導主事、中学校長、日本学校教育相談学会会長等を経て神田外語大学教授)

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学級崩壊させないための教師のふるまいとは何か

 学級崩壊を防ぐのも、崩壊した学級を立て直すのも、担任の力量によるとろこが大きい。
 学級崩壊をさせない教師のふるまいとは、
1 教師には君主のふるまいが必要
 どの子どもも残酷で醜い面を持っているということを意識して、日頃から
「先生にはかなわない」「先生の言うことを聞くしかない」
と思わせるような関係づくりに努めましょう。
2 教師は口より目を使え
 子どもと目を合わせなくては、教師の思いや指導の意図を伝えることも、人間関係を築くこともできません。
 口やかましい指導は効き目はありません。
 子どもが騒がしくしているとき、大声で指導するのではなく、じっと黙って子どもたちを見つめ返してみてください。しばらくすると、自然に静かになっていきます。
 子どもの気になる言動は見逃さないよう、常に神経を研ぎ澄ませておきましょう。
3 安心して一人でいられる学級にする
 一人になってしまっている子どもを発見したら、すぐに指導して、独りになる子ゼロの学級づくりに努めましょう。
 安心して一人で行動することができなくては、自分をさらけ出し、本音を出すことができません。
 友だちと一緒にいることに神経をすり減らさなければならない学級では、いじめなどのトラブルが起きる危険があります。
 子どもたちが触れ合う機会を多くつくり、安心して一人になることができる雰囲気づくりをしましょう。
4 子どもとは適切な距離をとれ
 いくら親しみを感じさせる教師であっても、ここぞという時は、叱らなくてはならない場合もあります。
 子どもに疎まれることもあるでしょう。しかし、学級を導くリーダーとしての立場をわすれずに、子どもと接しましょう。
 子どもと遊んだり、楽しく会話する時などは、教師に対してあらたまった態度を子どもにとらせる必要はないと思います。
 しかし、授業中や生活指導中には、目線をしっかり合わせて、敬語を使って教師に話をするなど、場に応じた態度を教える必要があります。
 場に応じた態度の指導が、教師と子どもとの適度な距離を保つことになり、学級を引き締めることにつながります。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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連絡帳を通じて保護者に子どものよさを伝えると、教師が信頼されるようになる

 連絡帳は、保護者に学校での子どもの様子を個別に伝えるための温かい手段です。
 しかし、連絡帳を事務的な連絡のみにしておけば保護者と担任の間に協力や信頼関係は芽生えません。
 そこで、ある教師は、10日に一度くらいの目安で、全ての保護者に次のような内容を連絡するようにしました。
(1)子どもの最近のよい点をエピソードを添えて簡潔に伝える
(2)がんばったこと、進歩したことを具体的に伝える
(3)自分から進んでしたこと、最後まで取り組んだことなどを伝える
(4)親切にして友だちから感謝されたこと、みんなのためにしたことを簡潔に伝える
 すると、担任のきめ細かい配慮の気持ちが伝わり、子どもと保護者の一家団欒の話題提供にもなり、とても効果がありました。
 このように肯定的な情報を発信すると、保護者は子どもをほめるようになり、指導している教師に対しても信頼を寄せるようになります。
 否定的な、子どもへの注文や改善したいことなどは、直接会って話し合うか電話で伝えるようにします。
 また、保護者からの連絡や相談ごとは、その日のうちに返事を書くように努めることも大切なことです。
有村久春:1948年生まれ 元東京都公立学校教員・小学校長 岐阜大学教授 専門は生徒指導論、カウンセリング、特別活動論


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担任の指導に保護者が何度も苦情を言うとき、どう対応すればよいか

 まずは、どんな苦情かを丁寧に聞く。
 反論したいことは山ほどあるかもしれないが、一生懸命に聞くことが大事である。
 最近は、苦情や批判をうわさ話にしたり、メールでやりとりして話が誇張されたりすることがある。直接話してもらえることは、ありがたいことなのである。
 連絡帳で苦情を受けた場合は、こちらから電話をして「とても重要なことなので、詳しくお話ししていただけませんか」と、迷惑にならない範囲で話を詳しく聞きたい。
 保護者からの苦情の一番最初の対応が、その後の印象を左右することがある。
「先生は、しっかりと考えてくれる人だ」「学校は丁寧に対応してくれた」
と納得する保護者もいる。
 なかには、不満を言うだけで、すっきりされる人もいる。
 保護者が苦情を言ってきたときは、信頼関係に亀裂が入る危機である。
 しかし「雨降って、地が固まる」ということわざがある通りに、この機会に信頼を取り戻し、回復するチャンスにもなるのである。
 保護者の話を聞いたら、まずはお礼を言う。
 その場で、即答できること、お詫びすべきことはしてよい。ただし、言い訳が多くなったり、子どもの責任にしたりすることはよくない。
 たとえ、1パーセントでも責任があれば、その点についてきちんと詫びることは大事である。
 その上で、自分の方針やうまくいかなかった理由は正直に話せばよい。順序が逆になってはいけない。
 次のようなときには、すぐ返事ができないことがある。
(1)自分以外の教職員がからんでいるとき。
(2)学校全体が関係するとき。
(3)管理職の判断が必要なとき。
(4)重大な過失があったとき。
 どう返事をしていいかわからないときは、管理職に相談して、改めて返事することを伝える。
 その際、いつまで(何時間後、明日、2日後なのか)に、どのように(電話、直接伺うか)返事をするのかを明確に伝える。
 この部分が極めて重要である。誤解を生じてしまい保護者の印象を悪くすることもある。
 保護者から苦情の電話がきたら、どのような用件でも、学年主任に報告する。小規模校であれば、教頭などの管理職に報告する。必要に応じて生徒指導主任にも報告する。
 学校として対応が必要なときは、すぐに報告する必要がある。管理職や主任の指示をよく聞いて適切に対応することが求められる。
 電話での用件がその場で済んで、自分ではそれほど重大だと思わない案件でも、他の教職員にとっては重大かもしれないので、その日のうちに、学年主任等に「〇さんから、□の話があり、△と答えました」と報告する。
 何度も苦情を言ってくる保護者は、何か理由があるはずである。学校の対応に納得がいかなかったり、不満があると思われる。保護者の真意が別のところにある場合もある。
 このような場合、個人での対応は難しくなる。
 学年主任や管理職に話を聞いてもらい、対応してもらう必要がある。
 学年主任と二人で家庭訪問をしたり、管理職から直接、話を聞いてもらったりすることも有効である。
(貝沼浩晃:新潟県公立小学校教師)

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学校内外に何でも話せる場と雰囲気があれば教師は救われる

 学校の中で孤立し、追い込まれる教師が後を絶ちません。真面目すぎる性格も災いして、精神的に追い込まれていく教師がいます。
 どうすればよいのでしょうか。いくつかポイントをあげると、
1 学校で何でも話せる雰囲気が教師を救う
 これには校長、教頭のリーダーシップが不可欠です。教師が何でも話せ、伸び伸びと働ける校内づくりには、管理職の力が必要です。
 ある小学校では3クラスほど学級崩壊状態にありました。
 しかし、校内研修の雰囲気は和気あいあいとしている。何でも話せる雰囲気があり、内容は深刻であるにもかかわらず、温かい空気が流れていました。
 クラスが荒れて悩んでいた教師に私が話しかけると、
「実は2カ月前までは、私も教師を辞めようと思っていました」
「最近は子どものことを可愛いと思えなくなった」
「物は飛んでくるわ、くそばばぁと言われるわ、黒板には死ねと書いてある」
「けれど、この学校には教師同士お互い何でも語り合え、支え合える雰囲気があるんです」
「それで、私も何とか続けられているんです」
と言う。私は「なるほどな」と思いました。
 この学校の雰囲気づくりのキーパーソンは学級崩壊を経験した教頭でした。当時を振り返りながら、
「私のクラスが学級崩壊になったとき、周りの教師に支えられて退職せずに済みました。こうして教頭になることもできました」
「いま振り返っても、自分の学級運営が格段悪かったとは思わない。私のクラスにたまたま問題児がそろっていたのです」
「荒れる可能性をもった子ども同士が、爆発すれば、どんなクラスでも崩壊してしまいます」
「今は、教師受難の時代です。これだけ、子どもも親も難しい時代だったら、長い間教師をしていれば、一度くらいは学級崩壊になったり、精神疾患になるのも当たり前です」
「だから、私はこうした自分の体験を話して、クラスが荒れても恥ずかしいことではないのだから、お互い支え合っていこう、一人で抱かえ込まないようにしよう、と呼び掛けているんです」
と語ってくれました。
2 教師は思い込みが強い
 教師の孤立化を防ぐために、大切なのが「教師自身の意識改革」です。
 教師には真面目で頑なな人が多い。融通がきかず、問題を1人で抱かえ込んでしまうことが多い。たとえば、
「クラスに問題が起きたら、すべて私のせいである」
「学級が崩壊したら、教師として失格だ」
などという思い込みがあり、そのために苦しむし、弱音を吐けなくなるのです。
 弱音を吐けないから、クラスが荒れ始めても誰にも言えず、荒れていくのを放置するしかなくなってしまいます。
 だから私は、弱音を吐けること、早めに他人に助けを求められることは、これからの教師に必要な能力の一つであると言っています。
 クラスが荒れても別に恥ずかしいことではありません。親からクレームをつけられるのも特別なことではありません。
 これだけ難しい時代なのだから、問題が起きるのも当たり前というぐらいの意識をもってほしいと思います。
3 事例討論会で支え合いをする
 事例検討会で、教師同士の支え合いの会を開くことを私は提案しています。
 まず、有志の教師が、毎回、開催を知らせるプリントを制作します。
 会の趣旨には、学級経営や生徒指導、教育相談の勉強会ですと記しておく。
 少人数でも月に一回程度、定期的に開き続けることが大切です。
 その会の内容は、
(1)司会者から順番にいま学校で気になっていること、困っていることを、一人5分程度話していく。
(2)一人につき15分程度、4~6人で知恵を出し合いながら解決策を考えていく。
 その際のポイントは、とりあえずどうなりたいか、そのためにさしあたり何ができるかを話し合うのです。
 ルールは、何も準備しないこと、全員が自分の問題を語ることです。これが継続できるポイントです。
 要は、教師相互のサポートグループ、問題解決の話し合いを行うわけです。
 成功のポイントは、司会者役の教師自身が、口火を切って「自分のクラスでうまくいっていないこと」を話すことです。
 全員が自分の抱かえている問題について語るのです。そうすれば、問題を話すことに引け目を感じずにすみます。
 絶対に批判はしない。あくまで温かい雰囲気を心がける。
 ぐちをこぼせるだけでなく、少しでも解決のための糸口を手にすることができ「来て良かったな」「元気が出たし、得したな」と思える会にすることです。
4 学校に教師の心の居場所としての雑談部屋をつくる
 教師同士でぐちをこぼし合ったり、無駄話ができるような場所を確保しておくことが大切です。
 校内に、クッキーや紅茶を準備した雑談のためのスペースを設けておくといいでしょう。
 職員室は机と机の距離がありすぎて、大切な話はしにくい場所だと思います。
5 利害関係のない相談相手を見つけよう
 学校外での教師同士のネットワークも大切です。
 同じ志をもった者同士の研究会に入っておくのもいいでしょう。
 何でもいいから、同じ関心をもつ仲間と時々会って、いろいろ話す機会をつくっておくようにしてほしいのです。
 そんな仲間こそ、何かつらいことがあったとき、最も信頼して相談できる相手だからです。
 同じ学校に勤務していると、いくら気が合うとはいえ相談内容によっては、はばかられる場合があります。
 その点、別の学校に勤めている教師なら大丈夫。しかも関心のあるテーマや興味対象を共有できる者同士なので、親身に話し合えます。
(諸富祥彦:1963年福岡県生まれ、 明治大学文学部教授。「現場教師の作戦参謀」として、抽象的ではない実際に役立つアドバイスを先生方に与えている。悩める教師を支える会代表)

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動かない子、傷つきやすい子を支え、動かしていくための技法にはどのようなものがあるか

 動かない子、傷つきやすい危険域にいる子どもを動かしていこうという場合、熱意さえあれば、通ずるものでもない。
 熱意が逆にあだになる場合もある。別の常識が必要なのである。どうすればよいのでしょうか。
 長年の経験から得た、そのような子を支え、動かしていくうえでの原則や基本的な技法を次に述べたい。これはまさに経験知である。
1 押しつけない
 人は、押しつけや強制されていると感じると、反発し抵抗しようとする。それは、子どもでも同じである。
 心に傷を抱かえている子どもは、それまで支配されたり、虐げられていることも多く、支配されることや強制されることに敏感である。
 子どもが一番見ているのは、相手が価値観や方法を押しつけてくる相手か、自分をありのままに受け止めてくれる相手かということだ。
 押しつけられていると感じると「なんだ、それが目的か」と、そこで心を閉ざすか反発が生じて、前に進まなくなってしまう。
 ところが、教師も親も、つい結果を急いでしまい、期待通りに動かそうとすることが、どんなに多いことか。
 まず、本人の主体性を尊重するように働きかけ、こちらの期待で動かそうとしないということを心がけることが大事だ。
 自分の主体性を尊重してくれると感じると、子どもはその人に対して安心感を持ち、やがて信頼を抱くようになる。
 人は自分を尊重してくれる人を信頼するのだ。
 まずは、いったん、子どもの気持ちを受け止めてあげることだ。
 一呼吸おいて「そう。〇〇したいの」とそのまま返してあげる。
 すると、子どもはほっとして、その内側にある事情を語り始めるだろう。それに寄り添いながら、同じ目線で、一緒に解決策を模索したらよい。
 たいがいは、何か傷つくことがあって、現実を受け入れられなくなっているだけで、目の前の不満を整理していくと、自分の中に眠っている本音が見えてくる。
 たとえば「友だちに、いやなことを言われたけど、本当は好きだし、続けたい」などといったものだ。
 押しつけでなく、自分の主体性を尊重されていると思うことで、自分の問題について、その子なりの考え、折り合いをつける糸口が見えてくる。その後の良い行動にも結びついていくのだ。
2 否定的な判断や決めつけをしない
 教師や親の言葉の使い方に重要なポイントがある。
 傷つきやすい子どもに関わる場合は、言葉の微妙なニュアンスがとても大事になる。
 一言、声を聞いただけで、視線ひとつで、この人は押しつけてくる人だと、子どもはかぎ分けてしまう。もうそれで、シャッターを下ろしてしまうだろう。
 当の教師や親は、なぜ子どもが心を閉ざしてしまったのかに、気づいていない。
 もっとも子どもがカチンとくるのは、決めつける言い方をされることだ。
「あなたは、いつもそうなのね」「どうせ、そういうことだと思った」「そんなんでいいと思っているの」
 というような言い方に、自分を否定的に決めつけられていると、強い反発を感じる。
 その一言が逆方向を向く引き金になりかねない。
3 許容語を使う
 では、どういう言い方が、受け入れられやすいのだろう。許容語を使うということだ。他の可能性を排除しない表現のことだ。たとえば
「〇〇だ」ではなく「〇〇じゃないかな」
「〇〇に決まっている」ではなく「〇〇っていう気がする」
「〇〇しろ」ではなく「〇〇してみるのは、どうかな」
「〇〇するな」ではなく「〇〇って思うんだけど、どうかな」
といった、やや控えめな表現だ。
 断定的な言い方をすると、感情的な反発が沸き、言われた内容よりも、決めつけられたことへの怒りや不快さが先にたつ。そうなると、考えや行動の変化につながらない。
 控えめに言われると、反発よりも「そうかな」「できるかな」と、自身の中に取り入れて、考える余裕が生まれる。
 あとあとも、そのことが心に残りやすいのだ。つまり、この時点で、心の抵抗を突破している。
4 オープン・クエスチョンを活用する
 決めつけない言い方で、とても重要な技法がオープン・クエスチョンである。
 たとえば「どうして」「どうやって」「どんなふうに」と言うと話がふくらんでいきやすい。
 イエスかノーで答える質問というのは、訊問でも受けているような気持ちになり、次第に心を開く気持ちをなくしてしまう。わざわざ抵抗の壁を作っているようなものである。
 オープン・クエスチョンをよく使う人は、話を聞くのが上手である。 
 オープン・クエスチョンを増やすように心がけるだけで、子どもがよく話してくれるようになり、手にはいる情報も格段に増えるだろう。
5 本人の視点を重視し、最小限の言葉で反応する
 話を聞くうえで大事な技法は、こちらができるだけしゃべらずに、本人が話す時間を多くするということだ。
 大人が口を挟むと、子どもは伝えることをあきらめてしまう。
 できるだけ余分なことを言わずに、最小限の反応で、しかも、話しやすい雰囲気にする。
 そのためには、相槌やうなずき、顔の表情で反応したり、
「へぇ-」「そうなんだ」「すごい」「本当に」
 といった、意味のない言葉で応じるのが基本だ。さらに
「それでどうなったの?」「とうして」「どうやって」
 といったオープン・クエスチョンで話を掘り下げていく。
 こちらは、ほとんど何も言っていないのだが、本人はとてもよく話をしたと感じる。本人の視点で話を展開し、本音の気持ちも、そうしたやり取りの中から語られていく。
 ところが、押しつけになってしまいやすい人は、しゃべりすぎてしまう。自分がしゃべることが、子どもと話をすることだと勘違いしている人もいる。
 しゃべりすぎるということは、子どもではなく自分の視点になっているということだ。
 それでは子どもは受け止められたとは思わないし、意図を感じて反発するだけで、何ら好ましい変化は生じない。
 特に問題が起こったときは、教師や親はできるだけだまっていて、子どもがしゃべれるように方向づけをしないと、解決の糸口が見えてこない。
(魚住絹代:1964年生まれ、大阪府教育委員会スクールソーシャルワーカー。1982年法務教官となり、以後、福岡、東京、京都の少年院に12年間勤務。非行少女の立ち直りに携わる。2000年に退官後は京都医療少年院で音楽療法の講師となるかたわら、2002年から、大阪府の公立小・中学校に、スクールサポーター、家庭教育サポーターとして勤務。子ども、家庭、教師の相談支援をしている)

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教師は献身的で自分を追い込みがち、自分の健康と向き合うことも大切である

 いくつもの学校を巡回相談していると実感するのですが、現在、医療機関に通院しながら仕事を頑張っている教師がたくさんいます。
 また、その反対に、健康診断で疾患があると指摘されながらも、いまだに医療機関に診てもらっていない教師も相当数いるようです。
 退職して2~3年内にお亡くなりになる教師の話を耳にする機会が多いものですから、心配ですね。
 教育は、献身的に殉ずる姿勢があってこそ向上していくという側面があることは否定できません。
 それだけに、教師にとって重要な特性である献身的に子どもを気づかう心、利他的な奉仕の精神が、バーンアウト(燃え尽き症候群)やうつ病のリスクを高める性格特性にもなっているのです。
 私自身も、昔は教師の仮面を1日中かぶっていて「頑張ることが正しいことだ」と思い込んでいる人間でした。
 子どもから信頼され、感謝される教師をめざして、毎日遅くまで子どもの教育に情熱を傾けていました。
 いつの間にか、ハードルを勝手に高く設定し、自分で自分を追い込んでしまいました。
 無理がたたったのでしょうか、30歳代半ばに、いわゆるパニック障害のような症状が出ました。
 とにかく不安でしかたがない。車を運転していて渋滞で止まってしまうと、急に冷や汗が出て車外へ飛び出したくなることさえ、あったくらいです。
 追い詰められた自分から脱出するには、いろいろな方法があると思いますが、私の場合には、現状について「しょうがない」と思うことで、脱出への糸口を見つけました。
 私事で恐縮ですが、30歳代初めに命の危機に見舞われて
「どうして自分だけがこんな目に遭わなければならないのか」
「この先、どうやって生きていけばよいのだろうか」
と絶望のなかで必死にもがいている時期がありました。
 そんな私を窮地から救いだしてくれたのは、恩師からの一言でした。
「人間には、自分の力や努力ではどうにもならないものがある」
「そんな時は、しょうがないと思うよりほか文字通り『しょうがない』」
と。
 誰でもそうですが、病気を告知された当初は、個人差はあるにせよ、自分の状態について、頭(理屈)で理解できても、心(感情)が受け入れるには相当の時間がかかるものです。
 しかし、一方で病気がありながら、病気になって良かったという人がいるのが不思議です。
 多少時間を要しますが、病を受け止められるようになると、
「金儲けをしたい」「有名になって注目されたい」
等の雑念から解放され、自分が生きる意味を見出せた時、前を向いて再び進むことが出来るようになるのです。
 その瞬間が「生き直す」スタートラインです。
 誰かのために自分が役立っていることが、これからの生きるエネルギーになるのです。
「必ず、道はありますから」生かされていることに感謝です。
(土井一博:公立中学校教師を経て退職後、筑波大学大学院で健康教育学を学び、茨城県等でスクールカウンセラー歴任し、埼玉県川口市学校教職員メンタルヘルスチーフカウンセラー。日本教職員メンタルヘルスカウンセラー協会理事長。専門は教職員のメンタルヘルス、学校健康心理学、教師教育)

 

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どんなによい発問も、よい指示があって初めて意味を持つ

 ほとんどの教師は、発問したら「挙手、指名」という方法で授業を進めています。
 私は、その授業展開には大きな問題があると主張してきました。
 発問した後、教室を見渡すと、手を挙げた子は教師の視野にはいりますが、手を挙げない理解の及ばない子、戸惑っている子は相手にされないまま、授業が進んでしまいがちです。
 発問した以上、クラス全員に「自分なりの解」をもたせ、答えさせなくてはなりません。
「この問いの答は、〇ですか、×ですか」
「4つの選択肢のうち、自分の考えに最も近いものはどれですか」
というふうに、問いを単純化します。
 私が実践しているのは、まずノートに「解」を書かせてから、手を挙げさせる方法です。たとえば、
「兵十のせりふの『か』は、疑問ですか、それても詠嘆ですか」
と問いかけたら、続けて
「自分の考えをノートに書きなさい」と、指示を出します。
 しばし時間をとり、ノートに書かせたうえで、
「疑問と書いた人は、手を挙げなさい」「詠嘆と書いた人は、手を挙げなさい」と、指示するのです。
 この指示方式ならば、全員に判断が徹底し、子どもは必ずどちらか一方に手を挙げます。その結果、全員が発問に対する解をもち、全員が授業に参加するようになるのです。
 ノートに書く内容は、子どもたち全員が迷わず取り組めるように、〇や×だったり、核心となる言葉だったり、基本的に単純なことにします。
 そして「まだ書いてない人は手をあげなさい」「さっさと書きなさい」と、促します。自分の立ち位置が決まると、子どもたちは傍観者にとどまっていられなくなります。
「ぼくは〇と書いたけれど、隣の子は×だ。どちらが正しいのかな」というように、興味をかき立てられます。そこで「では、正解を言おう」と切り出すと、全員が引き込まれ、本気になって耳を傾けるのです。
「〇か×か」を書かせるだけの短時間の作業でも、立派なノート作業なのです。
 発問し、ノート作業を指示したら、次は机間巡視をおこないます。
 机間巡視の目的は、
1 言われた通りの作業をしているか確認をする
2 誰がどんな解を書いているか、どれくらいの子がどのような解を考えているか
3 誰の解と、誰の解を対立させ、討論させたらいいかを決めて、どんな順序に指名するかを計画します。
4 既定の方針通りの進行でいいか、修正したりする事項はないか、検討する。
5 個別指導をする。
 机間巡視をスムーズに行うには、ノート作業を単純化することが必要です。
 短い時間でクラス全体の傾向を把握するために、子どもたちには、ずばり一言で、核心を書かせます。
 机間巡視を終えたら「〇と書いた人は手を挙げなさい」「×と書いた人は手を挙げなさい」と問いかけて、子どもたちの解が分かれていることを明らかにします。
 立場の違いをきわだたせたら、次に討論に進めます。
 単純なノート作業を起点として、価値ある討論を導き出し、理解を深めさせるのが、教師の力量です。
(野口芳宏:1936年生まれ、元千葉県公立小学校校長、植草学園大学名誉教授。千葉県教育委員会委員長職務代理者、日本教育技術学会理事・名誉会長、授業道場野口塾等主宰)

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荒れた生徒の保護者の事情を知ると、荒れた生徒が愛おしくなる

 荒れた生徒のことをよく知るには、その保護者のことも知ることである。わが子への願いは、どの保護者も同じです。
 保護者として、うまくいかない事情を知ると、荒れた生徒が愛おしくなります。
 私は校内暴力で荒れた時期に中学校の教師になりました。
 新任教師として荒れた生徒に出会った何年かは、荒れた生徒が憎くてたまりませんでした。
 授業よりも生徒指導が忙しく、
「こんな生徒がいては、まともに授業ができない」
「このような生徒がいなければ、どんなにか学校はよくなるだろう」
と思いました。
 十代の半ばにして、早くも人生を捨ててしまったかのような生徒たちと付き合うのは耐えられませんでした。
 新任教師で生徒指導を何も知らない私は、保護者の力を借りるしか頼るものがありませんでしたから、荒れた生徒の家庭訪問をよくしていました。
 回数を重ねるうちに、保護者の方から、家庭の事情や幼児期の子育てのことを語ってくれるようになりました。
 それは、私が育ってきた家庭環境とは違うが、どこか私の中学生時代と変わらぬ日常の一面が映し出されていました。
 それからでした。荒れた子どもたちが愛おしく思えるようになったのです。
 もし自分がこのような環境で育っていたら、間違いなく荒れただろうと思うと、荒れた生徒に責任はあるのだろうかと思うようになりました。
 幼児期から思春期の子どもたちには、無条件で愛してくれる、頼りになる保護者が必要です。
 この保護者がいるから、安心感が生まれ、ダメな自分をさらけ出しながら成長できるのです。不安がないから、家庭は一番居心地がいいのです。
 しかし、このような家庭で過ごせない子どもは「居場所」を家庭外に求めます。
 ですから、荒れた生徒に責任はありません。保護者に責任があるのかというと、必ずしもそうとは言えません。
 荒れた生徒の保護者の事情を知ることは、生徒指導には欠かせません。
「あの親の子どもだからダメだ」
「あの親ではどうしようもない」
などと、つい教師は思いがちですが、
「やむをえない事情でそうなってしまったのかもしれない」
という考え方をもち、粘り強く保護者との相談を繰り返してください。
(吉田 順:1950年生まれ 37年間横浜市立小・中学校に勤務した。担任32年、生徒指導部長16年、学年主任13年などを兼任した。生徒指導ネットワークを主宰。生徒指導コンサルタントとして全国の学校と関わる)

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ルールに関する子どもの質問は個人的に回答せず、学級で確認することで指導に一貫性が生まれ、徹底できる

 ルールに関する子どもの質問は、その場で、その子と個人的に回答するだけで終えてしまうことは避けなくてはなりません。
 後で、他の子どもが同じ類の質問をしてきた時に、回答に一貫性を欠いてしまう危険があるからです。
 例えば、ある子どもの赤ペンを許可した後で、別の子どもの赤・青・緑の三色ペンを注意した場合、必ず子どもは「おかしい」と不満をもちます。
 ルールの確認は、必ずクラス全体に向けて、その都度行うことで、指導の一貫性を保障することになります。
 子どもは、さまざまな場面で自分の主張を通そうと、教師を悩ますようなグレーゾーンを突いてきます。
 その時「今回だけだよ」などと、あやふやな対応をしてしまったら、たいへんです。別の子どもが尋ねてきた時に禁止すれば「あの子だけ、ひいきだ!」と、不満を抱かせてしまいます。
 場当たり的な対応は、子どもに不信感をあたえ、学級を崩壊させることにつながります。
 担任一人では判断できないような場合は「他の先生と相談します」と、一時預かりをするなど、無責任な回答をしないように気をつけましょう。
 子どもからの問いかけは、学級全体でルールを確認するためのチャンスです。
 学級全員に確認することで、指導が徹底されることになります。
「あなたのおかけで、学級のみんなで確認できたよ」と質問してきた子どもに感謝すると、その子の不平不満も和らげることができ、人間関係も良好になります。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

 

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授業で生徒にやる気を起こさせるには、どのように語りかければよいか

 生徒にやる気を起こさせるためには、授業中、この活動はなんのために行うのか、この活動を行うとどうなるのかを教師が示し、指示を出すことが大切である。
 生徒を励ますのは、生徒の欠点をみんなで共に克服するためである。
 私は授業中、生徒にやる気を起こさせるために、次のようなことを語ります。
1 3回はやりなさい
 授業で学んでいることがすぐに身につくわけがない。人間の脳は忘れるようにできているのだから。
 そのことを話しながら、授業で学んだことは、家に帰ったら復習し、1週間後に再び学ぶことを話す。
 英語などは、予習、授業、その日のうちに復習、テスト前に1回の学習が必要だと言う。4回やれば身につく。
2 机の上を整頓しなさい
 机の上が乱雑なままでは、とても集中できない。机の上の状態が生徒の頭の中の状態といってもよい。まず、生徒に話を聞く状態を意識させることだ。
3 勉強ができるようになることは簡単なんだ。それはね「先生が言ったことを、先生が言ったようにやること」それだけ。
4 先生が「教科書を出しなさい」と言ったら教科書を出すの。先生が「〇ページを開きなさい」と言ったら「〇ページ」を開くの。「ノートに書きなさい」と言ったらノートに書くのです。
 こんなことは誰でもできることです。でも、先生の指示を聞いていない人はできません。
 そうやって、授業からこぼれていくと、今何をしているのかわからなくなるのです。
5 人間の脳細胞は生まれたときはみんな一緒です。でも時間と共に差が生まれます。
 その差を作っているのが、人の話を聞いているか、聞いていないかの違いなのです。
 簡単な誰でもできることです。聞いていさえいれば、必ずできるようになります。騙されたと思って、まずやってみなさい。
6 脳みその作りなんて、みんなそんなにかわらないから。やればみんなできるようになるよ。
 でも、言われたことを、やろうとするか、しないか。そこが大事なの。「どうせやっても無駄」なんて言って、やる前からあきらめないこと。
7 テストの準備はがむしゃらにやること。悪あがきだと思われてもいい。自分が不安だったら、とにかくやる。
8 テストまでに、どれだけやるのかが大事。どれだけ準備するかが大事。
9 授業があたりまえにできるには、一人ひとりの頑張りはもちろんだけど、みんなで真面目に授業に取り組めるクラスになることが必要なんだ。
 だから、授業がきちんと行えるってことは、そのクラスには実力があるってこと。
10 居眠りしている仲間がいたら声をかけてあげなさい。それが仲間のためだから。
11 友だちが、授業とは関係ない話をするときがあるでしょ。そういうときは、無視しなさい。それが友だちのためだから。
 無視することもときには大事なの。友だちのダメな行為をわかっているから無視できることもあるの。
(垣内秀明:1965年長野県生まれ、長野県公立中学校教師。教育サークルTOSS中学信州代表)

 

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笑いいっぱいの教室にすると学級崩壊の予防になります、どうすれば笑いが起きるのでしょうか

 教師の笑顔は子どもたちを安心させ、教室を安定させます。教師は、いつも笑顔でいることを心がけましょう。
 また、笑いを大切にすることは、学級崩壊の予防になります。
 私は荒れた学校に勤務し、崩壊した学級へのサポートも毎日のように行きました。
 そんな中で、崩壊した学級にはいくつかの共通点があることにきづきました。
「教室が汚い」「動きが遅く何をやっても時間がかかる」「ゲームが成り立たない」などです。
 また「笑いがない」というのがあります。崩壊した学級には、クラスみんなでドッと笑う瞬間がありません。あるのは、妙な薄ら笑いだけです。
 つぎのような、笑いのネタを使って、教室に笑いを起こしてください。笑いいっぱいの教室にすることは、学級崩壊の予防になります。
1 朝イチから笑う
 朝イチから笑って、その日1日を楽しく元気に過ごしたい。朝から笑いの花を咲かせましょう。
 あいさつは、自分から先に元気よく。
 教師が「毎朝、どちらが先にあいさつを元気にできるか勝負しよう」とふっかけ、子どもたちとあいさつ勝負をしましょう。
 隠れて、いきなりあいさつをすると、子どもたちは驚き、朝から笑顔になります。子どもたちも不意打ちあいさつをすれば、教師は「うぎゃー、やられたぁ」と大げさにアクションをする。
 子どもたちと一緒に隠れて、後から来る子にあいさつをするのも楽しい。
 朝のあいさつに一言ツッコミを加えましょう。たとえば、猛ダッシュで来た子に「今の距離だけで世界新記録が出たぞ!」と。ツッコまれた子は、思わず笑顔になる。
 黒板に子どもたちが登校する前にアンケートを書いておくだけで、子どもたちの会話が弾む。
 例えば「嵐の中で好きなのは誰?」と書いておくと、教室に入ってきた子は、アンケートの答えを考え、友だちが来たら、話し始める。朝の会でアンケートの答えと理由を紹介しあうと盛り上がる。
 黒板に「二択の問題」書いて置く。
 例えば「落ちていて拾うならどっち? A:1万円が当たっている宝くじ、B:当たりがわからない宝くじ100枚」。子どもたちは黒板のどちらかの選択肢にネームプレートを貼る。
 朝の会で、選んだ理由をペアトークする。ネットを参考にすると面白いネタがたくさん出てくる。
2 授業だからこそ笑う
 授業時間が楽しいかどうか、子どもたちにとっては死活問題です。
 授業だからこそ、笑いましょう。子どもたちにとって、学校を楽しい場所にしましょう。
(1)指し棒が選べる
 授業で前に出て発表する子に「指し棒が選べます」と言う。例えば「割りばし」「孫の手」「ハリーポッターの杖」を出し選ばせると、意外な指し棒に子どもたちは笑顔になります。
「つまようじ」「針」も楽しい。子どもたちは「見えません」とツッコミながら笑顔になる。
(2)文章問題の登場人物を変える
 教科書やドリルに載っている文章問題。なかなかやる気になりません。
 子どもたちにとって身近な人物を登場させ、文章問題を楽しみながら取り組めるようにしましょう。
 例えば「あきらくんは、家から駅まで3km歩きました」とあった時、教師は「さんまさんは、家から駅まで3km歩きました」と名前を変えて読む。
 子どもたちは「さんまさんじゃないし」とツッコみながらも笑顔になる。
 教師は「さんまさんは、分速何mで歩いたでしょう?」と、最後まで「さんまさん」と名前を変えたまま出題する。
 他にも、教師、クラスの子、芸能人、マンガのキャラクターなどの名前に変えるとよい。
(3)コーラス音読
 高音と低音で絶妙なハーモニーで音読すれば、みんな笑顔になります。
 クラスの座席の右半分の子を高音、左半分の子を低音の担当にする。
 教師が右手を挙げたら、高音の担当が精一杯、音読すると、笑いが起きる。
 教師が左手を挙げたら、低音の担当が、思いきり低音で音読すると、笑いが起きる。
 最後は、教師が両手を挙げると、高音と低音が音読して、絶妙なハーモニーになり、子どもたちは爆笑する。
(4)だるまさんがころんだ
 教師は板書した後、いきなり「だるまさんがころんだ」と言って、ふり返る。
 子どもたちは動きを止める。動いた子がいたら、教師が「はい、動いた!」と言って、その子を指名する。
 楽しく子どもたちを集中させることができます。
「ノートがない人、当-てる」「きょ-科書ない人、し-名(めい)」と、楽しく注意することもできる。
 子どもたちは先生が次に何を言うか、集中して話を聞くようになる。
(5)先生の指まね
 教室がざわざわしている時、教師の「指まね」をさせましょう。「うるさい」と怒鳴らなくても、子どもたちを静かにさせることができます。
 教室がざわざわしている時、教師は「先生のマネをします」と言う。
 教師は人差し指を1本だして、手を高く挙げる。気づいた子どもたちは、マネをする。
 指を2本にしたり、4本にしたり、ランダムに本数を変える。すると、マネをする子どもたちが、どんどん増えてくる。
 8割ぐらいがマネをし始めたら、2本指にして「カトちゃんペ」のポーズをすると、子どもたちもマネして笑顔。
 最後に、1本にして「シー(黙って)のポーズ。子どもたちは口を閉じる。
 5本指で「アイーン」、OKの形を頬に当てて「たこ焼き」など、バリエーションがあると飽きない。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

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なぜ生徒は教師の言うことを聞かないのでしょうか、どうすれば教師の言うことを聞くようになるのでしょうか

 指導する教師が生徒に尊敬されていないと、生徒は教師の言うことを聞きません。
 尊敬されていない教師の指導は、たとえ正しいことを言っても、無視されるか反発を招くことさえあります。
 人間は尊敬する人が言ったことには、耳を傾けようとします。そして、理解して自らの言動にも取り入れようとします。
 尊敬していない人の言動は自らの言動に取り入れようとしません。
 ですから、教師は生徒に尊敬されていないと、生徒の指導にはとても苦労することになるのです。
 昔は、教師が生徒に「尊敬されている」関係から教育が始まりましたが、今は教師が生徒に「尊敬される」関係をつくることから教育は始まるのです。
 教師が生徒に尊敬される関係をつくるには、どうすればよいのでしょうか。
 教師が生徒に「尊敬される」には、教師と生徒の間に「信頼関係」がないといけない。
 よく知らない隣のおじさんを初めから尊敬していた、という人はいないように、教師と生徒の間に「関わり」をつくるようにします。
 その「関わり」から「信頼感」が育ちます。
「関わり」をつくる方法は、たくさんあります。例えば、
「休み時間に一緒にたわいない話をした」
「好きな作家の小説を貸してあげた」
「共通の好きな漫画の話をした」
「ゲームの攻略法を教えた」
「去年、教えたお兄さんのことが話題になった」
「教師の子ども時代の失敗やドジな話をした」
「一緒にボールで遊んだ」
などと、教師の個性や特技を活かすのです。
 このような「関わり」があると、今度は
「先生、私ね、社会科はどうやって勉強したらいいのか、わからないの」
「〇〇くんに時々、嫌なことを言われるの」
「授業中、おしゃべりが多くて、よく聞こえないの」
などと、生徒が困っていることを話題にしてきます。
 いよいよ教師の出番です。教師は生徒の話に大いに耳を傾けて聞いてあげ、その生徒が困っていることに取り組むのです。すると、結果はどうであれ、
「この先生は、頼りになる」 
「私を見捨てない先生だ」
と生徒は思い「信頼感」が生まれます。
 子どもとの「関わり」の中でしか「信頼感」は芽生えません。「信頼感」は尊敬の大前提となります。
(吉田 順:1950年生まれ 37年間横浜市立小・中学校に勤務した。担任32年、生徒指導部長16年、学年主任13年などを兼任した。生徒指導ネットワークを主宰。生徒指導コンサルタントとして全国の学校と関わる)

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ある教師が叱ると子どもたちがビシッとするのに、別の教師が叱ると反発する、自分のキャラクターに合った指導をするにはどうすればよいか

 教師が異なると、同じ内容を説明して授業を進めても、子どもたちの反応が全く異なり、授業に大きな差が生まれることは良くあることです。
 また、生徒を指導するときも同様で、ある教師が叱ると子どもたちがビシッとするのに、別の教師が叱ると反発する、ということも日常みられます。
 このような差はどうして生まれてしまうのか。
 私は、その原因を教師自身、自己のキャラクターに対する認識とその使い方にあるのだろうと考えています。
 教師自身が子どもたちから、どのような教師に見られているのか。
 教師自身が自分という存在についてどれくらい理解しているかが非常に重要です。
 それが分かったうえで、教師が自分のキャラクターに合った行動を選択すると、成果が発揮できるのではないでしょうか。
 次の項目で理解していただきたいことは、自分は「○○」ができるということではなく、子どもたちから見てどの様に見られている可能性があるのか、ということを考えるきっかけにして欲しいということです。
 もちろん、それぞれについて項目の評価が高くても活かす術がなければ意味がないのですが、自分がどのような項目を活かした教師になるのがよいのかということをじっくりと考えてみていただきたいと思います。
自己分析項目(5段階で自己評価)
A 自分の話を的確に伝えることができる( )
A 相手が話を聞いている状態が気になる( )
B 人の話を聞くことができる( )
B 自分の話だけでなく、相手のことにも興味がわく( )
C 自分の失敗を素直に認めることができる( )
C 自分に非がある場合に、自分から謝ることができる( )
D 感情をコントロールして人と接することができる( )
D 相手に注意するとき、相手の気持ちを考えることができる( )
E 学習以外でも子どもに役立つ体験・経験を持っている( )
E 指導要領を超えた学習面で武器になる経験・体験がある( )
F 他人とすぐ仲良くなることができる( )
F 教師として、子どもとケジメのある立場を保っている( )
 自己分析で次の項目が高いと、子どもたちに持たれやすい自分のキャラクターがわかります。
「Aが高い」:情報を伝える力、意思が高い
 相手に自分の意見・主張を説得する力が強く技術もあるので、説得力があるという印象を受けやすい。
「Bが高い」:相手に関心を持ち、聞く力が高い
 人の話を聞き、相手の状況を観察することによって、自分の行動に活かそうとし、聞き上手と思われやすい。
「Cが高い」:自己開示のできる傾向が強い
 自分の失敗に限らず、考えや経験なども開示できるので、本音で関係を作れる印象を持たれやすい。
「Dが高い」:感情、気持ちへの配慮の意識が高い
 感情の起伏をコントロールしたり、相手を思いやれるので、心への気づかいができる人だと思われやすい。
「Eが高い」:授業・指導における展開の幅が広い
 話題の幅が広く、興味・関心を上手に引き出し、授業そのものに特別な価値観を持たれやすい。
「Fが高い」:子どもたちとの距離感を構築する力が高い
 私は初め、子どもたちがすぐに騒いでしまって、授業を思うように進行することができない教師でした。そして、叱ることもできない教師でもありました。
 そこから試行錯誤を繰り返して、他の教師の真似をしてみたり、アドバイスを聞いたりしましたが、そうやって得たノウハウを自分のキャラクターに合わせて取り入れていく、ということがとても重要だったと感じています。
 そのまま真似をしてみても、自分のキャラクターに取り込むことができなければ、当然、違和感があり上手くいきません。
 ただ、その失敗の中で自分が使うことが出来る部分を見つけだして、自分のモノにしていくことが非常に重要なのです。
 そして、最後に自分理解を深めることは即、教室管理に役立つというものではありません。
 あくまでも自分を振り返り、自分に合った指導を身に付けるための土台、きっかけであり、常に謙虚に自分を反省することができる習慣を身に付けるということが最大の目的なのです。
(諸葛正弥:東京生まれ 「T’s skill教師塾」代表として、カウンセリング・コーチング講座もコラボレートした形式で教員対象研修を開催している)

 

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どうすれば子どもたちは教師の言うことをきいてくれるようになるのか

 どうすれば子どもたちは教師の言うことをきいてくれるようになるのでしょうか。
 ふだんから、子どもたちをうまく叱ることができず、子どもたちとの接し方に悩んでいませんか。
 教師が子どもたちを指導するとき、
「何で毎日遅刻ばかりするの?」
「どうして先生の言うことを聞けないのだ」
というように、「何で・・・・・」「どうして・・・・・」という言い方には
「・・・・・してはだめじゃないか」という「とがめ」のメッセージだけが子どもに伝わってしまうことがあるのです。
 また、
「先生の言うことが間違っている?」とか
「約束を守らないのは誰が悪いの?」など、
「先生は善、悪いのはあなた」といった形の表現が続くと、だんだん子どもが追いつめられて逃げ場をなくしてしまいます。
 正論だけで迫られると、子どもは「自分は認められている」という思いになれないために、自己肯定感が高まらないのです。
 善悪の判断を伝えるのは大切な仕事の一つですが、できなかった理由をあれこれ詮索するよりも、内心「しょうがないなぁ」と思いながら、その反面、どこか「次に期待する余地」を残しておいて、子どもを見守れるといいですね。
 子どもが出来るまで、毎日同じことを言い続けるのも教師の給料の一部に入っていますから。
 子どもから信頼されている教師に子どもたちにどのように叱り、接しているか話を聞きました。
 すると、子どもが出来るまで、毎日同じことを言い続けながらも、一方では「できるまで、いつまでも待っているからね」という思いで子どもを見守り続けることが大切だと話してくれました。
 それと「子どもは、なぜ教師の言うことをきくかわかるか? 子どもたちはな、ふだんから自分のことを信頼してくれる、認めてくれる、応援してくれる先生のいうことだから、きこうかなという気になるものだ」と。
 荒れる子どもは心のなかに何か満たされない欲求があり、自分の話を聞いてほしいと思っています。
 不思議なもので、子どもは自分の話を最後まで聞いてくれる教師の話はよく聞いてくれます。
 ふだんから、自分の良いところを認めてくれる教師の注意はよく聞きます。
 先生方にお願いしたいことは、子どもたちに教師から「受け入れられた」「認められた」「話を最後まで聞いてくれた」という体験をさせてあげてください。
(
土井一博:公立中学校教師を経て退職後、筑波大学大学院で健康教育学を学び、茨城県等でスクールカウンセラー歴任し、埼玉県川口市学校教職員メンタルヘルスチーフカウンセラー。日本教職員メンタルヘルスカウンセラー協会理事長。専門は教職員のメンタルヘルス、学校健康心理学、教師教育)

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職員室から見えてくる新規採用教師のようすとは、職場に溶け込んでいる教師はどのような教師か

 職員室で新規採用教師のようすを観察すると次のようなことが見えてきます。
 新規採用教師の休職者が増加傾向にあります。学生だった若者が4月になったとたん「先生、先生」と呼ばれるようになり、右も左もわからぬうちに息つく暇もない毎日が過ぎていきます。
 パニック状態に陥って職場不適応になり病休や休職に入る教師がいます。学校現場に踏みとどまれるかどうかの分かれ目は「子どもが好きかどうか」という点にあると断言できます。
 現在は以前ほど採用試験が狭き門でなくなってきたので、社会人としてどうかなと首をかしげたくなる教師がめだってきたのも事実です。
 例えば、部活動の朝練習で子どもに早く登校させているのに自分は平気で遅れてくる。退勤の際に黙って勝手に帰ってしまう。当日の朝になっていきなりメールで連絡してくるといったことがあります。
 職員室にお邪魔していると、同僚教師から評判のよろしくない新採教師の話を耳にします。
 「どういう点ですか」と尋ねると「まわりの教師のアドバイスを受け入れないのです。頑固者というか」と答えてくれました。
 「先生の言うことはわかるのですが、私はこのやり方でやってきましたから」と、先輩の助言を受け流すのだそうです。
 学校現場ではプロ教師を必要としています。教科指導、生徒指導など全人格的な関わりを期待されています。
 可愛くないとレッテルをはられた若手教師ほど「聴きづらくなる」状況に自らを追い込んでいるようです。
 そうなると、自分の力だけで課題を乗り越えようとして、孤立感を強めていくのです。
 一方、職場に溶け込んでいる若手教師を観察すると、分からないことがあると、その都度まわりの教師に「教えていただきたいのですが」といってじょうずに相手に甘えています。
 よく見ると、ある特定の教師を一人決めて、その教師からアドバイスや支援を求めている方がうまくいっているようです。
 つまり、「自分のモデルとなるような先輩教師が身近にいる」というのが、課題をうまく乗り切っている若手教師の共通点かもしれません。
(
土井一博:公立中学校教師を経て退職後、筑波大学大学院で健康教育学を学び、茨城県等でスクールカウンセラー歴任し、埼玉県川口市学校教職員メンタルヘルスチーフカウンセラー。日本教職員メンタルヘルスカウンセラー協会理事長。専門は教職員のメンタルヘルス、学校健康心理学、教師教育)




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教師も子どもも幸せになる授業づくりのポイントとは

1 教師も子どもも幸せになる授業力と自分力
 学級がうまくいくかのカギは授業です。授業力のある教師のクラスは崩れません。
 授業力は「授業展開」「発問」「板書構成」「ワークシート」「表情や立ち位置」「教師のルール」「ほめ方、叱り方」など多様です。
 授業力をつけるには学び続けなければなりません。
 その方法は、実際の授業、研究会、先輩からの話、教育書など学ぶ方法はいくらでもあります。
 このとき、忘れてはならないのは「子どもから学ぶ」ということです。授業が面白いときは笑顔に、面白くないときは手遊びをする、といった様々な反応をします。
2 自分力
 授業力、学級経営力などを育てるのに大切なのは、自分力です。
 自分力が弱まっていたり、未熟な状態では、よい授業はできません。子どもたちが笑顔になる学級経営もできません。
 自分力を回復し、力をつける方法は、本を読む、飲み会で話す、家族と過ごす、研究会に参加する、休日の過ごし方など、十人十色です。
3 教師になって3年目からが分かれめ
 自分のことで手一杯だった2年目、迎えた3年目が分かれめです。
(1)授業力
 教師主導の学び:どんな「発問」「説明」で子どもたちを理解させるか。
 子ども主体の学び:教師が学んできたことを、子どもたちが主体となって問題を理解し解決していくことに役立てる。 
(2)自分力
 本や研究会を通じて、人とつながり、人との出会いを広げ、力を蓄える。
 人とのつながりが増える分だけ、あなた自身の学びが深まり、子どもの授業での学びが深まります。
 あなたの教師人生を幸せにすることでしょう。
4 教師がステップアップするためのポイント
(1)ひろげる
 人との出会いをひろげる。学習内容をひろげる。研究や経験をひろげる。
 ひろげることは、新しい世界をみること、新たな価値観を得るチャンスになります。
 授業の幅をひろげることにもつながることでしょう。
(2)深める
 学習内容・過程を深める。研究を深める。
 1教科の学習方法を深めるのもいいでしょう。自らのこだわりを深く追求するのもいいでしょう。
 教師にとっても、子どもにとっても楽しさにつながることでしょう。
(3)高める
 乗り越えなくてはならないカベを高くしてみましょう。
 気づき・知識・思考の質を高める。教師仲間とのつながりの質を高める。
 それは、教師としての質を高めることになるでしょう。
(4)子どもたちにまかせる
 子どもたちの自主性を重んじる。
 根拠となるものをしっかり築いた上で、子どもたちにまかせてみましょう。
(5)つなげる
 つながることで、喜び、楽しさ、苦しさを分かち合うことができます。
 子ども、保護者、地域、同僚などとつながることを大切にすると、その姿勢が伝わるでしょう。
(授業力&学級づくり研究会)

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教師にとって声は財産である、はっきりと自信を持った声で話すことで学級崩壊が防げる

 教師にとって声は財産である。
 学校の教師は一人で大勢の子どもに教える。教える子ども一人ひとりに平等に声が届くこと、平等に理解させることに努力するのは当然のことである。
 声が小さい教師だと、子どもは先生が何を言っているのかわからない。
 真面目な子どもならば、聞こうと思う。そのために体中の神経を集中させる。全身を耳にするという表現がピッタリの状態である。
 聞くことに精神を集中させるために、グッタリしてしまう。このような状態に子どもを置いてはならない。余分な神経を使わせてはならない。
 子どもがリラックスしている状態で、教師の話が聞ける、というのに十分な声量が教師には必要である。
 声量と同時に、全員に話を聞かせる気配りも必要である。
 本気でほめて、本気で叱るようにする。
 小学校の時、先生からほめられたことを大人になっても覚えていて、あの時のあの一言が自分を支えてくれた、と感謝の気持ちを表したりしてくれることがある。
 反対に、あの一言が自分をダメにしたという話をよく聞く。それほど、学校の先生の一言というのは大きい。
 ほめ方で大事なのは、小さいことでいいからほめること。
 子どもは未完成なのだから、大人の尺度で見ているとほめることはない。
 昨日と比べて少しでも良くなったこと、ゴミを拾ったとか、挙手して発表したとか、少しの変化を見逃さずにほめることが大切である。また、人柄もほめる。
 そして、担任がとてもうれしいという感情を示すことも大切である。「よかった。うれしい」といって本気でほめることである。
 本気でほめられれば、子どもにとってこんなうれしいことはない。
 叱り方で大事なのは、行為だけを叱り、人格を傷つけるようなことを言わないことである。また、他の子どもと比べて叱らない。
 また、一貫性をもつことが大切である。一人の先生がいつも同じでないと、何を信じていいのかわからない。
 なぜいけないのか理由を説明し、不服があるか耳を傾ける。
 叱る時は、ぴしゃりと制止の声を発し、その声で子どもがハッとするように、声はしゃんとして、しかものびやかにする。
 騒いでいる子どもがいたり、作業中の子どもがいたら、いったんやめさせるのが教師の仕事でである。
 特に、やって良いこと、悪いことは、はっきりとした声で子どもにしっかり伝わらなければならない。
 事前に、こういうことをしてはよい、した方がよい。こういうことはしてはいけない、しない方がよい等を人間性の未発達な子どもに伝えれば、子どもに方向性が見えてくる。
 こういうことをすればほめられる、ああいうことをすれば叱られる、といったことを事前に子どもたちに伝えておく。
 わかっていれば、子どもなりに先生にほめてもらおうと努力する子もいるだろう。
 なるほど人間として生きていく上で、ああいうふうにすることが大切なんだな、家では誰も言ってくれないが、世の中ではみんなそう考えているのか、と思う子どももいるだろう。
 そうやって人間としての生き方、学習の仕方を身につけていくのが学校なのである。
 はっきりと自信を持った声で、何が良くて、何が悪いかを教師が話すことで、学級崩壊が防げる。
(飛田貞子:元東京都の公立小学校校長)

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学級でいじめを疑う状況があるとき、どう指導すればよいのでしょうか

 集団生活にはトラブルはつきものです。
 教師が頭ごなしに指導をしても、表面的に見えなくなるだけで、かえって潜在化し、陰湿で深刻になってしまい、いじめの特定も難しくなることがあります。
 学級内のトラブルを深刻ないじめにならないようにし、成長の糧にすることが大切です。
 日頃から、学級や部活動での子どもたちの人間関係や力関係を把握しましょう。
 何かこそこそしていたり、教師が入って行くと、さっと雰囲気が変わったりするときは、あまり好ましい状態とは言えません。
 授業中、特定の子どもの答に妙な反応が返ってくるときも要注意です。
 いじめを疑う状態があれば、学級や部活動をしっかり観察することが必要です。
 アンケートや子どもたちを観察するなど、早期発見に努めなければなりません。
 担任だけでなく、養護教諭、専科や教科担任、部活動の指導者などから情報を集めるようにします。
 被害者の生命にかかわる場合もあるので、迅速かつ正確な情報収集が欠かせません。
 いじめ対応は早期発見が重要です。
 いじめを発見した場合、重要なことは、的確に把握し、学校が一丸となって組織として指導態勢をつくり情報を共有します。
 管理職や生徒指導主事への報告・連絡・相談体制を徹底し、いじめ解消のための具体的な方策を立てます。
 被害者の保護を第一とし、本人や保護者からも事情を聴きます。
 日頃からの信頼関係がないと、本当のことを話してもらえないことがあります。
 確実な情報を把握せずに、安易に加害者を指導することは、加害者の心からの謝罪を引き出すことはできません。
 大人の目に触れないところで、一層いじめがひどくなるなど、大きな失敗につながります。
 いじめの構造を把握して、指導に役立てなければなりません。
 いじめには、「加害者」「被害者」「はやしたてる観衆」「見て見ぬふりをする傍観者」の四重構造があります。
「被害者」から目を離さない指導体制を整備します。
 登校から下校まで守り抜くという姿勢は、加害者ばかりでなく、傍観者にもいじめがどんなに卑劣な行為であるかを知らせることになるとともに、学校は必ず守ってくれるという信頼感を与えます。
「はやしたてる観衆」への指導がいじめ鎮静化の糸口になることもあります。
「傍観者」への働きかけも重要です。
 いじめ「加害者」の心理は、ねたみ、以前の報復、支配したいという気持ち、遊び感覚、欲求不満のはけ口など様々です。
 いじめを引き起こした「加害者」の心の中には、おさえきれない攻撃性が蓄積していることが多くあります。心理の把握に努めなければなりません。
 親から暴力をふるわれていたり、家族間の葛藤があったり、その攻撃性や怒りを周囲のものにぶつけている場合が多い。
 その子の切ない状況に寄り添いながら、その子がよりよく生きていくことを親身になって支えることにより、初めていじめが解消したといえます。
「加害者」に登下校中やネットなどこれ以上いじめをさせないためには、家庭や地域と密接に連携し、指導していくことが重要です。
 警察の少年センター等との連携は加害者への抑止力になるとともに、家庭への指導も充実してくれます。
 子どもたち一人ひとりの正義感が大切にされる温かな学級づくりがいじめ問題解決の最善策です。
(小澤美代子:さくら教育研究所長)
(美谷島正義:東京都公立中学校長)

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教師から見た、子どもに影響を与える困った保護者とは、どのような保護者か

 問題行動のある子どもの背後には、問題のある保護者がいることが少なくありません。
 たとえば、子どもの前で「教師なんてバカばっかり」と言っている親がいると、どうしても子どもも教師に反感を持つようになります。
 しかし一方で、どうみても子育てに何の問題もないのに、次々と問題を起こす家庭がある。
 あるいは、親に大きな問題があるにもかかわらず、すくすく育っている子どもがいる。
 こんなケースをみると「子育ては結局、運しだい。なるようにしか、なりませんよ」と言いたくなるのが実感なのです。
 けれども、親の問題が子どもに影響を与えてしまうのも事実です。私が考える子どもに影響を与える「問題の親」は、次の3タイプがあります。
1 支配型の親「優等生型の母親」
 子どものころからずっと優等生でやってきたから、子育ても優等生であらねばと、子どものしつけに対して、プレッシャーを感じています。
 実の母親にちゃんと子育てをしていると認めてもらいたいと、これみよがしに子どもを叱り飛ばしてしまうのです。
「いい親であらねば」という強い親は、子どもを見守ることができずに、余計な口出しをして過剰に支配的になってしまいやすいのです。
 その結果、子どもは萎縮してしまいます。子どもは親の気に入る「良い子」になろうと思うようになる。「親の言いつけを守る」という気持ちがすごく強くなるのです。
 その結果「いい子」でなければという重圧に耐えかねた子どもは、心が破裂するようにして問題行動を起こしてしまうのです。
 とくに思春期の子どもは、こうした親からのプレッシャーに敏感に反応します。
 いい子であると「自分」が育ちません。自分がないと苦しくて仕方がない。
 思春期の反抗は、子どもの自立に必要な「自分づくり」という意味があるのです。
 子どもの反抗を認めない、支配的な親の姿勢は、思春期の子どもにとっては辛いものとなります。
 子どもを「いい子」のプレッシャーから解放するには、まず親自身が「いい親」から降りる必要があります。
 夫婦で1日一回は、子どもの前でぐちを聞き合うなどして「弱音を吐ける家庭」を築く必要があるでしょう。
2 親が子どもの家来型
 家庭では、子どもの家来のような親です。
 このような家庭の子どもは、わがままで大人をなめきった態度をとりがちです。
 このような子どもたちは「私がわがままを言えば、大人は結局、言うことを聞いてくれる」と思い込んでいます。
 親はきちんと向き合って説得するのは大変なので、子どものわがままを通してしまいます。
 学校のクラスでは40人のうちの一人に過ぎないから、物足りなく「もっと私を見て」と教師に絶えずかまってもらいたがる子どもになってしまうのです。 
 教師を振り回して、学級崩壊のきっかけとなりやすい。
3 放任型の親
 親が子どもを放ったらかしです。
 このタイプの親の子どもには非行型の子どもが多い。親の愛情に飢えているのです。
 家に親がほとんどいなかったり、全然かまってくれないので、さみしい。そのさみしさを埋めるために道を踏み外してしまう。
 この3つのタイプの親に育てられた子どもに共通しているのは、親が子どもとしっかり向き合い、子どもと対話するのを避けている。
 面倒くささからか、そこから逃げているということです。
 子どもは勝手なことを言ってくるので、きちんと向き合うのは大変なエネルギーを必要とします。
 子育てで一番大切なのは「手間ひまをかける」ことかもしれません。
 親と子どもの関係を改善する方法の一つに、親が子どもの話を聞いたり、自分の気持ちを語ることを練習する方法があります。
 親が子どもに「あなたは」「おまえは」と二人称を主語として、子どもを注意すると、「愛されていないんだ、側にいるのがイヤなんだ」と、否定的な響きをともないます。
 大切なのは、一人称「わたしメッセージ」で語ること。たとえば、
「お母さんはね、いま食事の支度で大変だから、そっとしておいて」と正直に伝えると、子どものほうも「お母さんはいま大変だから、邪魔したらいけない」と思うことができます。
 学校の授業で議論した話題を、家族で話し合ってみるのも親子の心の対話をうながす一つの方法です。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授,臨床心理学、カウンセリング心理学、現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)

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子どもたちの自己肯定感を伸ばすにはどうすればよいか

 自己肯定感とは、自分の価値や存在を、自信を持って認める力のこと。
 人生で困難に直面した時、前向きに生きる力の源になる。
 どうすれば、子どもたちに自己肯定感を育て高めることができるのでしょうか。
 自己肯定感を高める取り組みを実践している学校を紹介する。
 山梨県の船津小学校の4年3組は、帰りの会で、日替わりで黒板の前に立つ子どもをみんなで良いところをほめる「今日のきらり」を実践している。
 例えば「優しい性格です。理科の実験の時に手伝ってくれました」と、全員がほめる。
 全員が発言を終えると、担任がほめる。校長は、
「社会で通用する人間を育てるには、自分の存在を認められる経験が必要」
「認められることで、自分らしさを発揮し、様々なことに挑戦できるようになる」
「欠点ではなく、良いところを見つける力がついた」
と話す。
 他人からほめられる以外に、どんなことで自己肯定感が高まるのだろうか。
 ベネッセ教育総合研究所等の調査結果によると、
「将来の目標が明確になった」「勉強が好きになった」「自分のクラスに愛着を感じるようになった」
と答えた子どもは、自己肯定感が高まる傾向があった。
 気を付けたいのは、保護者や教師など周囲の大人の自己肯定感が低いと、子どもも自己肯定感が低くなりがちだということだ。
 自己肯定感が低いと他者を大切に思うことができず、いじめをしてしまうこともある。
 自分を認める力である自己肯定感は、子どもたちが新しいことにチャレンジし、逆境でも負けずに成長するために大切な力として、教育現場でも注目されている。
(読売新聞2019年11月5日朝刊記事)

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話術を習得する近道とは、話し手の根本的に大切なこととは何か

 芸でも仕事でも、一人前のことができるようになるまでは「見習い」と呼ばれます。これは、「未熟なうちは、見て習いなさい」ということです。
 あまり「教えてくれ」と言うものじゃありません。簡単に教わったことは、それだけ早く忘れます。
 それに対して、教わってもいないのに、自分で一生懸命に見て身につけようとした技術は、いつまでも覚えているものです。話術もそうだと思います。
 ですから、職業上の話術を身につけたいのであれば、まずは上手いと思う人の現場に行って、そばで邪魔にならないように見せてもらうのがいちばんでしょう。
 表面的な言葉づかいだけでなく、場の「空気」を読みながらの対応、駆け引き、相手とあうんの呼吸のようなものを見て習う。
 それをできるだけ早く、実践の中で試してみる。それが職業上の話術を習得する、いちばんの近道だと思います。
 話は聞き手があきないようにしなければなりません。
 落語もそうでしょうけど、我々は一応の台本がある話でも、お客さまの反応を見ながら変えていきます。
「かたい話が続いて、お客さまがちよっと疲れてきたな」ということがある。
 そのときには息抜きになるような話をアドリブで入れます。
 どんなに良い話をしていても、聞く人が途中で飽きてしまったり、疲れてしまったりしたら、何にもなりません。しゃべっていないのと同じことになってしまいます。
 そういう場面をいかになくしていくかということが、大事なんです。
 あえて人まえでしゃべるのは、より分かりやすく、面白く伝えるためですよね。話を上手にできるようにするには、まず、そういう意識が必要だと思います。
 話し手の自信が話を生む原動力となります。
 本当によく勉強したことというのは、自然と人に話したくなるものです。教師であれば、先生としての自信が、話を生む原動力になります。
 生徒からどんな質問をされても答えられるように、あらゆる角度からそのことを勉強しておく。見識を広げておく。
 そうすることでまた、より興味を持ってもらうための工夫、もっとわかりやすく説明するための配慮もしやすくなると思います。
 よく勉強していて、自信があるからこそ、相手に応じて話し方や話の切り口を変えられる。
「今この話をしても分かりにくくなるだけだな」と思ったら、話したい知識でも引っ込めておく。そういうことが柔軟にできるようになるといいと思います。
 自分が変われば、相手もかわります。
 人間関係の基本は、自分が変われば、相手もかわるということです。
 わかりやすい例で言えば、自分が敵対的な態度をとれば、相手も敵対的な態度で返してきますし、自分が友好的な態度をとれば、相手も友好的な態度で返してくるものです。
 高座の上でお客さま方に話すのに、気を引き締めたり、少しゆるめたり、また引き締め直したりということはします。それによって、お客さまも集中して聞こうとしたり、肩の力を抜こうとしたりするんです。
 その駆け引きは、舞台に上がる前から、もう始まっています。舞台に上がるとき、緊張した面持ちで歩いていくのか、それとも「やあ、どうも」という感じで出ていくのか。最初の言葉をどんなテンションで語り出すかも重要です。
 厳粛な雰囲気で、話しだすまでたっぷり間を取って、重々しく語り出すのか、それとも軽く明るい声で、ニコニコしながら語り出すのか。それも話術の一部です。
 何に基づいてそういう変化をつけるかといったら、一つには、どんな話をどういう風に伝えたいのかというイメージの違いでしょう。
 もう一つは、場の「空気」です。場の「空気」が崩れていたり、堅くなっていたりすることがある。そのときには、なぜそうなったのかということも考慮に入れて、自分の出方を決めます。
 話のまくらでお客さまの雰囲気をつかむ。
 我々は「枕」の部分をしゃべりながら、その日その日のお客さまの雰囲気をつかんでいます。それから本題に入るんです。
 少ししゃべってみる、お客さま方の反応を見る。またそれに応じて変えていく・・・・・・。
 我々は、今日のお客さまはこうだなというのをつかみながら、お話の仕方を変えていきます。
 枕は軽い世間話などをして、お客さまに肩の力を抜いていただこうということもであります。
 あるいは、本題と少しずつ関係のある話をして、だんだんとお客さまを日常から講談の世界に引き込んでいく、そういうことにも「枕」を使います。
 その人の生きざまが話の中にでます。
 昔から「芸は人なり」なんてことをよく申します。芸には、その人が今、生きているすべてがでます。話というのもまたそうでしょうね。
 その人の人生経験、年齢なりの声や風貌、やしなってきた知識、仕事に向かう情熱、そのときの熱意、人に対する思いやり・・・・・・。
 ようするに、その人の生きざま全てが、話の中に出ます。これはなかなか大変なものです。だから、時間をかけて、人間の修業からしていきます。
 話す人間に魅力があるか。
 講談師は高座でしゃべって、お客さまに来ていただいて、お金をいただく商売ですから、厳しいところがあります。
 話す人間に魅力があるかということが、そのまんま結果に出てしまう。言ってみれば、人間そのものが商品なんです。
(一龍斎貞水:1939年東京都生まれ、 講談師、人間国宝。「講談は守るべきものと開拓すべきものがある」が座右の銘)

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指示と発問を極めることは、学級経営を極めることだ

 授業は、子どもと教師が共同でつくりあげるものである。
 その基盤となるものが学級経営である。教師はいかに子どもの信頼を勝ち取るかが勝負どころとなる。
1 学級に安心の雰囲気をつくり出す
 私は朝の会で、子どもと目を合わせることで安心感を与えるようにした。
 私はあなたのことを見ていますよ。わからないことがあれば聞いてくださいね、というメッセージを子どもたちに一瞬で送る。
 私は子どもたち一人ひとりの名前を呼び、目を合わせる。その瞬間、子どもが「今日も安心して学校生活を送れる」という思いを持ってくれことを私は願う。
 子どもと目を合わせたとき、私は、その子が昨日と違うと察知すれば、その日の内に手を打つ。
2 深い教材研究
 1日に1時間でもよい、授業で、勉強するってこんなに楽しいのかと、子どもたちに思わせることで、充実した授業になる。
 教師の思いだけを押しつけず、子どもたちの思いに寄り添って授業を展開していくだけでよいのである。
 そのためには、教材研究をし、子どものどのような反応にも対処できるようになっていることが大切である。
3 学習規律をつくりあげよう
 教師の指示は一度に一つ。子どもたちができるまで待つ。指示は繰り返すことで定着する。
 学習の規律は日頃の指示の徹底にある。
「指示は一度に一つ」
「できるまで待つ」
「指示が一貫している」
 これだけを徹底すれば、学習規律のある学級づくりができる。
4 子どもたちの個性を引き出す
 担任であれば、一人ひとりの子どもの個性を把握しているはずである。
 控えめな子どもの発言が素晴らしいことがある。一人ひとりの子どもの個性を引き出したいものである。
5 ノートで教師と子どもたちとのコミュニケーションを
 1日1教科でもよいから、子どもたちのノートを提出させ、教師がコメントを入れたい。
 学習の感想などから、その子どものよさを感じ取ることもできる。子どもの理解を深めるためにも、ノートに目を通したいものである。
 一度も発言していない子どもがいるときもある。そのような子どもとノート上でコミュ ニケーションを取るのである。
6 指示と発問の性格
 指示と発問は学級経営の根幹をなすものである。
 子どもの日常の学校生活を支えていく大事なものである。指示と発問を極めることは学級経営を極めることにつながっている。
(1)指示:4月から一貫し、学級の規律を確立する。
(2)主発問:授業の目標を明確にし、どのような反応が望ましいかを見極めて、学習のねらいを達成する。
(3)補助発問:学習の仕方を身につけさせる。
(白井一之:東京都公立小学校校長)

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小さなルールを徹底させることが、学級の荒れを予防する

 授業中のルールを徹底しないと、いつか学級が荒れ、崩壊がやってくる。
 小さなルールを徹底させることが、学級の荒れや崩壊を予防する。
 ルールを厳守し、静かな授業をすることが目的ではありません。学ぶことに夢中になり、楽しく盛り上がる授業づくりをするためにこそ、ルールが必要なのです。
 日頃から「授業中に、ぼけっとして指示を聞いていない」というような「小さなルール違反」に厳しく目を配るようにしていくと、やさしいひと言での指導が可能です。
 その繰り返しが「立ち歩き」や「おしゃべり」などの授業妨害といった「危険なルール違反」を防ぐことにつながります。
 例えば、教師と子どもが互いを敬いながら授業に臨むために、授業の始まりと終わりの挨拶を大切にしたいものです。
 指名されたら返事をする。発表は起立して行う、話す人にお腹を向ける、話を聞くときは手を膝に置く。
 授業を進めながら、ルールを子どもに確認し、できていない場合は、その都度、必ずやり直しをさせるようにします。
 徹底して指導を繰り返すことで、ルールを守る姿勢を身体で覚えさせるのです。
 授業ルールの厳守が安定した授業づくりにつながり、きまりを守る意識を高め、さらには落ち着いたクラスの雰囲気を育てます。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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授業中にトイレに行ったり、忘れ物をくり返す子どもがいて、対応に手をやいています、どうすればよいのでしょうか

 基本的生活習慣は、まず家庭で身に付けるものです。
 そして、一人ひとりの子どもが基本的生活習慣を身に付けたうえで、集団としての生活習慣を身に付けさせるところが学校です。
 しかし、保護者の価値観が多様化するなかで、子どもの好きなようにさせることが個性や主体性を育てることになると勘違いしている保護者が多いことも事実です。
 小学校に入学する前に身に付けさせておきたい基本的生活習慣については、どの小学校でも、新一年生の保護者会で説明をします。
 しかし、説明会に参加しなかったり、話を聞いても子どもが言うことを聞かないと、あきらめてしまう保護者もいます。
 教師が基本的生活習慣の重要性をしっかりと認識し、それを保護者に粘り強く説明し協力してもらうことが何より必要です。
 できれば、一年生のうちに保護者の協力を得て、しっかりと身に付けさせておきたいものです。
 まず、基本的生活習慣が身に付いていない具体的な事実をていねいに保護者に伝えるとともに、子どもの力を十分に発揮させるために、身に付けさせることの必要性を説明し、協力を求めることが大切です。
 家庭での様子を教えてもらいながら、学校での様子を具体的に伝え、一緒に力を合わせて子どもの力を伸ばしていきたいという気持ちをしっかりと伝えます。
1 連絡帳や電話を活用する
 基本的生活習慣が身に付いていない原因を探るために、連絡帳や電話を活用します。
 授業中にトイレに行くような場合には、休み時間に必ず声をかけて、トイレに行かせてから遊ぶようにして様子を見ます。
 その結果を連絡長や電話で知らせます。もちろん、家庭での様子も見てもらい、連絡を取り合います。病気かも知れないからです。
 忘れ物をする場合には、連絡帳に持ち物を必ず書かせて保護者に毎日、連絡帳をチェックしてもらいます。そして、様子を見ます。
 いずれにしても、体が病気なのか、精神的な原因や学習障害があるのかなど、原因を見極めることが必要です。
 そして、その見極めは担任だけでなく、養護教諭や教育相談担当教師、スクールカウンセラーなどに相談しながら進めます。
2 養護教諭、教育相談教師、スクールカウンセラー等と連携する
 保護者とのかかわりは、担任一人だけでなく学年主任や養護教諭、教育相談教師、スクールカウンセラーなどと協力して行いたいものです。
 そのためには、早めに相談し、子どもの様子を見てもらいます。
 受診する必要があったり、専門機関にかかった方がよいと判断されたりする場合には、養護教諭、教育相談教師、スクールカウンセラーと一緒に保護者に対応します。
 子どもの力を伸ばすためであるということを伝え、説得にあたり、納得してもらうことが大切です。
3 学校全体で取り組む
 基本的生活習慣は、低学年のうちにしっかりと身に付けさせておきたいものですが、生活指導部などを中心に子どもたちへの指導の徹底を共通理解するとともに、保護者への協力を求める具体的な方法を考えます。
 寝不足や遅刻が多いなど、生活リズムを付けさせたいときは、1週間「生活リズムチェック表」に取り組ませることが効果的です。
 寝た時刻や起きた時刻が守れたか、朝食を食べたか、歯磨きができたか、体調などを子どもたちに記録させ、保護者にもコメントをもらいます。
 また、あいさつの習慣などは、年間を通して指導するだけでなく、近隣の小学校と一緒に「あいさつキャンペーン」の取り組みをして効果を上げているところがあります。 
(岡野由紀枝:元東京都公立小学校校長)

 

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子どもが夢中になる授業の条件とは何か

 たとえば、理科は学ぶ喜びに満ちた教科なのだ。
 理科の面白さは、自然を対象にして問題を見いだし、仲間と協力して解決を図ることで、自分の世界が広がったり、仲間とのつながりが一層増したり、自分自身の成長が感じられたりすることにある。
 子どもが夢中になって、取り組める授業の条件として考えることは、
(1)教師がねらいをはっきりもっていること
 子どもにこのような能力・資質を引き出したいという具体的なイメージをもつことが大切である。
(2)教材に工夫があること
 奇をてらうという意味ではなく、子どもの思考が発展するかどうか、ということである。
 少し視点を変えることで、子どもには新鮮に映る場合がある。
(3)子どもの考える筋道を大切にすること
 教師が指導計画を立てても必ずしもその通りにはいかないことがある。
 そのとき、教師が子どもに学ぶことができる。子どもに学び、ズレを生かすことで、授業は動的に生き生きとなっていく。
(4)子どもを理解すること
 一人ひとりの子どもが授業で生かされるようにしたい。
 子どものこれまでの経験を知っておくということのほかに「その子」はどのような子どもなのか、できるかぎり一人ひとりに即した理解を大切にしたい。
 理科4年「もののあたたまりかた」の単元を「変化」という基本から見るとどうなるかを考えてみる。 
 金属は熱源から順に温まっていく。変化が起きるためには必ず起こしたものがあるという、因果関係を子どもは学ぶ。
 この経験をもとにすれば水の温まり方の見通しをもつことができ、実験の方法も自分たちで工夫して作ることができる。
 子どもたちは、温かい水と冷たい水の接する部分に仕切りを入れて、その仕切りを取るとどうなるか、という実験を考えた。
 金属と違って水の場合、冷たい水が温かいお湯の下にもぐり込み、上と下に分かれてしまう。
 その現象を見たとき、子どもたちは風呂の経験を思い出し、水の面白さや不思議さを感じていた。
 水は温まると軽くなるという、性質の変化を発見する。温まるという変化は、性質の変化を生むというように、水への見方が一気に広がるのである。
 ここで培われる「能力」は「ものが変化するときには、必ず変化させているものかあり、変化すると性質が変わる場合がある」という自然事象への見方の発展である。
 深層海流は2000年をかけて地球の海の底を流れているという。水とお湯に分かれた目の前の現象も、地球規模で起きているのである。私たち人間もたえず変化し発展しているのである。
 理科を学ぶということは、単に自然の事象の理解にとどまるものではない。そこに、子どもは人間としての生き方が投影される教科なのである。自然が教師であるという表現は、けっして比喩ではない。
(筑波大学附属小学校・理科教育研究部)

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