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授業中にトイレに行ったり、忘れ物をくり返す子どもがいて、対応に手をやいています、どうすればよいのでしょうか

 基本的生活習慣は、まず家庭で身に付けるものです。
 そして、一人ひとりの子どもが基本的生活習慣を身に付けたうえで、集団としての生活習慣を身に付けさせるところが学校です。
 しかし、保護者の価値観が多様化するなかで、子どもの好きなようにさせることが個性や主体性を育てることになると勘違いしている保護者が多いことも事実です。
 小学校に入学する前に身に付けさせておきたい基本的生活習慣については、どの小学校でも、新一年生の保護者会で説明をします。
 しかし、説明会に参加しなかったり、話を聞いても子どもが言うことを聞かないと、あきらめてしまう保護者もいます。
 教師が基本的生活習慣の重要性をしっかりと認識し、それを保護者に粘り強く説明し協力してもらうことが何より必要です。
 できれば、一年生のうちに保護者の協力を得て、しっかりと身に付けさせておきたいものです。
 まず、基本的生活習慣が身に付いていない具体的な事実をていねいに保護者に伝えるとともに、子どもの力を十分に発揮させるために、身に付けさせることの必要性を説明し、協力を求めることが大切です。
 家庭での様子を教えてもらいながら、学校での様子を具体的に伝え、一緒に力を合わせて子どもの力を伸ばしていきたいという気持ちをしっかりと伝えます。
1 連絡帳や電話を活用する
 基本的生活習慣が身に付いていない原因を探るために、連絡帳や電話を活用します。
 授業中にトイレに行くような場合には、休み時間に必ず声をかけて、トイレに行かせてから遊ぶようにして様子を見ます。
 その結果を連絡長や電話で知らせます。もちろん、家庭での様子も見てもらい、連絡を取り合います。病気かも知れないからです。
 忘れ物をする場合には、連絡帳に持ち物を必ず書かせて保護者に毎日、連絡帳をチェックしてもらいます。そして、様子を見ます。
 いずれにしても、体が病気なのか、精神的な原因や学習障害があるのかなど、原因を見極めることが必要です。
 そして、その見極めは担任だけでなく、養護教諭や教育相談担当教師、スクールカウンセラーなどに相談しながら進めます。
2 養護教諭、教育相談教師、スクールカウンセラー等と連携する
 保護者とのかかわりは、担任一人だけでなく学年主任や養護教諭、教育相談教師、スクールカウンセラーなどと協力して行いたいものです。
 そのためには、早めに相談し、子どもの様子を見てもらいます。
 受診する必要があったり、専門機関にかかった方がよいと判断されたりする場合には、養護教諭、教育相談教師、スクールカウンセラーと一緒に保護者に対応します。
 子どもの力を伸ばすためであるということを伝え、説得にあたり、納得してもらうことが大切です。
3 学校全体で取り組む
 基本的生活習慣は、低学年のうちにしっかりと身に付けさせておきたいものですが、生活指導部などを中心に子どもたちへの指導の徹底を共通理解するとともに、保護者への協力を求める具体的な方法を考えます。
 寝不足や遅刻が多いなど、生活リズムを付けさせたいときは、1週間「生活リズムチェック表」に取り組ませることが効果的です。
 寝た時刻や起きた時刻が守れたか、朝食を食べたか、歯磨きができたか、体調などを子どもたちに記録させ、保護者にもコメントをもらいます。
 また、あいさつの習慣などは、年間を通して指導するだけでなく、近隣の小学校と一緒に「あいさつキャンペーン」の取り組みをして効果を上げているところがあります。 
(岡野由紀枝:元東京都公立小学校校長)

 

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