ある教師が叱ると子どもたちがビシッとするのに、別の教師が叱ると反発する、自分のキャラクターに合った指導をするにはどうすればよいか
教師が異なると、同じ内容を説明して授業を進めても、子どもたちの反応が全く異なり、授業に大きな差が生まれることは良くあることです。
また、生徒を指導するときも同様で、ある教師が叱ると子どもたちがビシッとするのに、別の教師が叱ると反発する、ということも日常みられます。
このような差はどうして生まれてしまうのか。
私は、その原因を教師自身、自己のキャラクターに対する認識とその使い方にあるのだろうと考えています。
教師自身が子どもたちから、どのような教師に見られているのか。
教師自身が自分という存在についてどれくらい理解しているかが非常に重要です。
それが分かったうえで、教師が自分のキャラクターに合った行動を選択すると、成果が発揮できるのではないでしょうか。
次の項目で理解していただきたいことは、自分は「○○」ができるということではなく、子どもたちから見てどの様に見られている可能性があるのか、ということを考えるきっかけにして欲しいということです。
もちろん、それぞれについて項目の評価が高くても活かす術がなければ意味がないのですが、自分がどのような項目を活かした教師になるのがよいのかということをじっくりと考えてみていただきたいと思います。
自己分析項目(5段階で自己評価)
A 自分の話を的確に伝えることができる( )
A 相手が話を聞いている状態が気になる( )
B 人の話を聞くことができる( )
B 自分の話だけでなく、相手のことにも興味がわく( )
C 自分の失敗を素直に認めることができる( )
C 自分に非がある場合に、自分から謝ることができる( )
D 感情をコントロールして人と接することができる( )
D 相手に注意するとき、相手の気持ちを考えることができる( )
E 学習以外でも子どもに役立つ体験・経験を持っている( )
E 指導要領を超えた学習面で武器になる経験・体験がある( )
F 他人とすぐ仲良くなることができる( )
F 教師として、子どもとケジメのある立場を保っている( )
自己分析で次の項目が高いと、子どもたちに持たれやすい自分のキャラクターがわかります。
「Aが高い」:情報を伝える力、意思が高い
相手に自分の意見・主張を説得する力が強く技術もあるので、説得力があるという印象を受けやすい。
「Bが高い」:相手に関心を持ち、聞く力が高い
人の話を聞き、相手の状況を観察することによって、自分の行動に活かそうとし、聞き上手と思われやすい。
「Cが高い」:自己開示のできる傾向が強い
自分の失敗に限らず、考えや経験なども開示できるので、本音で関係を作れる印象を持たれやすい。
「Dが高い」:感情、気持ちへの配慮の意識が高い
感情の起伏をコントロールしたり、相手を思いやれるので、心への気づかいができる人だと思われやすい。
「Eが高い」:授業・指導における展開の幅が広い
話題の幅が広く、興味・関心を上手に引き出し、授業そのものに特別な価値観を持たれやすい。
「Fが高い」:子どもたちとの距離感を構築する力が高い
私は初め、子どもたちがすぐに騒いでしまって、授業を思うように進行することができない教師でした。そして、叱ることもできない教師でもありました。
そこから試行錯誤を繰り返して、他の教師の真似をしてみたり、アドバイスを聞いたりしましたが、そうやって得たノウハウを自分のキャラクターに合わせて取り入れていく、ということがとても重要だったと感じています。
そのまま真似をしてみても、自分のキャラクターに取り込むことができなければ、当然、違和感があり上手くいきません。
ただ、その失敗の中で自分が使うことが出来る部分を見つけだして、自分のモノにしていくことが非常に重要なのです。
そして、最後に自分理解を深めることは即、教室管理に役立つというものではありません。
あくまでも自分を振り返り、自分に合った指導を身に付けるための土台、きっかけであり、常に謙虚に自分を反省することができる習慣を身に付けるということが最大の目的なのです。
(諸葛正弥:東京生まれ 「T’s skill教師塾」代表として、カウンセリング・コーチング講座もコラボレートした形式で教員対象研修を開催している)
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