« 学校の仕事が上達するために必要な心構えや方法とは、どのようなものでしょうか | トップページ | 教えること、学ぶこととは、どのようなことなのか »

子どもが素直に受け入れる叱り方とは

 叱っても改まらない子どもの言動に、教師はイライラはつのるばかりです。そんなストレスを回避し、冷静に叱る指導方法を紹介します。
1 「ここぞ!」というときに叱ると、メリハリができ効果は高まる
 子どもは、小さいことから大きなことまで、何かしら問題行動をとるものです。
 そのすべてを改善させようと叱っても、教師の心労はつのり、良い結果が生まれません。
 そこで「これだけは絶対に見逃せないぞ」というルールを決めておきます。
「見逃せない」ことの見極めは、本質的・根本的な問題なのかどうかを柱とします。
 子どもたちが起こす日常的な問題を掘り下げていくと、根っこの部分が見えてくるはずです。
 私の場合「丁寧さに欠ける行為」と「心身を傷つける行為」だけは、絶対にそのままにしておきません。
 例えば「物を投げない」と口を酸っぱくして言い続けています。
 ゴミをゴミ箱に入れる時も「捨てる」ではなく「置きなさい」と言っています。
「捨てる」だとポイと投げ入れますから「置きなさい」なら丁寧に入れることになるからです。
 また、子どもたちは安易に「死ね」と言います。そんな時は「今、何と言った!」「死ねと言ったね」と間髪を入れずに聞きます。
 子どもが認めたら「死ね、と言いたいほど、嫌な気持ちだったの?」と尋ね「泣きたいくらい悔しい」などの別の言葉で言い直しをさせるようにしています。
 その他の問題は、ある程度の長いスパンで「叱らない指導」を考えるようにしています。
 そのまま放置しておくのではなく「指導法を工夫して、いずれ行動を改められるようにしよう」と、叱らないかわりに、他の手だてを考えます。 
2 叱る時は、事実確認を優先する
 子どもを叱っている時に「いつもそうなんだから」と過去のことを引き合いだす「便乗叱り」をすると、教師の怒りの感情が加速し、叱る時間も長くなり、子どもはうんざりします。
 こうした事態を避けるには、子どもが違反したことだけに注目して、事実のみを確認することが大切です。
 例えば、友だちを叩いている場面を目撃したとします。
 多くの教師は最初に「何で叩くんだ」と、叩いた理由を聞いてしまいがちです。
 そうではなく「今、〇〇くんを叩いたね?」と「誰が何をした」という事実の確認だけを行います。
 子どもが「だって・・・・」と言い訳をしようとしたら、
「待ちなさい。先生が聞いているのは、叩いたかどうかです」
「理由は後で聞きます」
と制して、事実確認だけを優先します。
 事実確認を優先することにより、興奮していた子どもが落ち着きを取り戻し、冷静に自分の行動を振り返ることができるようになります。
 教師の頭の中も「叩いたかどうか」ということだけになり、他の情報が入ってこなくなります。
 このように事実確認をした後で、トラブルの原因を聞き、解決に導きます。
 事実確認を優先することで、教師の口調は淡々としたものになり、表情も穏やかになります。感情的にならなければ、冷静な判断ができるのです。
3 子どもの言い分を受け入れる
 子どもの問題行動だけに注目すると、指導すべきことを見誤ります。そうせざるを得なかった子どもなりの「やむにやまれぬ事情」があったのかもしれません。
 問題行動に至った理由に注目することで適切な対応ができるようになります。
 例えば「Aさんに叩かれた!」と子どもが泣きながら訴えてきました。けがをしている様子はありません。
 こういう場合、多くの教師は「暴力を振るった」ことだけに注目してしまいがちです。そうなると、意識が叱ることだけに集中してしまい、Aさんへの説教が始まります。
 そこで教師は、まず事実関係を確認した後に「どうして叩いたの?」とAさんに事情を聞きます。
 するとAさんは「悪口を言われて『やめて』と言ったけど、やめてくれないから叩いた」と、話し始めます。
 この時「暴力はだめでしょ」と諭したい気持ちをぐっとこらえて「その気持ちわかるなぁ」と気持ちを理解し「それで、何回叩いたの?」と聞きます。
 Aさんが「1回です」と答えたなら「えっ、1回だけ、すごいなあ。だって『やめて』って頼んでも聞いてくれなかったんだろう」
 こうしたやり取りから、子どもは教師の言葉を受け入れる準備を整えていきます。
 最終的に「本当はどうすればよかったか、わかるよね?」と聞くと「口で返せばよかった」と素直に反省の弁を述べ始めます。
 そして、教師が「それでも我慢ができない時は、先生に『ヘルプ』しにおいでよ」と付け加えれば、Aさんは素直にうなづくはずです。
 子どもの言い分を受け入れると、共感を超えて思わず同情していまうこともあります。
 ただ同情し、許すというわけにはいきませんが、教師のその気持ちが、その後の指導の質をまったく違ったものにします。
4 子どもの口から改善策を提案させる
 私は子どもを叱る時は、説得よりも納得させるように心がけています。
 まず、子どもの問題行動の事実関係だけを確認します。
 そして「〇〇をしなければならない理由があったんだよね」と問いかけ、どうしてこんなことになったのかを考えさせて、子どもの口から答えさせるようにしています。
 次に、どうすればそれをしないですんだのかを考えさせ、その中で今すぐできそうな案を1つ選ばせます。
 子どもから改善策が出てこない時には、教師がいくつか提示し、そのなかから選ばせます。「途中で良い考えを思いついたら教えてね」と子どもの意見を尊重することを伝えます。
 最後に、教師がそれを復唱し、子どもと確認します。子どもと別れる際には「もう、これからは大丈夫だね」と声をかけ、見守っているというメッセージを送ります。
 このように、教師が伝えたいことを、子どもの口から引き出すような問いかけをします。
 そうすれば、子どもは「自ら気づいた」ことになるので、一方的に叱りすぎることもありませんし、子どもも「たくさん叱られた」とは感じないでしょう。
(城ケ﨑滋雄:1957年鹿児島県生まれ、千葉県公立小学校教師、教育委員会、不登校対策教員として不登校児童と関わる。荒れた学級の立て直し、小学校教師として教育情報雑誌「OF」等で情報発信している)

|

« 学校の仕事が上達するために必要な心構えや方法とは、どのようなものでしょうか | トップページ | 教えること、学ぶこととは、どのようなことなのか »

叱る・ほめる・しつける」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 学校の仕事が上達するために必要な心構えや方法とは、どのようなものでしょうか | トップページ | 教えること、学ぶこととは、どのようなことなのか »