担任の指導に保護者が何度も苦情を言うとき、どう対応すればよいか
まずは、どんな苦情かを丁寧に聞く。
反論したいことは山ほどあるかもしれないが、一生懸命に聞くことが大事である。
最近は、苦情や批判をうわさ話にしたり、メールでやりとりして話が誇張されたりすることがある。直接話してもらえることは、ありがたいことなのである。
連絡帳で苦情を受けた場合は、こちらから電話をして「とても重要なことなので、詳しくお話ししていただけませんか」と、迷惑にならない範囲で話を詳しく聞きたい。
保護者からの苦情の一番最初の対応が、その後の印象を左右することがある。
「先生は、しっかりと考えてくれる人だ」「学校は丁寧に対応してくれた」
と納得する保護者もいる。
なかには、不満を言うだけで、すっきりされる人もいる。
保護者が苦情を言ってきたときは、信頼関係に亀裂が入る危機である。
しかし「雨降って、地が固まる」ということわざがある通りに、この機会に信頼を取り戻し、回復するチャンスにもなるのである。
保護者の話を聞いたら、まずはお礼を言う。
その場で、即答できること、お詫びすべきことはしてよい。ただし、言い訳が多くなったり、子どもの責任にしたりすることはよくない。
たとえ、1パーセントでも責任があれば、その点についてきちんと詫びることは大事である。
その上で、自分の方針やうまくいかなかった理由は正直に話せばよい。順序が逆になってはいけない。
次のようなときには、すぐ返事ができないことがある。
(1)自分以外の教職員がからんでいるとき。
(2)学校全体が関係するとき。
(3)管理職の判断が必要なとき。
(4)重大な過失があったとき。
どう返事をしていいかわからないときは、管理職に相談して、改めて返事することを伝える。
その際、いつまで(何時間後、明日、2日後なのか)に、どのように(電話、直接伺うか)返事をするのかを明確に伝える。
この部分が極めて重要である。誤解を生じてしまい保護者の印象を悪くすることもある。
保護者から苦情の電話がきたら、どのような用件でも、学年主任に報告する。小規模校であれば、教頭などの管理職に報告する。必要に応じて生徒指導主任にも報告する。
学校として対応が必要なときは、すぐに報告する必要がある。管理職や主任の指示をよく聞いて適切に対応することが求められる。
電話での用件がその場で済んで、自分ではそれほど重大だと思わない案件でも、他の教職員にとっては重大かもしれないので、その日のうちに、学年主任等に「〇さんから、□の話があり、△と答えました」と報告する。
何度も苦情を言ってくる保護者は、何か理由があるはずである。学校の対応に納得がいかなかったり、不満があると思われる。保護者の真意が別のところにある場合もある。
このような場合、個人での対応は難しくなる。
学年主任や管理職に話を聞いてもらい、対応してもらう必要がある。
学年主任と二人で家庭訪問をしたり、管理職から直接、話を聞いてもらったりすることも有効である。
(貝沼浩晃:新潟県公立小学校教師)
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